ガザ:食料と栄養状況に改善の兆しも 人道支援の活動に依存 支援の継続、経済活動の再開が不可欠 【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会

ガザで、ユニセフ支援の高エネルギービスケットを受け取った親子(パレスチナ、2026年7月7日撮影) © UNICEF/UN0886825/El Baba 

【2026年7月23日 ローマ/ニューヨーク発】

ユニセフ(国連児童基金)などが本日発表した新たな分析によると、ガザ地区全域で食料安全保障と子どもの栄養状態に改善が見られています。一方で、この改善は主に食料・栄養・農業・保健分野における人道支援の拡大によるものであり、状況は依然として不安定である、と警鐘を鳴らしています。

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ガザへのアクセスは改善されたものの、現在開放されているのは、ガザ南部のケレム・シャローム(アブ・サレム)検問所のみで、復旧・復興支援に必要な物資の流入は制限されています。そのため、住民の大半は依然として人道支援に頼らざるを得ない状況にあります。ガザの人々は、今もなお、生計や地域の食料システム、そして生活に必要なサービスの回復に苦闘しています。

 

ユニセフ、国連食糧農業機関(FAO)、国連世界食糧計画(WFP)は、食料安全保障と栄養指標の改善は、人道支援と商業活動が拡大すれば、状況が急速に好転しうることを示している、と強調しました。しかし同時に、ガザの人々は依然として基本的なニーズを満たすことに苦慮しており、持続的な人道支援や民間経済活動の再開、資金の確保、そして回復への投資がなければ、こうした改善は急速に後退する恐れがあると指摘しています。

ガザで、ベビーフードや、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を受け取るナジュワさんと息子のオメルちゃん(パレスチナ、2026年7月7日撮影) © UNICEF/UN0886826/El Baba 

最新の総合的食料安全保障レベル分類(IPC)分析では、最も支援を必要としている人々の状況とともに、2025年12月以降、食料安全保障と子どもの栄養状態に改善が見られることが明らかになりました。以下はその概要です。

 

  • 現在、ガザの人口の67%に当たる推定140万人が、高いレベルの急性食料不安(IPCフェーズ3以上)に直面しています。昨年末の160万人(人口の77%)より減少しています。

  • 推定21万2,000人が依然として緊急レベルの急性食料不安の状態(IPCフェーズ4)にあり、その多くは、人道支援・サービスを受けることが特に難しい、イスラエル軍管理区域に近い場所で暮らしています。

  • 北ガザ、ガザ、デルバラハ、ハンユニスの4県では、「警戒」レベルの栄養不良(栄養不良に関するIPCフェーズ2)に直面すると見込まれています。いわゆる「イエローライン」(イスラエル軍管理区域との境界)付近の一部の地域については、調査期間中に分析担当者が立ち入ることができなかったため、分類に必要なデータが不十分でした。

 

2025年10月に停戦合意が成立して以降、食料・栄養支援は大幅に拡大しています。2026年5月だけでも、次のような支援が行われました。

  • 約150万人に食料支援物資が届けられました。

  • 多目的現金給付の受給者数はピーク時で約70万人に達しました。

  • 5歳未満児の60%が栄養支援を受け、急性栄養不良の治療を受けられる子どもの数も増加しました。

 

これと比較して、停戦前の2025年9月時点では、何らかの食料支援を受けた人は約50万人にとどまり、5歳未満の子どものうち栄養支援を受けたのは1%未満でした。支援の拡大後は、食料安全保障の改善が速やかに見られ、今回のIPC分析では、この傾向が継続していることが確認されました。こうした進展にもかかわらず、食料供給は量、質、品目の多様性のいずれの面でもなお十分とは言えません。この問題をさらに深刻にしているのが、生鮮食品やたんぱく源となる食品について民間事業者による流通が不安定であることです。

 

