「戦後世界のかたちそのもの」「フィクションとは思えない!」――各界絶賛! 「皇居」新宮殿の造営をめぐる壮大な長篇小説、松家仁之著『天使も踏むを畏れるところ』
大反響、賞賛の声、多数
若き建築家のひそやかな恋と図書館設計コンペを描いたデビュー作『火山のふもとで』(読売文学賞受賞)が今年1月、刊行から13年を経て文庫化され、ベストセラーとなっている松家仁之さん。今年3月に発売となった『天使も踏むを畏れるところ』は最新作となる長篇小説です。新聞・ラジオ各メディアで続々紹介された本作に、各界から絶賛の声が到着しました。

終戦間近の1945年5月、激しい山の手空襲により、皇居内にあった木造の明治宮殿が焼け落ちた。戦後、再建が望まれるものの、社会全体の復興と「戦災した国民の生活向上を最優先とすべし」という昭和天皇のご意向もあり、長らく見送られたままだった。敗戦から15年、民主国家となった新しい日本と、象徴天皇にふさわしい「新宮殿」造営という一大プロジェクトが、いよいよ始動する。
設計を委嘱された建築家・村井俊輔を中心に、建設省から宮内庁に出向した建設技官、宮内庁の造営責任者、天皇の侍従、皇太子の教育掛、美智子妃と親交を結ぶ園芸家の女性など、さまざまな視点からこの世紀のプロジェクトを描きだす。「小説を読む歓び」をたっぷりと堪能できる新たな傑作の誕生です。
■各界から絶賛の声、続々!
「よく調べられている」。歴史研究者の私でも知らないことが多々あった。松家さんの博捜ぶりに頭が下がる。しかも、登場人物たちの会話は、まるで見てきたかのように生き生きと描かれている。フィクションとは思えない!
――河西秀哉氏(名古屋大大学院准教授・歴史学)
室内と庭との一体性、素材を活かした明晰な構造、きめ細やかな造形まで、
吉村順三をモデルに描き出された皇居新宮殿の造営をめぐる本書は、
モダニズムの眼差しで日本の木造建築の特質を洗練させ、
人と人、人と自然、国と国とが水平な関係性を持つ戦後世界のかたちそのものだった。
――松隈洋氏(神奈川大学建築学部教授)
■新聞・ラジオ、各メディアで続々紹介
★新聞・雑誌(順不同):日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞、東京新聞、中日新聞、信濃毎日新聞、北海道新聞、女性自身、週刊新潮ほか
★ラジオ(順不同):NHKラジオ「高橋源一郎の飛ぶ教室」(著者出演)、NHKラジオ「ラジオ深夜便」
読後のこの快感はどこに由来するのか。滝のように流れ落ちる水を浴びるごとく前へ前へと進む読みごたえの他あるまい。例えば建築家は国家官僚と異なり、新宮殿の可能な限りの耐震性を望まない。国民に近づく天皇であれば、ある程度の耐震性でよいのではないかと。こういうもの言いが至る所にあるのだ。ゾクッとしませんか。
――御厨貴氏(東京大学名誉教授・政治学/朝日新聞5月17日掲載「書評」より)
※朝日新聞社に無断で転載することを禁じる。【朝日新聞 承諾番号25-1685】
昭和史には忘れられた史実が少なくない(略)
(皇居新宮殿の)基本設計を担ったのは建築家、吉村順三である。
だが、造営を管理する宮内庁との軋轢から68年の竣工を前に任を辞した。
何があったのか。埋もれた過去を膨大な文献から掘り起こした本作は(略)
事実の背後にある真実に迫る気概に溢れる。
――鵜飼哲夫氏(読売新聞編集委員/読売新聞5月4日掲載「書評」より)
歴史の波間から掬い上げられた日本と日本人。新宮殿をめぐる価値観の攻防を描きながら抑制した筆致に鎮魂の祈りを思う。ゆうに千ページを超える必然が、ここにある。
――平松洋子氏(エッセイスト・作家/北海道新聞6月15日掲載「書評」より)
精魂のこもった大変な力作。圧倒される。(略)設計者である建築家から宮内庁の役人までさまざまな人間が登場する。大河小説であり群像劇でもある。(略)完成間近かでの建築家と宮内庁の役人との確執には思わず建築家に声援を送りたくなる。
――川本三郎氏(作家・評論家/週刊新潮5月1日・8日合併号「書評」より)
著者コメント
建築家・村井俊輔の視点だけでは、「新宮殿」造営という大きな物語を立体的に描くことはできません。建築と同じように、窓もあれば、一階、二階もあり、外側から見るのと内側から見るのとの違いもあります。百年に一度あるかないかの国家的プロジェクトとはいえ、造営に関わる一人一人の立場を考えれば、ささいな呟きにも重みが出てくる。プロジェクトの推移を人物の視点を変えながら見ていくことで、できるだけすみずみまで描いてみたい――そう考えました。
■書籍内容紹介
空襲で焼け落ちた明治宮殿に代わる、戦後日本、象徴天皇にふさわしい新宮殿を――。
敗戦から15年、皇居「新宮殿」造営という大プロジェクトが始まった。
世紀の難事業に挑む建築家・村井俊輔。彼を支える者、反目する者、立ちはだかる壁……。戦前から戦中、戦後、高度成長期の日本社会と皇室の変遷を辿り、理想の建築をめぐる息詰まる人間ドラマを描き尽くす、 かつてない密度とスケールの大長篇。
■著者紹介:松家仁之(まついえ・まさし)

1958年、東京生まれ。編集者を経て、2012年、デビュー長篇『火山のふもとで』を発表。同作で読売文学賞受賞。2013年『沈むフランシス』、2014年『優雅なのかどうか、わからない』、2017年の『光の犬』で河合隼雄物語賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞、2022年『泡』を刊行。共著・編著に『新しい須賀敦子』『須賀敦子の手紙』、新潮クレスト・ブックス・アンソロジー『美しい子ども』、「伊丹十三選集」全3巻など。
■書誌データ
【タイトル】天使も踏むを畏れるところ 上下
【著者名】松家仁之
【発売日】2025年3月26日
【造本】四六判 上552頁 下552頁
【定価】上2970円(税込) 下2970円(税込)
【ISBN】上 332814-8 下 332815-5
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