「ガザは子どもたちにとって地上の地獄そのもの」 ユニセフ広報官、子どもたちの惨状を訴え【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

避難先のぼろぼろに傷んだテントの破れ目から顔を出す子ども(ガザ地区、2024年9月1日撮影) © UNICEF_UNI657364_El Baba

【2024年10月18日 ジュネーブ発】

ユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、10月18日の国連の定例記者会見において、ガザ地区の状況について以下のとおり発言しました。

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ガザは、100万人の子どもにとって、まさに地上の地獄そのものです。そして、毎日の空爆や軍事行動によってパレスチナの子どもたちが受けている悲惨な影響を見れば、日々、状況が悪化していることが分かります。

その様子を、ある女の子の話を通じてお伝えしましょう。7歳の女の子、カマルさんです。ジャバリア難民キャンプが攻撃された時、カマルさんは足を負傷しました。唯一搬送できた病院は産科病院でしたが、その後20日間にわたって包囲され、その間にカマルさんの足は、刺さった爆弾の破片によって感染症が引き起こされました。彼女を移送させることはできない上、その病院には外傷患者に対応できる設備がなかったため、医師たちはカマルさんの足を切断せざるを得ませんでした。

普通の状況であれば、この幼い女の子の足を切断する必要はなかったでしょう。さらに、カマルさんと母親、そして同じく爆撃で負傷していた妹は、また避難を強いられました。しかも歩いて。足を切断されたばかりの7歳の女の子が、北部から南部へと追い立てられたのです。彼女たちは今、同じように悲劇に苦しむ他の家族と共に、よどんだ水たまりに囲まれたぼろぼろのテントで暮らしています。カマルさんは当然のことながら深いトラウマを抱えており、爆撃の音が日常的に聞こえるたびに、そのトラウマはさらに深まっています。ガザには義肢はありません。痛ましいことですが、カマルさんの物語は決して特別なものではありません。今も、同じことがガザで繰り返されているのです。

この悲劇は、家族間だけでなく、この終わりのない紛争が続いている間、何カ月も何カ月も繰り返されています。100万人の人々にガザ北部からの退避通告が出されてから1年余り、今また何十万人もの民間人が北部からの避難を強いられています。

1年前、ガザの人々は残酷な選択を迫られました。飢えと困窮に耐えるか、逃げて避難生活を送るかのどちらかでした。今日、ガザ地区全体が飢えと困窮に苦しんでいます。避難しても、子どもたちがもっと苦しみ、さらに悪い状況を招くだけです。

およそ1年前、私たちは毎日、ガザ地区への入域を許可されたトラックの台数を確認していました。今日、北部では、かつてのその状況に戻っています。10月2日以降、支援物資の食料や水を積んだトラック80台だけがガザ北部へ入ることを許可されています。

ハンユニスのユニセフが支援する安全な学習スペースに向かう兄弟(ガザ地区、2024年9月18日撮影) © UNICEF_UNI646530_El Baba

今日、強制的な避難先となっている南部は、超過密状態にあり、水と衛生に関連する物資や避難場所といった極めて重要なものが致命的に不足しています。

それではいったい、子どもや家族たちはどこへ行くのでしょうか? 学校や避難所は安全ではありません。病院も安全ではありません。そして、過密状態のキャンプも安全ではありません。

パレスチナの人々の避難先としてたびたび指定されるマワシを例に取ってみましょう。マワシは、面積で言うとガザ地区の約3パーセントを占めています。 人口は、この戦闘が始まる前は9,000人でしたが、現在は73万人に膨れ上がっています。マワシが都市であれば、世界で最も人口密度の高い都市ということになるでしょう。 しかし、マワシは都市ではありません。高層ビルもインフラもありません。それだけの人口を受け入れるキャパシティもありません。その土地のほとんどは砂丘です。