ガザ地区ハンユニスで、栄養不良に苦しむ生後3カ月のミスクちゃん(パレスチナ、2026年7月7日撮影) © UNICEF/UN0887103/El Baba 

栄養不良率の全体的な改善は、主に栄養不良予防プログラムの急速な拡大に加え、中度・重度の栄養不良に対する治療が受けやすくなったことによるものです。こうした成果は継続的な人道支援に大きく依存しており、栄養価の高い食品の不足、相次ぐ集団感染、安全な水の入手や衛生設備の利用への制限、そして生計手段がほぼ崩壊しているという状況が続く中でも達成されたものです。今後1年間では、約7万4,000人の子どもが急性栄養不良の治療を必要とし、約2万5,000人の妊産婦が栄養支援を必要とする見込みです。

生計手段およびより広範な経済活動の本格的な回復や再開はまだ始まっていませんが、農家や牧畜業者が、農地、農業資材、生産手段、獣医サービス、および灌漑用エネルギーなどの必要不可欠なサービスを利用できる地域では、現地の食料生産を立て直せる兆しが見られています。これはすでに畜産分野で明らかになっており、支援が持続している地域では、羊の飼育頭数が33%増加しています。条件が整っている地域社会では、小規模な経済活動の再開に向けてさまざまな工夫が重ねられています。しかし、ガザ地区への物資搬入に関する制限が解除されなければ、こうした取り組みには限界があります。ガザの農地の70%以上は立ち入ることができず、被害の有無や農業資材の確保状況にかかわらず利用できない状態にあります。現在実際に利用できる農地はわずか3%です。こうした農地への立ち入りが阻まれたままであり、農業資材の商業流通人道支援物資の搬入に対する制限も続いているため、大規模な回復は実現できません。これには、種子、有機肥料、受精卵、小型家畜など軍事転用に該当しない農業資材も含まれており、民間事業者と人道支援実施機関の双方による搬入が制限されています。また、海上からの搬入も依然として認められておらず、人々が食料を生産し、収入を得て、生活を再建することを妨げています。

 

ユニセフら3国連機関は、人々が農地、事業活動の場および地域社会に戻り、生活の立て直しを始めるためには、持続的な平和と安全・治安の確保が不可欠であると強調しています。また、ヨルダン、イスラエル、エジプトを経由するすべてのルートや、北部および南部の検問所を通じた、命を守るための人道支援物資の継続的な搬入も、ガザの復興にとって不可欠だとしています。3機関はまた、避難所向け資材、燃料、調理用ガス、農業資材を、民間セクターを通じて直ちに提供するとともに、市場の回復と安定化に向けて商用物資の搬入の拡大を求めています。さらに、感染症の集団発生によって栄養状態の改善が損なわれるリスクがあるため、水と衛生・保健システムの復旧は極めて重要である、と指摘しています。 

3機関は、国際社会に対し、食料・栄養支援、農業生産、保健医療、水・衛生サービス、および生計回復支援プログラムに対する、柔軟かつ予測可能な資金提供の拡大を呼び掛けています。パレスチナ向け支援事業に充てられる各機関の資金は急速に底を突きつつあり、追加資金を確保できなければ、これまでの成果が失われ、ガザの210万人の命がさらなる危険にさらされる恐れがあります。

ユニセフが支援するガザの移動式クリニックで、栄養治療食を口にする生後6カ月のモハメドちゃん(パレスチナ、2026年6月30日撮影) © UNICEF/UN0879775/El Baba 

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「急性栄養不良は減少しましたが、依然として多くの子どもが飢えており、長期間にわたって適切な栄養を得られなかったことで、急性栄養不良から完全には回復できない可能性のある子どももいます。今回の改善は、人道支援が届きやすくなり、実際に支援が届くようになれば、子どもたちを危機の淵から救い出すことができることを示しています。しかし、その改善を支えている栄養支援プログラムは、すべての子どもに届いているわけではなく、資金も底を突きつつあるのが現状です。支援の継続と必要な資金の確保がなければ、こうした成果は数カ月で失われかねません」。

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■ IPCの分析報告書「Gaza Strip: Acute Food Insecurity Situation for 16 April - 30 June 2026 and Projection for 1 July - 31 December 2026」はこちらからダウンロードしていただけます。

https://www.ipcinfo.org/ipc-country-analysis/details-map/en/c/1165303/ 

 

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■ ユニセフについて

ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )

※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます

 

■ 日本ユニセフ協会について

公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )

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会社概要

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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