直木賞受賞作『ともぐい』(河﨑秋子)を、2026年7月29日(水)、新潮文庫より発売いたします!
北海道の壮大な自然を文字の世界に写しとり、唯一無二の物語を紡ぐ作家・河崎秋子。第170回直木三十五賞を受賞した河﨑流動物文学の最高到達点『ともぐい』を、本日7月29日(水)、新潮社より刊行いたします。

〈第170回直木賞受賞作〉運命と呼ぶには生ぬるい。生きることの業を描ききった圧巻の熊文学。
山の王者である熊に、村田銃と一匹の犬だけを伴い挑む男の姿を描いた本作。時に瀕死の重傷を負いながらも執念深く、情け容赦のない最強の熊を追い続けるのは、己の生きた証を見出すため。命とは、生を喰らうとは何なのか――根源的な問いを私たちに突き付けながら、抗えない運命の皮肉までも謳い上げた堂々たる物語です。
本作の舞台は明治後期の北海道。猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物を追う熊爪(くまづめ)は、真意の読めない盲目の少女との出会いやロシアとの戦争に向かう時代の変化の波に戸惑いながらも、生きる意味を求めて、熊との壮絶な対決へと自らを追い込んでいきます。
山や獣の骨太な息遣いと揺らぐ人間の繊細な姿を両立して表現する見事な筆致、そして特に熊と対峙した死闘における、ページを繰る手を止められない血沸き肉躍る圧倒的な描写。
北海道の地で厳しい自然と直に触れながら言葉を紡ぎ続けてきた著者だからこそ描ける、人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶってやまない傑作です。
■「解説――自然との調和という毒薬」(角幡唯介)より一部抜粋
もし深い森の奥で赤毛の大熊におそわれたとき、自分は熊爪のように毅然と死をうけいれることができるだろうか。みずからの負債を自然界に返済することに納得できるだろうか。それともみじめに狼狽え、背中をむけて逃げ出そうとするのだろうか。
それはわからない。いまはただ山にもどって、躍動する生命と森の空気に全身を浸したいと切望するだけだ。無慈悲でもあり優しくもある山。そこでしか生きられなかった熊爪の気持ちが、私にはよくわかる。
■書籍内容紹介
明治後期、北海道の山中で一匹の犬を相棒に狩猟に生きる男・熊爪(くまづめ)。人里に馴染めず山を縄張りとする彼は、冬眠を逃し徘徊する凶暴な熊「穴持たず」に対峙する。穴待たずとの死闘、そして盲目の少女・陽子(はるこ)との運命的な出会い。獣と人間との境界を超えた理屈のない命の応酬の果てに、熊爪が見たものとは。「生きる」とは何か、という問いに真っ向から挑んだ、圧巻の直木賞受賞作。(解説・角幡唯介)
■著者紹介
河﨑秋子(かわさき・あきこ)
1979(昭和54)年、北海道別海町生まれ。2012(平成24)年「東陬遺事(とうすういじ)」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。’14年『颶風(ぐふう)の王』で三浦綾子文学賞、同作で2015年度JRA賞馬事文化賞、’19年『肉弾』で大藪春彦賞、’20年(令和2)年『土に贖う』で新田次郎文学賞、’24年『ともぐい』で直木三十五賞を受賞。他書に『鳩護(はともり)』『絞め殺しの樹』『鯨の岬』『清浄島(せいじょうとう)』『愚か者の石』『夜明けのハントレス』などがある。
■書籍データ
【タイトル】ともぐい
【著者名】河﨑秋子
【発売日】2026年7月29日
【造本】文庫版
【定価】781円(税込)
【ISBN】978-4-10-107051-3
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