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公益財団法人日本ユニセフ協会
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移民・難民危機:地中海中央ルート、毎週11人の子どもが命落とす~前年同期比倍の11,600人が渡航【プレスリリース】

ユニセフ、「世界の無策の中溺れる子どもたちへの対応を」

公益財団法人日本ユニセフ協会

【2023年7月14日 ニューヨーク発】


ユニセフ(国連児童基金)によると、安全、平和、より良い機会を求め、今年、危険な地中海中央ルートを通って北アフリカから欧州に渡ろうとして、少なくとも289人の子どもが命を落とした、または行方不明になったと推定されています。その数は、毎週11人近くの子どもに相当します。


* * *


ユニセフの推計によると、2018年以来、約1,500人の子どもが、地中海中央部を横断しようと試みている間に亡くなったか行方不明になっています。この数は、国際移住機関(IOM)の「行方不明移民プロジェクト(Missing Migrant Project)」の記録によると、このルートで死亡したか行方不明になった8,274人のうちの、5人に1人を占めます。

 

地中海中央ルートで難破した多くの船には生存者がいないか、または記録が残されていないため、子どもの犠牲者の実数を確認することは事実上不可能です。おそらく、犠牲者はもっと多いと考えられます。直近の数カ月、このルートおよび地中海を横断する他のルート、西アフリカからの大西洋ルートで命を落とした人々の中には、ギリシャ沖やスペイン・カナリア諸島沖で起きた最近の痛ましい出来事のように、子どもや乳幼児が含まれています。

 

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、 「安全な場所、家族との再会、そしてより希望に満ちた未来を求め 、地中海沿岸でボートに乗り込んだものの、途中で命を落としたり、行方不明になったりした子どもがあまりにも多いのです。この現実は私たちに、庇護を求める子どもたちのために安全かつ合法的な経路を作るとともに、海上での人命救助活動の強化に向け、さらに多くのことを行わなければならない、と明確に訴えています。究極のところ、子どもたちの命を危険にさらしている、そもそもの根本原因に対処するために、さらに多くのことを行わなければならないのです」と述べています。

 

ユニセフの推計によると、2023年1月以降、北アフリカからイタリアの海岸に到着した子どもは1万1,600人(1週間に平均428人)います。子どもたちにとって重大なリスクが伴うにもかかわらず、この数は2022年の同時期と比べて2倍に増えています。大半の子どもたちは、アフリカや中東の諸国から逃れ危険な道のりを経て、リビアやチュニジアの港から出航しているのです。

 

2023年の最初の3カ月間で、このルートで欧州に到着した子ども全体の71%にあたる3,300人の子どもが、おとなの同伴者がいない、または親や法的保護者から引き離された子どもとして記録されており、その子どもたちが暴力、搾取、虐待に遭うリスクは高いものでした。一人きりで移動する女の子たちは、移動の前後や途中に暴力を受ける可能性が特に高くなっています。

 

地中海中央ルートは、子どもが旅する最も危険なルートの一つとなっています。しかし、海で命を落とすリスクは、例えば暴力の脅威や暴力の経験、教育や将来の機会の欠如、襲撃、入国者収容施設への拘留、家族との引き離しなどの、子どもたちが直面する多くの悲劇的なリスクの一つにすぎません。こうしたリスクは、子どもたちが安全に移動できる経路が限られていること、通過中の国々で保護を受けられないこと、捜索・救助活動が不十分で時間がかかることなどによって、さらに深刻化しています。

 

国際法および子どもの権利条約に基づく義務に沿い、ユニセフは各国政府に対し、海上および出身国、通過国、目的地国において、脆弱な立場にある子どもたちの保護を以下の方法で強化するよう求めています。

  • 国内法および国際法に基づく義務に従い、子どもたちの権利と最善の利益を守る

  • 拡大家族との再統合や難民定住枠など、子どもたちが移住し庇護を求めるための安全かつ合法的な経路を提供する

  • 捜索・救助活動に関する連携を強化し、安全な場所へ迅速に上陸できるようにする

  • 搾取と暴力のリスクにさらされている子ども、特におとなの同伴者のいない子どもの受け入れや保護を改善するため、子どもの保護に関する国内制度を強化する

  •  紛争と気候変動リスクに対処し、社会的保護の適用範囲および学習機会や収入を得る機会を拡大することによって、出身国と通過国における子どもと若者の将来への見通しを改善する

  • 安全かつ十分な知識を得た上での選択ができるよう、渡航の選択肢や危険性に関する情報を子どもが入手できるようにする

  • すべての移民・難民の子どもが学習を続けられるようにし、保健などの必要不可欠なサービスを受けられるようにする

 

ユニセフはまた、欧州連合(EU)に対し、交渉中の「移民と庇護に関するEU協定」に、上記が確実に反映されるようにすることを求めています。

 

ユニセフは、子どもが移動中に直面するリスクを予防・軽減し、子どもやその両親の法的地位にかかわらず、すべての子どもに支援と包括的なサービスを提供するために、各国の子どもの保護、社会的保護、移民・庇護制度の強化を支援する活動を続けています。


* * *


この状況を受け、同日、ユニセフの移住と移動に関する対応を指揮するヴェレーナ・クナウスは国連の定例記者会見に出席し、次の通り述べました。

 

「この海域で、わずか半年で300人近い子どもたち、つまり飛行機1機の乗客数と同じ数の子どもたちが命を落としていることを、黙って見過ごすわけにはいきません。しかし、この数字と、防ぎえた多くの死を取り巻く沈黙を考えると、世界は故意に、起きていることを無視しているようにも思えます」

 

「何百人もの子どもたちが、世界の無策の中で溺れています。各国指導者たちは、子どもたちの命の紛れもない価値を示すために、緊急に行動しなければならないのです」


* * *


■ 注記

  • 本信で参照されているデータ分析は、ユニセフが作成しました。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のオペレーション・データ・ポータル(Operational Data Portal)のイタリア到着に関するデータ(2023年7月9日現在)、およびIOM(国際移住機関))の行方不明移民プロジェクト(https://missingmigrants.iom.int/region/mediterranean、2023年7月3日現在)の地中海中央ルートにおける行方不明移民に関するデータ(2023年7月10日にアクセス)が用いられています。

  • 2023年1月から7月9日までに地中海経由で9万605人が欧州に到着したと報告されています。これらの人々の大部分、6万9,599人(77%)は地中海中央ルートで到着しました。またそのうち、子どもの割合は16.7%、つまり約1万1,600人でした。地中海中央ルート(北アフリカ、主にチュニジアとリビアからイタリアへの海路を指す)は、最も活発で危険なルートの一つです。

  •  行方不明の子どもの数は、行方不明の移民の総数と、同じルートで到着した人々の人口構成に基づいて推計されています

  • ユニセフは、「移動する子どものための国際データアライアンス(IDAC)」の議長を務めており、移動する子どもの成果拡大を目指して、データの入手可能性と質を向上させる世界的な取り組みを主導しています。詳細はこちら(https://data.unicef.org/resources/international-data-alliance-for-children-on-the-move/


■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

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官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
-
設立
-
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