気候危機に関するユニセフ新報告書 世界の子どもの約半数11億人が3つ以上重なる気候ハザードに直面 複数災害と生活・社会環境を組み合わせたリスク分析 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

熱帯低気圧の被害を受けた教室に立つ13歳のエドヴィンさん(マダガスカル、2025年4月11日撮影) © UNICEF/UNI779659/Ralaivita

【2026年6月16日 ニューヨーク発】

 本日発表のユニセフの最新報告書によると、世界の子どものほぼ半数に当たる11億人が、現在、少なくとも3つの重複する気候ハザードにさらされており、彼らの健康、教育、そして生存が脅かされています。報告書は、世界中のほぼすべての子どもが、少なくとも1つの気候ハザードにさらされている一方で、400万人以上の子どもが、最大で6つもの重複する気候ハザードにさらされる恐れがあるとして警鐘を鳴らしています。

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「子どもの気候リスク報告書2026年版(The Children’s Climate Risk Report 2026)」は、入手可能な最新のデータを基に、沿岸洪水、干ばつ、極端な高温、森林火災、熱波、河川氾濫、砂塵嵐、熱帯低気圧といった、最も頻度の高い8つの気候ハザードに、子どもたちがどの程度さらされているかを明らかにしています。さらに今回初めて、複数の気候ハザードがどこで、どの程度の強さで重なり合っていて、子どもたち自身や彼らが必要とする不可欠な社会サービスにどのような影響を及ぼしているのかを、具体的に明らかにしています。併せて、各国政府がどのような具体的措置を講じてこれに対応できるかを示しています。

干ばつにより、自宅を離れて避難生活を送る子どもたち(ソマリア、2026年3月2日撮影) © UNICEF/UNI971778/Yasin

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「子どもたちの生活は、熱波や森林火災、干ばつ、洪水に大きく振り回され続けています。いまや、世界の子どもの半数が、日々の暮らしを左右する少なくとも3つの重なり合う気候上の脅威に直面して生活しています」。

調査結果によると、干ばつ、極端な高温、熱波が重なるパターンが最も広く見られ、これら3つの気候ハザードがすべて重なる地域には2億9,600万人を超える子どもが暮らしています。2番目に多い組み合わせは干ばつ、極端な高温、熱帯性暴風雨であり、世界中で1億1,500万人を超える子どもがこれらの重なり合う脅威にさらされています。

世界でも最も深刻な影響を受けている地域の一つであるアフリカのサヘル地域では、400万人以上の子どもが熱波、極端な高温、砂塵嵐という三重の脅威に直面しています。他方、バングラデシュ、ミャンマー、パキスタンなどのアジアの国々は、世界の他のどの地域と比べても、より深刻で、より多くの気候ハザードに同時に見舞われています。

サイクロンによる洪水で浸水した道路を歩く子どもたち(バングラデシュ、2025年7月10日撮影) © UNICEF/UNI830059/ 

高所得国も、複数の気候ショックが重なる状況と無縁ではありません。例えばイタリアでは、600万人以上の子どもが長期化する熱波と干ばつにさらされていることを、データは示しています。同国の事例は、気候変動への適応策への投資が、子どもたちが直面するリスク軽減に寄与できることを示しつつも、気候危機の深刻化に伴い、さらなる行動が必要であることを浮き彫りにしています。

本報告書では、最も発生頻度の高い8つの気候ハザードに加え、大気汚染とマラリアについても、子どもたちがさらされているリスクを分析しています。これら2つのリスクは気候変動の影響を強く受けています。データによると、大気汚染の影響は世界中のほぼすべての子どもに及んでおり、マラリアのリスクにさらされている子どもは10億人に上ります。これは、すでに複数の気候ハザードに直面している子どもたちにとって、さらなるリスクをもたらすことを意味します。

本報告書はさらに、子どもたちが直面するさまざまな種類のリスクを分析するためのフレームワークを提示しています。そのフレームワークは、気候ハザードへの曝露状況と、保健医療、清潔な水、教育など不可欠な社会サービスへのアクセスによって規定される脆弱性に、基づいています。この手法は、個々または複数の気候ハザードに関連するリスクの分析から分野横断的なリスクの検証まで広く適用でき、子どもが直面するリスクをさまざまな状況にわたって明らかにします。

ハリケーンによる被害でフロントガラスが損傷したスクールバスを見つめる生徒たち(ジャマイカ、2025年11月5日撮影) © UNICEF/UNI895478/Pryce 

例えば、複数のハザードと脆弱性を併せて考えると、中央アフリカ共和国やチャドといった内陸開発途上国*やフラジリティの高い(制度・基盤が脆弱な)*国々の子どもたちは、気候ハザードが重なり合う状況に直面しているだけでなく、基本的な社会サービスへのアクセスも欠如しているため、対処や回復がはるかに困難になっています。一方、カリブ海のハイチや南太平洋のバヌアツなど24の小島嶼開発途上国*のすべての子どもは、島全体を一瞬にして大きな混乱に陥れ、不可欠な社会サービスを機能不全にする恐れのある熱帯暴風雨に見舞われている、と報告書は指摘しています。

