停戦中も攻撃が続くレバノン 直近1週間で59人の子どもが死傷 求められるメンタルヘルスケア支援 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

南レバノン県ティールの学校で、避難生活を送る1歳のザフラーちゃん(左)と4歳のライラちゃん(レバノン、2026年4月23日撮影) © UNICEF/UNI982419/ 

【2026年5月13日 アンマン(ヨルダン)/ベイルート(レバノン)発】

レバノンで、停戦合意後も子どもの犠牲が相次いでいるとの報告を受け、ユニセフ(国連児童基金)は、子どもたちを取り巻く事態の深刻さを以下のように訴えています。

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レバノンの子どもたちは、今も続く暴力や避難生活、そして心に深い傷を残す出来事にさらされる中で、最も過酷な影響を受け続けています。今年4月17日に停戦合意がなされたにもかかわらず、直近7日間だけで、少なくとも59人の子どもが死亡または負傷したと報告されています。この数には、今朝、車が攻撃され、乗っていた母親と共に死亡した2人の子どもも、含まれています。こうした事案は、子どもたちが重大な権利侵害と相次ぐ危険にさらされ続けていることをあらためて痛感させるものです。

ベイルートで、停戦後に祖父の家を訪れた10歳のマフディさん。思い出が詰まった場所も、攻撃によって、今はがれきと化している(レバノン、2026年4月17日撮影)© UNICEF/UNI979074/Choufany 

レバノン保健省によると、停戦以降、少なくとも23人の子どもが死亡し、93人が負傷しており、戦闘が激化した今年3月2日以降では計200人の子どもが死亡、806人が負傷しています。これは、平均すると1日に約14人の子どもが死亡または負傷していることになります。

 

ユニセフの中東・北アフリカ事務所代表エドゥアルド・ベイグベデルは次のように述べています。「子どもたちは、本来であれば教室に戻り、友だちと遊び、数カ月にわたる恐怖と混乱から立ち直ろうとしている時期に、命を落としたりけがを負ったりしています。約1カ月前に、戦闘を止め、暴力を終わらせるための停戦合意が成立しました。しかし、現実はそれとは大きくかけ離れています。攻撃は今も続き、子どもたちを傷つけ、命を奪っています。こうした状況は、子どもたちにさらに深刻な心の傷を残し、その影響は生涯に及ぶ恐れがあります」。

 

空爆などの攻撃による直接的な影響にとどまらず、推定77万人の子どもが、暴力や喪失、また避難を強いられる状況に繰り返しさらされる中で、深刻な精神的苦痛を感じています。子どもや保護者は、心的外傷後ストレス(トラウマ)や死別などによる深い悲しみに関連する症状、例えば極度の恐怖や不安、悪夢、不眠、絶望感を訴えています。安全で安心できる環境でこころのケアや心理社会的支援を受けられなければ、こうした子どもたちは、慢性的な、あるいは生涯にわたるメンタルヘルスの問題を抱える重大なリスクにさらされています。

 

ユニセフが2025年に実施した「Child-focused Rapid Assessment (子どもに焦点を当てた迅速評価、CfRA)」によるデータによると、レバノンで2024年に起きた軍事衝突激化後に、子どものメンタルヘルスが急激に悪化したことがすでに示されており、保護者の72%が自分の子どもは不安や緊張を感じていると回答し、62%が気分の落ち込みや悲しみが見られると報告しています。その後も続く暴力と不安定な状況により、こうした影響はさらに深刻化しており、子どもたちは回復に必要な時間や安全、支援を得られないまま取り残されています。

ベイルートの避難施設で、子どもたちが遊ぶブロックのおもちゃ。ユニセフは、遊びを通じて、子どもたちがわずかな時間でも日常を取り戻せるように支援している(レバノン、2026年4月24日撮影) © UNICEF/UNI982741/Choufany 

「紛争に繰り返しさらされることで子どもたちが受けるメンタルヘルスへの影響は、甚大かつ長期にわたる可能性があります。レバノンの子どもたちは、暴力や避難、先の見えない状況に何度もさらされ、そのたびに、元に戻るための時間がほとんど、あるいは全くないまま過ごしてきました。緊急の支援がなければ、この複合的な危機によって生じた心の傷は何年にもわたり残り続け、子どもたち一人ひとりのウェルビーイングだけでなく、彼らの将来、そして国の未来にも影響を及ぼす恐れがあるのです」(ベイグベデル代表)

 

子どもたちが紛争による心理的ダメージから立ち直り、将来にわたる影響を受けることがないようにするためには、メンタルヘルスケアや心理社会的支援への緊急の投資が不可欠です。ユニセフは、安全な空間やコミュニティを基盤とした支援プログラムなどを通じて、レバノン全土でメンタルヘルスケアおよび心理社会的支援の拡充を進めています。しかし、必要とされる支援に対して、利用可能なリソースは依然としてはるかに不足しています。

 

ユニセフは、すべての当事者に対し、子どもを保護し、国際人道法を守り、停戦維持に必要なあらゆる措置を講じるよう求めています。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。https://www.unicef.org 

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。https://www.unicef.or.jp 

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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