苦しみの悪循環に追いやられたガザの子どもたち 清潔な水と環境の欠如、感染症のまん延 絶望に打ちひしがれる親の声 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

仮設テントの前に立つガザの男の子(パレスチナ、2026年5月28日撮影) ©UNICEF Video/UNI999130 

【2026年5月29日 ガザ/ジュネーブ発】

ユニセフ(国連児童基金)中東・北アフリカ地域事務所の広報官サリム・オウェイスは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、パレスチナ・ガザ地区の子どもたちが置かれている悲惨な状況について、以下の発言を行いました。

* * *

ガザでは、子どもたちの基本的なニーズが満たされておらず、彼らは果てしない苦しみの連鎖に追い込まれています。

こうした状況を私自身が説明するよりも、私がこの1週間に出会った、絶望に打ちひしがれた親たちの体験談を聞いていただく方が、より的確にご理解いただけるでしょう。

 

ヒンドさんは、4歳の娘マサちゃんが夜中にネズミにかまれて以来、眠れていないと言います。ガザの多くの家族は、避難できる場所を求め、行けるところならどこにでも身を寄せています。ヒンドさん一家の避難先は、天井から下水が漏れ、ネズミが建物のひび割れを這い回ったり、むき出しの配管を伝って上がってきたりするような状態の、集合住宅の2階でした。

 

アマニさんの7歳の娘、レマルさんは、細菌感染によって、頭や背中、脚に深い傷やただれができてしまいました。アマニさんは、入手が難しいわずかな清潔な水で、毎日レマルさんの傷を洗おうとしますが、そのたびに彼女は激痛に悲鳴を上げます。

 

アブダラさんの母親は、排泄物で汚染された砂地のすぐ横に張られたテントで生活しているため、アブダラさんが皮膚感染症にかかったと話しています。医師にも相談していますが、息子の回復を助けさらなる感染を防ぐための薬と、十分な清潔な水や衛生用品を切実に必要としています。

 

アブデル・アリームさんによると、生後8カ月の息子アハマドちゃんと妊娠中の義理の妹が、数週間前にネズミにかまれたそうです。テントの周囲に防護用の土のうを積み重ねていますが、ネズミはそれをかじり破ってしまうため、防ぐことはできません。

こうした話に共通しているのは、本来であれば当然のようにできるはずの、子どもの健康と安全を守るという役割を果たせなくなっている、親たちの深い悲しみです。

ガザの仮設テント前で、生後8カ月のアフマドちゃんがネズミにかまれた時の説明をする、父親のアブデルさん(パレスチナ、2026年5月28日撮影) ©UNICEF Video/UNI999130 

人々がどのような環境での生活を強いられているのかを見れば、その理由は明らかです。

 

ガザはもともと世界でも有数の人口密度の高い地域でしたが、今では、人々は残された空間の約4割に押し込められ、壊れた建物やがれき、山積みになったごみの中で身を寄せ合っています。

 

ガザ全域で人々は清潔な水を十分に確保することができず、わずかな水を、飲むか、洗うか、料理に使うかという選択をせざるを得ない状況にあります。ユニセフは、清潔な水を可能な限り多くの人々に届けようと、月に最大150万人への支援を目指して取り組んでいますが、そこには大きな障壁があります。

 

第一に、給水活動そのものが致命的な攻撃にさらされています。少し前にはマンスーラ給水拠点が攻撃され、ユニセフと契約していた給水車の運転手2人が、水を汲もうとしていた時に命を奪われました。25万人以上の拠り所となっているこの主要な給水場所には、現在立ち入ることができません。

 

第二に、給水システムを維持し、損傷した水道インフラを修理するために必要な物資、つまり潤滑油、水処理用の薬品、予備部品などが、必要な規模での搬入を許可されていません。そのため、清潔な水をより多くの子どもたちに届けるために必要なスピードで修理を進めることができず、既存の設備も、メンテナンス不足や過度な使用により機能不全に陥るリスクがあります。もし修理ができなければ、給水車に頼らざるを得ず、はるかに費用がかさむ上、住民に効率的に供給することができません。

 

第三に、ごみが日ごとに増え続けていることです。これらはがれきと共に撤去する必要がありますが、搬出先となるスペースがもはや確保できないため、必要とされる規模での処理が不可能な状況です。

ガザで、がれきとごみが積み上がり、不衛生な状態のまま放置されている様子(パレスチナ、2026年5月28日撮影) ©UNICEF Video/UNI999130 

こうした影響はすでに広く表れています。子どもは呼吸器感染症や急性水様性下痢症に苦しみ、また半数を超える世帯で皮膚疾患が報告されています。ノミやシラミ、疥癬(かいせん)は日常的にみられる状況です。入院を必要とする子どもが増加しています。ガザ全域で完全に機能している病院が一つもない中で、こうした事態が起きているのです。

 

子どもの栄養状態についても、状況は同様に深刻です。飢きんの事態はなんとか食い止めることができましたが、栄養不良の子どもや脆弱な状態にある子どもの数は依然として極めて深刻な水準にあります。2年以上にわたる食料不足、劣悪な住環境、水不足、非常に深刻な衛生状況、そして頻繁に発生する集団感染により、住民は極度に脆弱な状態に置かれています。まともな食事を作るために必要なきれいな水や燃料が十分になければ、治療を受けて回復した子どもたちでさえ、すぐに再び栄養不良の悪循環に陥ってしまいます。その影響は一生続く恐れがあります。

 

どの親も、自分の子どもの健康を守るための基本的なニーズさえ満たせないような状況に置かれるべきではありません。子どもが痛みで身もだえしたり、確実に防げたはずの下痢症によって衰弱して倒れ込んだりするのを、親がただ見守るしかないような状況があってはなりません。このような事態が起きていることは、誰にとっても決して許されることではありません。

 

水、栄養のある食事、そして保健医療は、あらゆる子どもにとって、どこにいても、条件なしにアクセスできるものでなくてはなりません。

 

ユニセフは、人道支援活動を安全かつ妨げなく実施できるようにすること、上下水道システムの迅速な修復と維持に必要な物資への制限を解除すること、そして国際人道法が遵守されることを求めています。

 

そうなって初めて、ガザの子どもたちは、自分たちが追い込まれている苦しみの連鎖から解かれることができるのです。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。https://www.unicef.org 

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。https://www.unicef.or.jp 

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会社概要

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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