ガザ:食料不安・感染症が拡大「対応には物資供給ルート確保が緊要」【共同プレスリリース】

破壊された自宅前で、焚火で料理を作る家族。(ガザ地区、2024年1月11日撮影) © UNICEF_UNI501984_Al-Qattaa破壊された自宅前で、焚火で料理を作る家族。(ガザ地区、2024年1月11日撮影) © UNICEF_UNI501984_Al-Qattaa

【2024年1月15日 ローマ/ジュネーブ/ニューヨーク発】


飢饉のリスクが高まり、致命的な感染症の集団発生にさらされる人が増えるなか、ガザへの人道支援の流れを根本的に変えることが急務である、とユニセフ(国連児童基金)など3つの国連機関は本日共同プレスリリースを発表し、警鐘を鳴らしました。


* * *


共同プレスリリースにおいてユニセフらの長は、ガザ地区に十分な物資を送り込み、地区全域に行き渡らせるのには次のようなことが必要だと指摘しました。すなわち、新たな搬入経路を開放すること、毎日より多くのトラックが越境検問所を通過できるようにすること、人道支援従事者の移動に対する制限を緩和すること、支援物資を手に入れようとする人と配布する人双方の安全を保障することです。

 

食料を生産することも輸入することもできないガザでは、全住民が支援に頼って生きています。しかし、人道支援だけでは、ガザの人々の必要不可欠なニーズを満たすことはできません。国連、国際支援機関、非政府組織は、非常に困難な状況にもかかわらず、限られた人道支援をなんとかガザに届けていますが、その量は、飢餓、栄養不良、疾病の致命的な連鎖を防ぐのに必要な分にはほど遠いのです。食料、きれいな水、医療支援の不足は、特に北部で深刻です。

 

食料を確保するため、海岸で釣りをする子どもたち。(ガザ地区、2024年1月11日撮影) © UNICEF_UNI501980_Al-Qattaa食料を確保するため、海岸で釣りをする子どもたち。(ガザ地区、2024年1月11日撮影) © UNICEF_UNI501980_Al-Qattaa

南部の2カ所を除くすべての検問所が閉鎖され、ガザに入るトラックの審査が何重にも行われているため、人道支援活動は著しく制限されています。ひとたびガザに入ると、砲撃や絶えず移り変わる戦線によって、支援を必要とする人々のためのサービス拠点を設置する努力は妨げられ、ガザの一般市民や、彼らの支援に取り組む国連などの人道支援従事者の命が危険にさらされています。

 

最新の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)報告書によると、ガザでは壊滅的なレベルの食料不安が発生しており、ガザの全人口のおよそ220万人がIPCフェーズ3の急性食料不安、あるいはそれ以上のレベルに陥っていることが確認されました。事実上、ガザで暮らすすべてのパレスチナ人が毎日食事を抜き、子どもだけでも食べられるようにと自身の食べ物を与えた多くのおとなが空腹に耐えており、報告書は、現在の状況が続けば飢饉になると警告しています。

 

また、戦闘によって、必要不可欠な水、衛生、保健医療のインフラやサービスが損傷したり、破壊されたりしており、重度栄養不良や感染症の集団発生に対処するための手段も限られています。ガザの特に脆弱である33万5,000人の5歳未満の子どもについて、ユニセフは、今後数週間のうちに、子どもの栄養不良のなかでも最も生命を脅かす消耗症が危機前の状態から30%近く増加し、最大1万人の子どもが影響を受ける可能性があると予測しています。

 

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「栄養不良や病気で命を落とす危険性の高い子どもたちは、治療やきれいな水、衛生サービスを切実に必要としていますが、現地の状況では、そのような子どもやその家族に安全に支援を届けることができません。 修復作業や給水量を増やすためにどうしても必要な物資の一部は、ガザへの搬入が制限されたままです。子どもとその家族の命がかかっています。一刻を争うのです」

 

南部のラファウにある保健所で、ユニセフが支援するワクチンの予防接種を受ける子ども。(ガザ地区、2024年1月4日撮影) © UNICEF_UNI498538_El Baba南部のラファウにある保健所で、ユニセフが支援するワクチンの予防接種を受ける子ども。(ガザ地区、2024年1月4日撮影) © UNICEF_UNI498538_El Baba

ユニセフは11月から、ガザ南部の子どもたちは1日あたり1.5~2リットルの水しか利用できず、それは生存に必要な推奨量を大幅に下回っていることに警鐘を鳴らしてきました。ユニセフとパートナーは130万人以上の人々に安全な飲料水を提供してきましたが、この絶望的な状況に対処するには、はるかに多い量の水が必要です。ユニセフはまた、60万回分のワクチンを含む医療用品、子どもと妊婦への栄養補助食品とビタミン剤の提供、50万世帯以上への人道的現金給付も行っています。

 

イスラエルにあるガザ地区に近い稼働中の港や北部への国境検問所を利用するための同国の許可を、各支援機関は緊要としています。例えばガザから北におよそ40キロ離れたアシュドッド港にアクセスできれば、大量の支援物資を輸送し、トラックで直接、被害が大きく陸送が難しかったガザ北部に運ぶことが可能になります。

 

3機関の長は、ガザへの、またガザ地区内での支援物資の輸送に対する障壁や制限を解き、商業活動のための通行の再開が緊急に必要であることを強調しました。また、複数の機関による、極めて重要な人道支援活動の大規模展開を可能にするための人道的停戦を、あらためて求めました。


* * *


ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

ガザの最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。

https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/  

  

* * *


■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

101フォロワー

RSS
URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
-
設立
-