いま最も注目すべき都市は名古屋だ! 急速に変貌を遂げつつある愛知県の姿を描く新潮新書『愛知県は天下を取るがね』(篠原匡著)が本日発売。

2025年9月14日、ボクシング井上尚弥の世界防衛戦は、名古屋で開催されています。なぜ名古屋だったのか? エンタメの世界ではかつて「名古屋飛ばし」という言葉があったくらいですから、名古屋がこの手の大規模イベントの舞台になるのは珍しい。それが可能になったのは、2025年7月に「IGアリーナ」という施設が誕生したからです。
このアリーナは、PPP(Public Private Partnership 官民連携)という仕組みを使って、建物の設計・施行の段階から民間企業が主体になって作られています。しかも、それを受託したコンソーシアムに、NTTドコモや前田建設に加えてアメリカのエンタメ企業AEGが入っています。AEGは海外でいくつものスタジアムやアリーナ、加えてプロスポーツチームも所有しており、ローリングストーンズやテイラー・スウィフトなどのツアーも手がけている世界的な興行会社。そのノウハウを設計の段階から組み込んだ、世界目線で作られた施設がIGアリーナなのです。
実は、愛知県はこうした官民連携による公共施設の刷新を勢力に続けており、県営の高速道路や国際展示場、美術館や劇場などの複合施設「愛知芸術文化センター」も民間に運営を任せ、着実に成果を挙げています。
特に注目すべきは STATION AIという施設です。ここは県が主導して作ったインキュベーション施設ですが、IGアリーナと同様に、運営だけでなく施設の整備の段階から民間が関わる方式を採用して、ソフトバンクグループによって運営されています。ポイントは、製造業が圧倒的に強い愛知県の強みを生かしていること。既存企業とベンチャーの両方が入居して、お互いに課題を提出しあって新事業の創出や社会課題の解決に繋げる仕組みを作っているのです。今後AIが実装されていく段階に差し掛かってくると、愛知県の製造業の集積が強みを発揮すると考えられるので、そこを見越してインキュベーション施設の制度設計をしたわけです。
2011年に就任した大村秀章知事は、米国の社会学者リチャード・フロリダの著書『クリエイティブ都市論』を愛読しており、クリエイティブ人材の集積を生み出すことに力を注いできました。大村知事のトップ外交で招いたジブリパーク、IGアリーナ、芸術センターなどのエンタメ施設の整備・刷新をしているのは、つまらない都市には人が集まらない、と考えているから。概して「製造業は強いけど地味な土地」と考えられてきた愛知県・名古屋市のイメージは、だいぶ刷新されてきました。
愛知県にはその他にも、上下水道の運営を自治体の垣根を超えて流域単位で一体化させたり、認知症対策に力を入れるなど、人口減少・高齢化社会の現実を見据えた面白い取り組みがあります。こうした「都市(広域都市圏)の刷新」を続ける愛知県は、言ってみれば「地方創生のファーストペンギン」と言えます。その試みを多角的に描いた本書を、ぜひご一読いただければ幸いです。

■書籍内容紹介
ともすれば「経済は強いけど地味な土地」と見られがちだった愛知県が近年、急速な変貌を遂げている。斬新な官民連携手法で刷新された公共施設群によって、エンタメ都市としての存在感が急上昇。製造業の集積をスタートアップと掛け合わせて、新産業の創出や社会課題の解決にも繫げている。2011年に就任した大村秀章知事の下、「地方創生のファーストペンギン」となった愛知県の躍進を多角的にレポート!
■著者紹介:篠原匡(シノハラ・タダシ)
ジャーナリスト・編集者。1975年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、日経BP社に入社。日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長、日経ビジネスニューヨーク支局長、日経ビジネス副編集長を経て独立。著書に『腹八分の資本主義』『神山 地域再生の教科書』『誰も断らない こちら神奈川県座間市生活援護課』など多数。

■書籍データ
【タイトル】愛知県は天下を取るがね
【著者名】篠原匡
【発売日】8月19日
【造本】新書
【本体定価】1078円(税込)
【ISBN】978-4-10-611132-7
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