車載用高精度 角度センサを開発
<要旨>
パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、パナソニック)は、車載用モータの回転角度を高精度に検出する角度センサ「A3MR」(※1)を開発しました。高い磁界レンジに対応可能なAMR薄膜(※2)と360度の角度検出が可能なホール素子(※3)を内蔵した小型・高精度なセンサで、車載に要求されるISO26262(機能安全)(※4)にも対応します。
・商品のお問い合わせ先
パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 デバイスソリューション事業部
https://industrial.panasonic.com/cuif/jp/contact-us?field_contact_group=691&field_contact_lineup=3439?ad=press20170327
・商品の詳細ページ
https://industrial.panasonic.com/jp/ds/pr/a3mr_sensor?ad=press20170327
<効果>
本開発品は、モータ内の回転部分が何度動いたか(回転角度)を高精度に検出します。これにより、モータの動きを正確に把握し、モータの回転速度や駆動量を管理することが可能になり、より効率的なモータ制御が実現します。さらに小型軽量で、磁界が不均一でも高精度検出ができるため、サイドシャフト検出(※5)が可能で、センサの取付けが容易になります。例えば、ADAS(先進運転支援システム)(※6)では、電動パワーステアリングの回転やシフトチェンジなどの操作は、モータの回転角度などによって車両の挙動に反映されており、モータを高精度に制御することでより正確な動きを実現できます。また、ISGハイブリッドシステム(※7)の駆動用モータではモータの回転角度を制御することで回転ムラをなくし効率を高め燃費向上を実現することができます。
<特長>
本開発品は以下の特長を有しております。
1. 小型・軽量で360度の角度を高精度に検出(角度精度:±0.1度以下、摂氏25度時)
2. センサの配置位置の自由度が高く、設計が容易(サイドシャフト検出が可能)
3. 高い磁界レンジに対応でき、ノイズ耐性に優れる(磁界レンジ:20mT~200mT)
<内容>
本開発品は次の要素技術から構成されています。
1. 磁界が不均一でも高精度に磁界の向きを検出するAMR薄膜の形成技術
2. 高精度な360度検出を実現する制御回路技術
<従来例>
現在、主流のレゾルバ方式(※8)は、高精度検出が可能ですが、サイズ、重量が大きく、ISO26262に対応する冗長設計(※9)が困難でした。GMR(※10)などの磁気センサも使用されていますが、小型であるものの、レゾルバ方式と比べると角度精度が劣り、また強い磁界がかかる環境では精度が得られないという課題がありました。市場からは、レゾルバ方式の代替が可能な、強い磁界レンジでも使用できる小型・高精度なセンサが求められています。
<用途>
車載用モータの回転角度検出(電動パワーステアリング用、ISGハイブリッドシステム用、シフトバイワイヤー(※11)用など)
<実用化>
サンプル出荷予定:2017年5月、受注開始予定:2019年9月
<用語説明>
※1 角度センサ「A3MR」
車載モータの回転角度を検出するセンサ。モータの軸の回転により生じる磁界の変化によって磁気の抵抗値が変化することで回転角度を検出するしくみ。「A3MR(エーキューブエムアール)」は、パナソニック開発品の愛称。3つのAには、“Anisotoropic(異方性の意味で、AMR素子のこと)”、“Abusolute(絶対角度を測定)”、“Accurate(高精度)”の意味がこめられている。
※2 AMR薄膜
磁気センサに用いられる素子の1種で、AMRはAnitorpic-Magneto-Resistance(異方性磁気抵抗素子)のこと。
※3 ホール素子
磁気センサに用いられる素子の1種で、ホール効果を利用した磁気センサ。ホール効果とは、電流と垂直な方向に磁場がかかった場合、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が発生する現象。
※4 ISO26262(機能安全)
自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格。機能安全とは、ある機能・部品が故障した場合でも、システムの安全性を確保できるようにすること。
※5 サイドシャフト検出
磁気センサでモータの回転角を測定する場合に、モータの回転軸上ではなく、外周に配置すること。
※6 ADAS(先進運転支援システム)
事故などの可能性を事前に検知し、回避するシステムのことで、Advanced Driver Assistance Systemの略。
※7 ISGハイブリッドシステム
スターター、ジェネレーター兼用のモータを使用するハイブリッドシステムのことで、Integrated Starter Generator Hybrid Systemの略。
※8 レゾルバ方式
モータの回転軸にコイルを複数個とりつけた構成で、電磁誘導の原理で回転角を検出する方式。
※9 冗長設計
不具合が発生した場合に備えて、予備機能をバックアップとして配置し、機能を維持し続けられるように設計すること。部品が大型の場合、限られた設置スペース内に予備機能を配置することが困難で、一般のレゾルバ方式では冗長設計は難しいとされている。
※10 GMR
磁気センサに用いられる素子の1種で、GMRはGiant Magneto Resistive(巨大磁気抵抗)のこと。
※11 シフトバイワイヤー
変速機の制御を、シャフトなどの機構ではなく、電気信号で制御するシステム。
全文は以下プレスリリースをご覧ください。
▼[プレスリリース] 車載用高精度 角度センサを開発(2017年3月27日)
http://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/03/jn170327-2/jn170327-2.html
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