「家では靴を脱ぐ」は世界の常識ではなかった!――日本人が守り続けた「土足禁止」の風俗を読み解く、井上章一『日本人はなぜ家で靴を脱ぐのか 土足禁止の精神史』が本日発売。

宣教師、オランダ人、ロシア人、ペリー、占領軍……西欧との文明的接触から、日本人の「靴を脱ぐ文化」の歴史と精神を探る。

株式会社新潮社

日本人にとって、「玄関で靴を脱ぐ」のは、ごく当たり前の習慣です。しかし世界に目を向ければ、家の中でも靴を履いたまま生活し、そのまま寝室へ入り、ベッドに横たわることも珍しくありません。なぜ日本人だけが、これほどまでに「室内では靴を脱ぐ」ことにこだわってきたのでしょうか。
『京都ぎらい』などで知られる建築史家・井上章一さんは、ブラジルのリオデジャネイロの病院で「ベッドで靴を脱がないで」と日系人医師に注意された体験を出発点に、この素朴な疑問を徹底的に掘り下げます。安土桃山時代の宣教師、長崎のオランダ商館、黒船来航、敗戦後のGHQ占領、そして現代まで──500年にわたる異文化との接触をたどりながら、日本人の精神史を鮮やかに描き出す瞠目の文化的考察が、2026年7月23日、新潮社から刊行されます。

我々が当たり前にしている「玄関で靴を脱ぐ」「畳には靴で上がらない」という習慣。日本人なら誰も疑問に思わないこの行動は、世界では必ずしも一般的ではありません。本書は、この身近な生活習慣を切り口に、日本文化の深層へ迫る一冊です。

安土桃山時代の宣教師たちは座敷でどう振る舞ったのか。江戸時代の長崎オランダ商館ではどのような履物が用いられていたのか。ペリー来航後、西洋人は畳に上がる際にどのような工夫をしたのか。GHQ占領下では、日本人は土足で踏み入ってくる文明の荒波にどう対処したのか──。

豊富な図像資料や歴史資料を読み解きながら、「靴を脱ぐ」という行為をめぐる日本と西欧の文化的な衝突と交流を、五〇〇年のスケールで描き出します。

 

【目次】

まえがき ベッドで靴をぬがないで

1 階層や地域をのりこえて

2 住まいの近代

3 南蛮時代のミサ聖祭

4 日本の風俗とむきあって

5 スリッパの使い道

6 スリッパをはいて庭へでる

7 オランダか中国か

8 ロシアの影

9 ブーツ、そして靴袋

10 ロシアから英米へ

11 万延元年、未知との遭遇

12 旅館へあがる時

13 家のなか、店のなか

14 伊勢神宮への不敬とは

15 占領期の床と靴

16 戦後のアメリカで

17 世界は靴を脱ぎだした

18 公共の場でも抵抗は

19 鉄道史から見えること

20 野外でも履き物をぬぐ場合

21 草履かスリッパか

22 階層社会の諸問題

23 舞踏会の住宅史

24 架空世界の靴生活

25 官憲にはゆるされて

26 ロイヤル・ファミリーの場合

27 補論・裸の場合は

 

■書籍内容紹介文

ベッドで靴を脱いだら叱られた! 異文化体験の深奥に迫る。

ブラジルの病院での意外な出来事をきっかけに、南蛮屏風や江戸・明治期の絵画、昭和の生活写真などを分析し、西洋では珍しい「室内で靴を脱ぐ」という習慣の文化的意味を掘り下げる。霊柩車、桂離宮、美人、京都など独自のテーマと視点に定評のある著者が、「われわれのこだわり」の隠された側面を明らかにする知的冒険の書!

■著者紹介:井上章一(いのうえ・しょういち)

1955(昭和30)年、京都市生れ。京都大学大学院修士課程修了。国際日本文化研究センター所長。『つくられた桂離宮神話』でサントリー学芸賞、『南蛮幻想―ユリシーズ伝説と安土城』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。専門の建築史・意匠論のほか、美人論、関西文化論など、幅広いジャンルにわたって、ユニークな視点で日本文化について発言している。著書に『京都ぎらい』(2016年、新書大賞)『ふんどしニッポン』『関西人の正体』『ヤマトタケルの日本史』『阪神ファンとダイビング』などがある。

■著者からのメッセージ

日本人はなぜ家で靴を脱ぐのか。このタイトル案は、版元の会議で検討された時に、違和感をいだかれたという。「そんなの、あたりまえじゃないか」という声があがったらしい。わざわざ、論じるまでもないということか。

しかし、世界には家の中を土足ですごす民族が、多くいる。日本が近代化の手本にした西洋世界の人たちだって、家では靴をはいてきた。近世以前の日本があこがれた中国も、その点はかわらない。西洋や中国は日本へ、さまざまな局面で、大きな感化をおよぼした。だが、彼らは、たいてい家の奥へ靴をはいたままあがりこんでいる。

いっぽう、日本は、今にいたるまでそうなっていない。中国や西洋の圧倒的な影響下におかれながら、家でも靴履きという文化は、はねつけた。やはり、これは「なぜ」なのかと問うにあたいする現象である。日本人の民族性という問題に、どうしてもつきあたってしまう。

しかし、私も日本人がすまいで靴をはかない理由は、ときあかせなかった。この本がかかげた標題は、問題提起のかけ声であるにとどまる。われわれの民族性にはおもしろいところがある。履き物をめぐるそれは、論じるねうちがある。以上のようにアピールするタイトルだと、うけとってほしい。

では、この本がおいかけた課題は、なんだったのか。くりかえすが、近代の日本は西洋化をめざしてきた。だが、家庭内の土足厳禁という伝統は、まもりとおしている。さきほどからそうのべてきたが、ことはそれほど単純でもない。

じつは、日本も少なからぬ場で西洋的な屋内における土足許容の習慣を、うけいれている。かつての日本は、ほぼすべての建築が土足での進入を、ゆるさなかった。だが、近代化以後、靴をはいたまま入館させる施設はふえている。今、それを全面的にせきとめているのは、家庭とそれから畳の部屋ぐらいであろう。

ここへいたるまでには、しかしさまざまな葛藤があった。土足許容と土足厳禁の、おしたりひいたりといった歴史がくりひろげられている。そのゆれうごく様子を、可能なかぎりとらえなおしたい。この本は、そんなもくろみのもとにまとめられている。

 

■書籍データ

【タイトル】日本人はなぜ家で靴を脱ぐのか 土足禁止の精神史

【著者名】井上章一

【発売日】2026年7月23日

【造本】新潮選書

【定価】1815円(税込)

【ISBN】978-4-10-603948-5

【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/603948/

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会社概要

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区矢来町71
電話番号
03-3266-5220
代表者名
佐藤隆信
上場
未上場
資本金
8000万円
設立
1896年07月