世界的な輸送コストの上昇 人道支援にも深刻な影響を及ぼす 「子どもの命が脅かされてはならない」 ユニセフ物資供給部門チーフ 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

モプチ州にある避難民キャンプで、上腕計測メジャーを使って栄養状態の検査を受ける2歳のウスマンちゃん(マリ、2026年4月10日撮影) © UNICEF/UNI994197/Dicko 

【2026年6月2日 ジュネーブ/モガディシュ(ソマリア)発】

ユニセフ(国連児童基金)の物資供給部門チーフのジャン=セドリック・ミューズは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、輸送コストの上昇が世界中の子どもに及ぼしている影響について、以下のとおり発言しました。

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今年2月に中東で軍事的緊張が高まって以来、約100日が経過しましたが、その影響はこの地域をはるかに越えて広がっています。世界的な人道支援物資の供給網(サプライチェーン)の混乱は、世界中の子どもたちに影響を及ぼしており、主要な国際輸送経路で滞留が続くとともに、輸送コストもあらゆる段階で上昇しています。

輸送コストの上昇は、子どもたちが必要とする命を守る物資に充てられる資金の減少を意味します。こうした圧力は、ユニセフのような組織にとって支援活動を一層厳しくし、余裕のない中で些細な事が大きな影響につながりかねない状況に追い込んでいます。

 

海上輸送の混乱として始まった事態が、人道危機へと発展する可能性があります。ユニセフにとっては、こうした継続的な遅延や運用コストの上昇が、世界的な資金不足と相まることで、「どの子どもから優先的に支援を届けるのか」という厳しい判断を迫られています。

 

輸送や物流のコストだけでも、甚大な影響を及ぼしています。南アフリカ共和国の喜望峰を経由する海上ルートへの迂回により、現在、輸送期間に2~4週間の遅れが生じています。中東を経由する航空貨物の輸送能力は逼迫しており、港の混雑はアフリカ各地をはじめ、その他の地域にまで広がっています。こうした連鎖的な混乱の背景には、単純かつ厳しい現実があります。ユニセフが輸送に費やす金額が1ドル増えるたびに、子どもたちのための物資に充てられる資金が1ドル減ってしまうのです。

コペンハーゲンにあるユニセフの物資供給センター(デンマーク、2026年5月22日撮影)© UNICEF/UNI997508/Asamoah

ここ数カ月間の支援現場への影響は、すでに深刻です。インドからエチオピア、ナイジェリア、コンゴ民主共和国へのワクチン輸送にかかる航空運賃は、50~70%上昇しました。ケニアの製造業者からソマリア、南スーダン、コンゴ民主共和国へ、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)をトラックで輸送する費用は、30%上昇しました。中国からイエメンやモザンビークへ届ける教育物資の海上輸送費は、100~150%の大幅な上昇となっています。

 

ナイジェリアの子ども1,200万人を対象とするポリオの集団予防接種では、注射器の輸送経路を変更せざるを得なくなり、20万米ドルの追加費用が発生し、輸送コストは56%増となりました。

 

首都バマコにあるユニセフの倉庫に、栄養治療食(RUTF)を積んだトラックが到着し、スタッフが物資を整理している様子(マリ、2026年5月20日撮影) © UNICEF/UNI998073/Borra 

マリへの国際輸送にかかる費用は、第1四半期において36%増でした。こうしたコストの増加によって、ユニセフ・マリ事務所は、発注するRUTFの数量、すなわち治療を受けられる子どもの数を減らすか、あるいは、これらの予期せぬ輸送コストを負担することで、保健・教育・水と衛生(WASH)・子どもの保護プログラムなど、他の重要な支援活動に充てる資金を減らすか、という厳しい選択に直面しています。

アフガニスタンへの栄養支援物資の輸送も、相次ぐ輸送ルートの閉鎖により、ジョージアを経由してカスピ海を横断するルートを用いらざるを得ず、配送におよそ2カ月の遅れが生じています。

 

アフリカのベイラ、コナクリ、アビジャン、ダルエスサラーム、モンバサの各港では、いずれも大幅な遅延が発生しています。これらの輸送ルートに依存する内陸国は、連鎖的な影響に直面し続けています。エチオピアにとって主要な人道回廊であるジブチ・ルートにも、ますます大きな圧力がかかっています。そして、何百万人もの子どもが、こうした変化の矢面に立たされています。

 

さらに、物流パートナーからユニセフに提供されている年間の輸送支援枠もほぼ使い切っており、これは前例のない異例の状況です。

 

これらの混乱が積み重なることで、極めて重要な物資の供給が最大4~6カ月遅れる可能性があると見込んでいます。危機的な地域にいる子どもたちにとって、ワクチンや栄養治療食などの支援物資の到着が遅れることは、生死を分けることになりかねません。

 

こうした困難にもかかわらず、ユニセフは重要な物資の供給の流れを止めていません。代替となる空路、陸路、海路を確保し、調達の前倒しや供給元の多様化を進めています。コペンハーゲンやドバイの物流拠点、そして世界中に300カ所以上ある支援物資倉庫を含むユニセフのグローバルネットワークを、戦略的に活用しています。また、製造の現地化も進めています。ユニセフは現在、エチオピア、ケニア、ハイチ、エジプトをはじめとする世界中のRUTF製造業者20社以上と連携しています。これにより、長距離の国際輸送への依存度を減らしています。

レバノンに向けて、コペンハーゲンから空輸されるユニセフの緊急支援物資(デンマーク、2026年3月10日撮影) © UNICEF/UNI958807/Mansour

さらにユニセフは、調達戦略や市場形成の取り組みを通じて、サプライチェーンのレジリエンスと供給の安定性を強化し、価格の安定に貢献することで、品不足や価格高騰のリスクを軽減しています。 

 

世界食糧計画(WFP)やその他の国連パートナーと協力し、ユニセフは主要な輸送業者から、人道支援物資の輸送に対する追加料金を一時的に停止する確約を取り付けました。これにより、国連全体の活動において推計200万米ドルのコスト減を見込むことができます。しかし、はっきりさせておきたいのは、人道支援機関の努力で対応できる余地には限界があるということです。

 

サプライチェーンが滞れば、真っ先に代償を払うのは子どもたちです。こうしたあらゆる課題に直面しながらも、ユニセフとパートナー団体は支援活動を継続しています。私たちは、こうした困難によって子どもたちの命とウェルビーイングが脅かされることを決して許しません。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。https://www.unicef.org 

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。https://www.unicef.or.jp 

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会社概要

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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