ここが、カマルさんをはじめ非常に多くの人々が、依然として十分な水や医薬品、シェルターがないまま暮らさざるを得ない場所です。メンタルヘルス面のサポートや教育、安全も著しく欠如しています。

こうしたいわゆる“人道エリア”に人々を強制的に退避させることの最も暗い皮肉は、そのエリアで食料、水、医薬品が不足しているだけでなく、退避した人々が爆撃に遭っていることです。マワシでは多数の死傷者が出る惨事が何度も発生しています。学校への攻撃は、その頻度において想像を絶するものとなっています。この2週間だけでも30件の攻撃があり、そのうちの半数以上の16件がジャバリア難民キャンプで起きています。

この状況下でも、ユニセフは5,000基以上のトイレを設置し、86万人以上に現金給付を行い、30万人以上の子どもに栄養支援を行いました。また、11万7,000人の5歳未満児に高エネルギービスケットと栄養補助食を提供しました。

ユニセフをはじめとする国連諸機関は、長期的で持続可能な停戦を求め続けています。人質の帰還のために。商用車の往来を再開し、貨物の安全な輸送のため追加ルートが利用できるようにするために。妨げのない人道アクセス、つまり、特に食料、水、保健、教育、メンタルヘルスサポートなどの、生存に必要不可欠な支援を大幅に増やすために。

すべての支援機関ができる限りのことをしているにもかかわらず、子どもたちは日々、筆舌に尽くしがたい苦しみにさらされています。最初の強制避難から1年が経ち、国際社会は歴史が繰り返されるのを見守っている状況です。

今月私が会った別の女の子の例を挙げましょう。家が爆撃を受けた時、その女の子の兄弟と姉妹は亡くなりました。彼女は顔にひどい怪我を負い、皮膚と皮膚がちぎれそうなくらいでした。 外科医は残った組織をつなぎとめましたが、彼女には緊急の医療搬送と専門治療が必要です。 しかし、それは認められていません。 何度申請しても、許可されないのです。 彼女は、緊急の医療搬送を待っている1万5,000人以上の患者のうちの1人にすぎず、皆それぞれが同様の悲惨な物語を抱えているのです。

これほど恐ろしい事態を前にしても、私たちの人間性が揺さぶられ、私たちに行動を起こさせることがないのであれば、一体何が私たちを動かすというのでしょうか?

昨年10月、ユニセフは「ガザは何千人もの子どもの墓場と化している」と指摘しました。今年の10月に私が訪問した際には、即席で作られた新しい墓地をいくつも目にしました。

昨年11月、ユニセフは「ガザ地区において子どもたちが水や衛生設備を利用することが制限され、不十分な状態が続けば、本来ならば完全に回避できる子どもの死が悲劇的に急増する。子どもたちは感染症の集団発生という深刻な脅威に直面している」と警鐘を鳴らしました。今日、ガザ地区ではポリオが発生しています。

昨年12月、ユニセフは「ガザ地区は子どもにとって世界で最も危険な場所」と述べました。そして、1年以上もの間、その残酷な、事実に基づく現実が日々確かなものとなっているのです。

しかし、声明や確かなデータ、燃えるテントの地獄、悲痛な叫び声、手足を失った絶望的な子どもたちとの数えきれないほどの会話、医薬品を求める医師たちの必死の訴え、そして支援活動の阻害や遅延にもかかわらず、苦しみを軽減するための行動はとられていません。実際、北部で繰り返されている光景を見ると、状況は悪化の一途をたどっています。昨年ガザ地区で起きた出来事の一つひとつが繰り返されるたびに、さらに多くの子どもが命を奪われてしまいます。

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■ ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」 ご協力のお願い

ガザ地区をはじめパレスチナで戦闘の影響を受ける子どもたちを支援するため、(公財)日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ガザ人道危機 緊急募金」を受け付けています。詳しくはこちらをご覧ください。

https://www.unicef.or.jp/kinkyu/gaza/ 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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本社所在地
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03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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