訪問理美容サービスに関する利用実態調査2023
直近1年以内の訪問理美容サービス利用率が上昇し、28.0%へ。利用者家族の47.1%が訪問理美容サービスによる介護状態の改善を実感
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村 吉弘)の美容に関する調査研究機関『ホットペッパービューティーアカデミー』(https://hba.beauty.hotpepper.jp/)は、要支援者・要介護者の訪問理美容サービス※の利用実態調査を実施しました。その結果をご報告いたします。
※ 自宅や介護・福祉施設に理美容師が訪問し、ヘアカットなどの理美容メニューを実施するサービス。要支援者・要介護者の認定を受けた方など、外出が困難な方が対象です。調査は在宅の要支援者・要介護者のご家族、およびケアマネジャーが回答。
■調査背景
訪問理美容サービスは、急速な高齢化に伴いニーズが高まり、ヘアサロンのサステナビリティの取り組みとしても注目されています。株式会社リクルートでも「一人ひとりが輝く豊かな世界の実現」を目指して支援活動を行ってきました。2015年より利用実態を明らかにするために本調査を実施しています。
<研究員からのコメント>
「直近1年以内に訪問理美容サービスを利用した方」の割合が0.9pt上昇し、28.0%になりました。ヘアカットの平均料金は前年からほぼ横ばいですが、カラー/パーマの平均料金は上昇。高価格帯の訪問理美容事業者の増加や、物価高による価格改定の影響が感じられます。今回初めて「訪問理美容サービス利用によって、要支援/要介護状態の改善につながったと思うか」という設問を追加したところ、利用者のご家族の47.1%が「そう思う」と回答しました。サービス利用後の変化としては「笑顔になる」49.5%、「活力があふれた様子になる」22.5%、「会話が活発になる」20.9%など、ご本人だけでなく、ご家族にとっても嬉しい変化が起きています。
『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員
服部 美奈子
■訪問理美容サービスによる良い変化
訪問理美容サービスを利用して、何らかの良い効果を与えていると感じているご家族の割合は84.6%と高い。サービスを受けた後の具体的な変化は「笑顔になる」が49.5%と最も高く、「鏡を何度も見返す(24.2%)」「活力があふれた様子になる(22.5%)」「会話が活発になる(20.9%)」が続く。
■利用メニュー、1回あたりのカット料金
サービス利用者のうち「ヘアカット」は96.7%、「シャンプー」は43.5%、「髭剃り・うぶげそり」は30.2%の方が利用したことがあると回答している。カットの平均料金は通所型介護施設では-68円とほぼ横ばい、在宅では173円アップ。料金の分布をみると通所型介護施設ではあまり大きな変化がない一方で、在宅では3,000円以下の低価格帯が減少、「~4,000円」「5,000円よりも上」の高価格帯が増加している。
■認知・利用率、利用満足度
訪問理美容サービスに対する全体の認知率は84.9%であるのに対し、利用率は35.5%と大きな開きがある。一方、1年以内の利用者のうち89.4%が満足している。
■訪問理美容サービス非利用者における今後の利用意向、および非利用意向の理由
訪問理美容サービス非利用者における「今後の利用意向あり」は45.2%で、今後の利用者増加の可能性がうかがえる。一方で、「今後の利用意向なし」は54.8%。その理由は「お金がかかる・かかりそう」が39.1%と、料金に関する不安が最も高い。現在多くの自治体が「理美容チケット」などの、訪問理美容サービスにおける補助制度を導入しているが、79.5%がその存在を認知していない。今後このような補助制度を案内することで、訪問理美容サービス利用率のさらなる向上が期待できる。
<研究員からのコメント>
訪問理美容サービスの利用率は年々上昇しているものの、いまだ認知率と利用率とに大きな乖離があります。一方で、訪問理美容サービス利用者はサービスに満足し、要支援/要介護度の改善につながったと感じたり、介護の現場に笑顔が生まれたりするなど良い効果を実感している方が多くいらっしゃいます。今後も高齢化は進んでいく見込みであることから、訪問理美容マーケットも成長する余地があります。非利用者に対して料金や準備などの情報を提供し「背中を押す」ことで、利用率がさらに高まっていくのではないでしょうか。
(『ホットペッパービューティーアカデミー』研究員 服部 美奈子)
■『ホットペッパービューティーアカデミー』の訪問美容の取り組み
『ホットペッパービューティーアカデミー』では、訪問美容を始める際に必要な情報やノウハウの紹介、新たに訪問美容を始める美容室オーナーのサポートを行っています。
今年度は大きく二つの取り組みを実施。一つは、訪問美容に興味をもつ人を増やすための情報提供。
「実施サロン事例」と介護施設における「訪問美容の現場」をテーマに、1~2カ月に1度記事の公開を行っています。もう一つは、訪問美容に取り組みたい美容師を対象に、動画やWEBセミナー等でノウハウを紹介しています。
▶詳しい取り組みについてはこちら (https://hba.beauty.hotpepper.jp/sp_houmon/)
■『ホットペッパービューティーアカデミー』とは
美容に関する調査研究機関。「美容の未来のために、学びと調査・研究を」をビジョンに 2014 年に開校しました。美容サロンのマネジメントやマーケティングを学ぶ「経営セミナー」、美容センサスなどの「調査研究」、訪問美容・女性活躍・SDGsに関する情報提供・イベント開催などをはじめとした「サステナビリティ活動」を柱に、全て無料で美容業界へ情報発信しています。これらの活動により、美容業界の成長に寄与する場の提供を目指しています。
https://hba.beauty.hotpepper.jp/
■調査概要
調査名:訪問理美容サービスに関する利用実態調査2023
調査手法:インターネット調査(マクロミル アンケートモニター)
調査期間:2023年10月17日(火)~10月23日(月)
調査対象:全国20歳以上の男女のうち、要支援者・要介護者と同居されているご家族(本調査1,951人)、ケアマネジャー(本調査109人)
※平均値の算出方法平均値は、単一回答の各選択肢を以下の条件で数値化し、その平均値を求めた。
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