スリランカ:子どもたちが負う経済危機の代償~教育の継続と子どもたちの保護を【プレスリリース】
【2022年8月26日 コロンボ(スリランカ)/カトマンズ(ネパール) 発】
経済危機が深刻化するスリランカの状況について、ユニセフ(国連児童基金)南アジア地域事務所代表のジョージ・ラリア・アジェイは以下の声明を発表しました。
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経済危機で揺れ続けるスリランカでは、最も貧しく、最も弱い立場にある子どもたちが、最大の代償を払っています。
スリランカは、急速な経済成長と観光業で知られていますが、1948年の独立以来、最悪の経済危機に見舞われています。主要な食料を買うことができなくなり、家族は日々の食事を抜いています。南アジアで2番目に重度の急性栄養不良率が高いこの国では、子どもたちは次の食事の目途が立たないまま、空腹を抱えてベッドに入るのです。
スリランカの子どもたちの約半数は、すでに何らかの緊急支援を必要としています。2年間の学習の中断によってすでに深刻な状況にある480万人の子どもたちの教育は、通学が引き続き脅かされている中で、危機的状況にあります。子どもたちは危機以前に食べていた栄養のある温かい食事を得られなくなり、基本的な学用品が不足し、教師は通勤交通費にも苦労するなど、現在の危機によってさまざまな形で子どもたちの教育が妨げられています。
経済的圧力の高まりにより、子どもたちに対する虐待、搾取、暴力が増加しているという報告も、多く聞かれるようになっています。スリランカでは、すでに1万人以上の子どもたちが施設で暮らしており、その主な要因は貧困です。こうした施設は、家族とのつながりが薄れ、子どもが育つのに最善の場所とは言えません。しかし残念ながら、現在の危機的状況により、子どもたちを食べさせていくことができず、こうした施設に子どもを預ける家庭がますます増えています。
このままでは、スリランカの子どもたちのために達成してきた進歩が後退し、場合によっては永久に失われる恐れがあります。
ユニセフは50年以上にわたってスリランカで活動しています。パートナーとともに、教育資材を届け、幼稚園の子どもたちに食事を提供し、妊娠中や授乳中の母親に対しニーズの高い現金給付支援を実施しています。
しかし、危機が続く中、さらに多くのことが必要とされています。
この国が危機の解決に取り組む中で、子どもたちを解決策の中心に据える必要があります。あらゆる年齢の子どもたちの学習の継続性を確保しなければなりません。そうすることで、子どもたちは将来に備えることができ、また児童労働、搾取、ジェンダーに基づく暴力の脅威から守られます。命を脅かす病気や栄養不良から女性と子どもを守るために、プライマリ・ヘルス・サービスを優先させなければなりません。
私がスリランカで見たことは、南アジアの他の国々への警鐘です。
南アジアには、世界の極度の貧困下にある人々の5分の1がすでに暮らしています。子どもたちの保健、学習、安全に影響を与える深刻な苦難と不公平を抱え、また新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって深刻な影響を受けている地域です。そうした南アジア全域に広がる深刻な経済不安とインフレは、子どもたちの命をさらに脅かそうとしています。
世界的な景気後退の最悪の影響から子どもたちを守るために今行動しなければ、世界で最も人口の多いこの地域の子どもたちは、さらに貧困に陥り、健康、栄養、学習、安全が損なわれることになるでしょう。
子どもたちが招いたわけではない危機の代償を、子どもたちに払わせてはなりません。子どもたちの明日の未来を守るために、私たちは今日行動しなければならないのです。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/
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