エボラ出血熱 集団感染 コンゴ民主共和国・ウガンダで拡大 「支援があれば最悪の事態は回避可能」 ユニセフ専門家 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

イツリ州ブニアにある小学校で、エボラ出血熱から身を守る方法について話を聞く子どもたち(コンゴ民主共和国、2026年5月22日撮影) © UNICEF/UNI997703/Ndomba Mbikayi 

【2026年6月12日 ジュネーブ発】

コンゴ民主共和国東部でエボラ出血熱の感染が拡大していることを受け、現地を訪れたユニセフ(国連児童基金)の公衆衛生上の緊急事態対応を率いるダグラス・ノーブルは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、以下の発言を行いました。

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私はコンゴ民主共和国イツリ州のブニアから戻ったばかりです。そこで目にした光景は、脳裏から離れません。

 

まず突き付けられるのは、この地域の深刻な状況です。コンゴ民主共和国東部では、数十年にわたる紛争が続いています。多くの子どもと家族が避難を強いられ、病院や診療所では物資の不足が頻繁に起こっています。人々は、暴力から逃れ、鉱山ルートを使い、支援を求めて絶えず移動を続けています。そのため、感染状況の監視や対応がとりわけ難しくなっています。

 

そして、子どもたちの置かれている状況は厳しいものです。イツリ州では、5歳未満の子どもの半数以上が慢性的な栄養不良に陥っています。5人に1人以上がワクチンを一度も接種したことのない「未接種(ゼロドーズ)」の子どもです。つまり、ジフテリア、破傷風、百日咳の基礎的な三種混合ワクチンの初回接種を受けていないということです。これは、保健医療へのアクセスが限られていることの表れです。こうした子どもたちは、以前から極めて脆弱な状態に置かれている子どもたちです。

 

さらなる負担に耐える余力は、すでに限界に近い状態でした。その矢先にエボラが発生したのです。

 

この地域でこれまでに起きたエボラ出血熱の集団感染を見れば、子どもたちにどのような影響が及ぶかは明らかです。子どもは感染者の中でもかなりの割合を占めますが、死亡数ではさらにその割合が高く、特に幼い子どもほど命を落とすリスクが高くなっています。また、多くの子どもが孤児となるか、あるいは親や養育者と離ればなれになってきました。

イツリ州ブニアの病院で、エボラ患者用に設置されたテントを消毒する様子(コンゴ民主共和国、2026年6月5日撮影) © UNICEF/UNI1001007/James 

先日、集団感染の中心地であるイツリ州ブニアのルワンパラ病院を訪問した際、保健医療従事者から、人々が恐怖のあまり定期的な診療に来なくなっていると聞きました。しかし、受診を控えるようになると、子どもたちは予防接種を受け損ね、病気にかかっても適切な治療を受けられなくなり、その結果、感染はしていないのに、子どもたちの命は集団感染の間接的な影響によって奪われていくのです。

 

6月11日現在、コンゴ民主共和国では確定症例が676件、およびそのうち136人の死亡が報告されています。これまでの症例の多くは、社会・経済的に活動的な成人に集中していますが、集団感染の拡大に伴い、家庭内感染の増加に備える必要があります。つまり、今後、より多くの子どもが感染する可能性があるということです。

 

子どもの初期症状、すなわち、発熱、下痢、嘔吐、倦怠感、食欲不振は、イツリ州でよく見られるマラリアなど、ほかの疾病と見分けがつきにくいものです。そのため、エボラ感染が疑われるまでに、命を左右しかねない貴重な時間が失われてしまう可能性があります。

今回のエボラウイルスである「ブンディブギョ株」については、承認されたワクチンや特定の治療法はなく、対症療法に頼るしかありません。つまり、備えの強化、感染予防・管理の徹底、そしてコミュニティの理解と信頼の構築こそが、最前線での対応の要となります。

イツリ州ブニアでは、感染予防のために、学校で正しい手の洗い方を指導している(コンゴ民主共和国、2026年6月3日撮影) © UNICEF/UN0863911/Ndomba Mbikayi 

そして、その信頼の構築は簡単にできるものではありません。最近、ユニセフがコンゴ民主共和国の若者5万人を対象に実施したユーレポート(U-report)調査によると、3人に2人がエボラの感染経路や予防手段を知らず、約5人に1人はこの感染症の存在そのものを疑っており、ほぼ3人に1人が回復した患者を再び自身のコミュニティに受け入れることに反対していました。

 

ある病院にいた際、近くの避難民キャンプに遺体があるが、コミュニティはまだ引き渡しに応じる準備ができていないと聞かされました。保健専門家とコミュニティとの間で対話は進んでいましたが、共通の理解と信頼を築くことがいかに重要かあらためて思い知らされました。だからこそユニセフはパートナーと連携しながら、コミュニティの参画、理解、教育、および主体的な関与を重視した保健医療システムに注力しているのです。

 

イツリ州ブニアで、衛生用品を運ぶユニセフ職員の様子(コンゴ民主共和国、2026年6月3日撮影) © UNICEF/UN0865573/Ndomba Mbikayi 

ユニセフの6カ月間の対応計画は、370万人を対象としています。これまでブニアに150トンの支援物資を送り、1,600人超の地域保健員や地域啓発員を訓練、配置し、24の消毒作業チームを派遣して、すでに16万世帯以上に支援を届けています。

また、エボラの治療施設の近くに託児スペースの設置を進めています。これは、保護者が治療を受けている間、子どもたちを安全に預けられる場所です。最初の託児スペースはブニアに数日以内に開所される予定です。

そして、こうした支援は切実に必要とされているのです。現地のスタッフによると、祖母、父親、母親がエボラで亡くなった家族があり、残された生後わずか1週間の赤ちゃんは現在、慎重に経過を見守られています。

 

感染は国境を越えてウガンダにも広がっており、同国では19件の感染が確認され、うち2人の死亡が報告されています。ウガンダは感染拡大のリスク下にあり、とりわけ両国間の800キロに及ぶ管理の行き届かない国境沿いは、その危険性が高い状態です。ユニセフは、同国内の難民受け入れ箇所、国境沿い、カンパラ都市圏を含む37のハイリスク地区において、国レベルの対応を支援しています。

 

最後に申し上げたいのは、子どもたちを最悪の事態から守ることは可能だという点です。早期診断、しっかりした小児医療体制、接触者の追跡、そして十分な情報を得て主体的に関与するコミュニティがあれば、この集団感染を抑え込むことができます。

 

今、対応を成功させるために必要なのは、リソース、人道支援が確実に届く環境、そしてコミュニティの信頼です。ユニセフは、地域全体のより広範な対応計画の一環として、今後6カ月間で7,070万米ドルの資金を要請しており、そのうち1,740万米ドルが現時点で不足しています。

 

コンゴ民主共和国とウガンダは過去にエボラを封じ込めた実績があり、国際社会の支援があれば、再びそれを成し遂げることができるでしょう。

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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業種
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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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