戦闘続くスーダン 子どもへの性的暴行増加、最年少は1歳 ユニセフ、新報告書発表 【プレスリリース】

【2025年3月4日 ニューヨーク発】
スーダンで紛争が全土に広がる中、武装した男たちが子どもたちに性的暴行や性暴力を行っています。最年少のサバイバーは、わずか1歳でした。ユニセフ(国連児童基金)は、子どもの保護と支援に向けた緊急の取り組みを国際社会に対し呼び掛けました。
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スーダンにおけるジェンダーに基づく暴力(GBV)に関する、支援提供者がまとめたデータは、子どもが直面している危機を痛ましいほどに浮き彫りにしています。2024年の初めから、子どもに対する性的暴行が221件記録されています*。
これらの数字は、全体のほんの一部にすぎません。支援や最前線で働く担当者へのアクセスが困難であることや、スティグマ、家族や地域社会からの拒絶、武装集団からの報復、また守秘義務が破られることなどを恐れ、サバイバーとその家族は、被害を申し出ることをためらったり、できなかったりすることが多々あります。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「わずか1歳ほどの幼い子どもが、武装した男に性的暴行を受ける事態には、誰もが衝撃を受け、即座に行動を起こさずにはいられなくなります。スーダンでは数百万人の子どもがレイプやその他の性暴力の危険にさらされており、戦術として利用されています。これは国際法の忌まわしい侵害であり、戦争犯罪の構成要件になり得ます。このような事態は絶対終わらせなければなりません」

報告された、221人の性的暴行を受けた子どものサバイバーのうち147人、つまり66%が女の子です。また残り33%が男の子であることにも注目すべきです。彼らもまた、報告したり、助けや支援を求めたりするにあたり、スティグマや特有の困難に直面する可能性があるからです。衝撃的なことに、5歳未満のサバイバーが16人おり、この数字には1歳の子ども4人も含まれています。これらの報告は、スーダン各地の9州よりあげられています。加えて子どもに対する性暴力の報告が77件あり、その大半は強姦未遂でした。

暴力の残忍な実態と、その被害に遭うことへの恐怖から、女性や女の子は家や家族を離れ、他の都市へと逃れることを余儀なくされています。そして逃げた先の都市で往々にして、非公式の避難所や、物資が不足したコミュニティにたどり着きます。性暴力のリスクはこうした受け入れ先のコミュニティ内でも高く、特に国内避難民となった子どもが最も大きな危険に晒されます。
性暴力がサバイバーに与える計り知れない影響は、一見しても分からないことが多いのです。一方で、深刻な心理的外傷、社会的なスティグマにより孤立させられたり家族から拒絶されたりすること、妊娠、性感染症、重大なけがやその他の合併症など、甚大かつ長期にわたる負の遺産をもたらすものです。
ジェンダーに基づく暴力のサバイバーに対し、ユニセフはパートナーと共に支援を提供する安全な場所を設置しています。さらにはそれらを保健センターや移動式クリニックが提供するサービスと統合し、関連する保健医療物資を提供するために協働しています。 ユニセフはまた、ソーシャルワーカーや心理学者、医療従事者など最前線で働くスタッフのスキルを高め、スーダンの各地に派遣して、メンタルヘルスや心理社会的支援、紹介など、コミュニティを基盤としたサービスを提供しています。 また、有害な社会規範や慣習に対処するために、コミュニティ内でも活動を行っています。
ラッセルは「スーダンにまん延する性暴力は、人々、特に子どもに恐怖を植え付けています」と述べています。「紛争当事者、および当事者に影響力を持つ者は、子どもに対するこうした重大な権利侵害を終わらせるために、あらゆる努力を払わなければなりません。性暴力がもたらす戦争の傷跡は計り知れず、かつ長期間にわたって残ります」
ユニセフは引き続き、以下のことを要求しています。
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スーダン政府およびすべての当事者は、国際人道法および国際人権法に基づく義務を尊重し、民間人、特に子どもを保護しなければならない
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戦術としての性暴力を含むジェンダーに基づく暴力を、ただちに止めなければならない
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人命をも左右するため、必要不可欠なインフラおよびインフラサービスの提供者が、サービス提供を継続できるよう保護されなければならない
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人道支援従事者は、命を守る物資や支援を安全に届けられなければならない。また家族は、必要とする支援に安全にアクセスできなければならない
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人道支援を強化し、また加害者に責任を取らせるための幅広い取り組みの一環として、安全で倫理的なデータシステムが優先されなければならない
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資金に関する意思決定においてドナーは、ジェンダーに基づく暴力に関する支援プログラムを、命を守る活動として扱わなければならない。スーダンの性暴力危機が拡大し続け、子どもに影響を与え甚大かつ長期的な負の遺産を継がせてしまうことを防ぐために、期限が迫っている
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■ 注記
本信に関連する報告書全文は、こちらからご覧いただけます。
https://weshare.unicef.org/Detail/2AM408MJLYMA
*データに関する注記:データのサンプル数は多くありませんが、このデータは、女性や子どもが直面する重大なリスクについて、有益な洞察を提供しています。また、サバイバーを中心に据えた支援サービスや、被害者のデータを保護するための安全で倫理的なシステムへの追加投資の必要性を示しています。
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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