万年筆、インク壺、原稿用紙、コーヒー、ハイライト、灰皿…… 今では入手困難な、デビュー後10年間の幻の初期作品を集めた『万年筆の時代 佐藤正午復刻短編集』6月10日(水)光文社文庫より発売!

小説家は万年筆で小説を書くもの――。
モンブランのマスターピース、今はマスターシュテュック(Meisterstück=傑作)と呼ばれる万年筆で原稿用紙の枡目を埋めることを夢見た青年がいました。
青年はパイロットの万年筆でコクヨの400字詰原稿用紙に小説を書きました。
規定枚数250枚以内を大幅にオーバーした約700枚に及ぶその新人賞応募作に青年は「女は箒に跨って飛ぶ」というタイトルを付け、カステラの空き箱に詰めて東京の出版社に送りました。
その作品(「永遠の1/2」に改題)で新人賞を受賞した青年は、親しくしていたスナックのママから、誕生日プレゼントに、モンブランのマスターシュテュックを贈られました。
青年は、ブルーブラックのインクで小指の下と原稿用紙を染めながら、枡目を埋め続けました。
その青年も今年8月、71歳になります。ワープロの時代を経て、iMacとMacBookで物語を紡ぐ彼を、今も、ペン立てに差された6本のモンブランのマスターシュテュックが静かに見守っています。
テレクラ通いをする27歳の「ぼく」は、ある日、ひとりの人妻と出会いベッドを共にする。再会を焦がれ、彼女からの電話を待ち続けるが――(「スペインの雨」)。二度の映画化のチャンスがありながら幻に終わった本作のほか、プロとして初めて原稿料を貰って書いた「青い傘」、刊行当初「競作ポルノ短編集」というサブタイトルが付された共著『十七粒の媚薬』への寄稿作「震える女」、ファンから高い支持を得る「ルームメイト」など、9つの短編とおまけの1編を収録。
作家生活最初の10年間に万年筆――パイロット、そして夢だったモンブラン マスターシュテュック――から生まれた、今では入手困難な幻の初期作品のみを集めた待望の一冊。
作家・佐藤正午の原点!
【目次】
ジョン・レノンが撃たれた日
ルームメイト
糸切歯
いつもの朝に
コンドーム騒動
震える女
卵酒の作り方
スペインの雨
青い傘
おまけ ワープロの時代
ニラタマA
ニラタマB
あとがき
【著者情報】
佐藤 正午(さとう しょうご)
1955年長崎県生まれ。'83年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞しデビュー。2015年『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞、'17年『月の満ち欠け』で第157回直木賞、'25年『熟柿』で第20回中央公論文芸賞受賞、本屋大賞第2位。おもな作品に『Y』『ジャンプ』『5』『アンダーリポート』『身の上話』『彼女について知ることのすべて』『ダンスホール』『冬に子供が生まれる』など。
【書籍概要】
書名:『万年筆の時代 佐藤正午復刻短編集』
著者:佐藤正午
発行:光文社
発売日:2026年6月10日(水)発売予定
※流通状況により、一部地域では遅れる可能性があります。
価格:858円(税込)
判型:文庫
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