子どもの消耗症、世界的な増加-ガザ・スーダンの戦闘が起因【プレスリリース】

ユニセフ等報告書中間更新を発表、人道アクセス確保訴え

ハルツームにあるユニセフが支援する栄養センターで、重度の急性栄養不良の治療を受ける子ども。(スーダン、2024年8月11日撮影) © UNICEF_UNI626271_Isamaldeen

【2024年9月5日 ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)の子どもの栄養と発達局長ビクター・アグアヨは、「食料危機に関するグローバル報告書2024年(Global Report on Food Crises〈GRFC〉2024)」の中間更新の発表に際して国連本部で開催された記者ブリーフィングにて次の発言を行いました。

 

なお、食料不安を示す指標であるIPC/CHレベルで最も重いフェーズ5(大災害)に直面している、あるいは直面すると予測されている人数は、2023年には5つの国・地域で70万5,000人であったのが、2024年には4つの国・地域で190万人と倍増しました。これはこれまでのGRFCで最も大きな数字で、ガザ地区とスーダンの戦闘に起因します。

* * *

消耗症は、栄養不良の中でも最も命にかかわるもので、急性栄養不良とも呼ばれています。消耗症は、食料危機が起きている国に暮らす子どもたちの間で、依然として非常に高い水準にあります。

これは、子どものために家族が栄養価の高い食べ物を入手、購入できないことや、保健・栄養・水と衛生サービスが利用できないといった理由のためです。このような脅威は、最も脆弱な立場にある子どもたちやコミュニティへの人道アクセスが悪化する紛争状況下で急速に高まっています。

ユニセフが支援するクリニックで、高エネルギービスケットを受け取る1歳のラムジーちゃん。(ガザ地区、2024年6月撮影) © UNICEF_UNI601741_El Baba

このグローバル規模の報告書では、子どもの消耗症が増加していることが浮き彫りになっています。特に、カメルーン、チャド、ジブチ、ハイチ、スーダン、シリア、ウガンダ、イエメンの8カ国では危機的なレベルにあります。

 

他国連機関も、ガザの状況を、歴史上最も深刻な食料・栄養危機の一つと表現しています。この壊滅的な被害に遭っているガザの人口の半数近くが子どもであることを忘れてはなりません。

 

私は先週ガザに行き、何カ月にも及ぶ民間人に対する戦闘と人道支援の厳しい制限によって、食料・保健・保護システムが崩壊し、子どもたちの栄養に壊滅的な影響が及んでいることを目の当たりにしました。

重度栄養不良に最も陥りやすい幼い子どもの食生活は極めて貧しく、90%以上の子どもが、有害なストレスにさらされ、安全な水と衛生設備がない状態で、何週間も何カ月も、1日にせいぜい2種類の食品群しか摂っていません。そして今、5万人以上の子どもが急性栄養不良に苦しみ、救命治療を必要としていると推定されます。

ガザでは、ユニセフが支援する活動を行う医師や看護師、栄養専門家たちと話し、市場や市中を――またはその残骸を、ですが――歩き、子どもに食べさせるために奮闘する母親や父親の声に耳を傾けました。ガザで飢きんや大規模で深刻な栄養危機が発生する危険性が現実のものとなっていることに疑いの余地はありません。

すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を口にする2歳のアミナちゃん。(イエメン、2024年5月撮影) © UNICEF_UNI585231_Hayyan

このような事態を防ぐ唯一の方法は、ただちに停戦し、停戦とともにガザ地区全体への持続的かつ大規模な人道アクセスを確保することです。停戦と妨げのない人道的対応によってのみ、幼い子どもたちのための特別な栄養食品や妊婦のための栄養補助食品を含む食料、そして全住民のための保健・水・衛生サービスを家族が利用できるようになるのです。

 

スーダンでは2,500万人以上が食料不安の影響を受けており、その中には急性栄養不良に陥っている子どもが370万人近くいます。大量の避難民、限られた人道アクセス、途絶された保健・栄養サービス、そして作物の収穫が減少する時季の到来により、これらの数字は増え続けています。

 

ユニセフは、最も脆弱な立場にある子ども――特に5歳未満の子ども――と彼らの母親の急性栄養不良の早期予防、早期発見、早期治療のために、妨げのないかつ大規模な人道的対応を訴えています。

■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

公益財団法人日本ユニセフ協会

101フォロワー

RSS
URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
-
設立
-