温室効果ガスの排出削減に向けた緊急の取り組みがなされなければ、気候ハザードはより頻繁かつ深刻になり、各国政府の財政やシステムにさらなる負担をかけ、子どものウェルビーイングを脅かすことになる、と報告書は強い懸念を示しています。

気候変動の脅威から子どもの権利を守り、ますます変化する環境に適応するため、ユニセフは政府、企業、および関係するすべての主体に対し、以下のことを求めています。

  • 利用可能な最新の科学的知見に基づき、温室効果ガス排出の削減に取り組むとともに、既存の国際的なコミットメント(約束)の履行に向けた野心的な行動を取る。これには、化石燃料からの段階的脱却を急ぐことや再生可能エネルギーへの公正な移行が含まれる。

  • 「包摂的な気候変動適応」、「災害リスク軽減」および社会サービスのレジリエンスを優先させる「損失と損害への対応」を通じて子どもを保護する。それによって、国の適応計画と分野別戦略、災害リスクのガバナンス、防災・対応計画に、子どもおよび子どもにとって不可欠なサービスが確実に盛り込まれるようにする。これには、例えば、安全で環境に配慮した学習施設ならびに気候変動にレジリエントな保健医療施設の整備、子どもの食料の安定的な確保、複数の災害に対応した早期警報システムを子どもにとって有効で、かつ子どもが必要とする社会サービスにおいても活用できるものとすること、水・衛生サービスの効率化、さらには気候ショックに対応する社会的保護システムの強化などが含まれる。

  • 子どもや若者が気候変動対策に有意義なかたちで参加できるようにする。そのためには、気候変動に関する教育や知識・技能への投資を行うとともに、子どもが有する権利、すなわち意見を聞いてもらう権利、自由に表現する権利、自分の生活に影響を及ぼす意思決定に参加する権利、が確実に尊重されるよう、意思決定者や専門家の対応能力を高める。

ラッセル事務局長はこうも述べています。「この分析は、各国政府や意思決定者がより的確に計画を立て、レジリエントな公共サービスにより効果的に投資する一助となるでしょう。保健・教育システムを強化し、子どもたちのことを念頭に置いてインフラを改善・整備することで、子どもたちを今日の気候脅威から保護するとともに、その将来をしっかりと守ることができるのです」。

小学校で、雨水をろ過する給水設備から水をくむ子どもたち(ベトナム、2025年4月24日撮影) © UNICEF/UNI793440/Luu Thu Huong 

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■    脚注

1人の子どもが一生の中で直面しうる気候脅威の深刻さや発生頻度をより的確に把握するため、本調査では100年周期に基づく確率モデルを用いています。この手法により、ある年に世界のどこかで発生する可能性が極めて高い極端な気候事象を捉えるとともに、子どもたちがさらされる最も重大な気候ハザードを明らかにしています。

「子どもの気候リスク報告書2026年版」では、子どもたちがさらされているリスクとして、沿岸洪水、干ばつ、極端な高温、森林火災、熱波、河川氾濫、砂塵嵐、熱帯暴風雨という8つの気候ハザードに加え、気候変動の影響を受けやすい大気汚染とベクター媒介性疾患といった2つの気候に関連したハザードについても分析しています。その際、水と衛生(WASH)、栄養、子どもの保護、保健、教育、貧困、子どもの生存という7つの側面から、子どもたちの固有の脆弱性を考慮しています。

本報告書は、ユニセフの2021年報告書「気候危機は子どもの権利の危機」と比較し、より広範な気候ハザードおよび脆弱性を対象とした最新のデータとモデルを用いて分析を行っています。分析対象地域も、小島嶼開発途上国(SIDS)を含むほぼすべての国と地域に拡大されました。ピクセル単位で複数のハザードを分析する手法を採用することで、グリッド単位での高解像度データの提供を可能としています。ハザードデータは、国ごとに100平方キロメートルという小さな単位で提供され、一部のハザードについては100メートルの解像度でマッピングされています。

* 内陸開発途上国(LLDCs):国土が海に面しておらず、陸の国境のみに囲まれている開発途上国のことです。多くの場合、国際市場からの地理的孤立や高い貿易コストが経済発展の制約となっています。

* フラジリティ(制度・基盤のもろさ、fragility):経済開発協力機構(OECD)によれば、国家、制度、あるいはコミュニティがリスクにさらされていて、かつそれらのリスクに対応し影響を吸収・軽減するためのレジリエンスを有していない状態を指します。本報告書では、フラジリティが「極めて高い」または「高い」と分類される国を一括して「フラジリティの高い国」と呼びます。

* 小島嶼開発途上国(SIDS):国土の狭さ、遠隔地に位置する島々からなるという特徴を持つ、独自の性質を持つ国々のグループを指します。SIDSは、国土の小ささや地理的な隔たり、限られた資源や輸出基盤に加え、外部からの経済的ショックにさらされやすいという特有の脆弱性を抱えています。

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■「子どもの気候リスク報告書2026年版(The Children’s Climate Risk Report 2026)」(英語)は、以下からご覧いただけます。

   https://data.unicef.org/resources/childrens-climate-risk-report-2026/ 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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