NHK朝ドラ「ブラッサム」で話題の作家・宇野千代の代表作『おはん』が新装カバーに! 8月29日(土)から全国書店で順次お目見えです!
この秋はじまるNHKの朝ドラ「ブラッサム」の主人公のモデルとなったのは、作家の宇野千代。23歳で時事新報の懸賞小説に応募して一等に選ばれて以降、上京して次々と作品を執筆しました。数多くの文化人と交流し、日本初のファッション誌を創刊、きものをデザインして銀座に店を構えるなど、華やかに活躍するかたわら、10年を費やして執筆した代表作『おはん』は、第10回野間文芸賞および第9回女流文学者賞を受賞。妻と愛人、二人の女にひかれる男の情痴のあさましさを美しい上方言葉の告白体で描き、幽艶な幻想世界を築いて、絶賛を集めました。日本画家・蒼野甘夏さんによる描きおろし作品を表紙にした新カバーで、『おはん』を是非この機会におたのしみください。

■発表当時、作品に寄せられた言葉
近松でも読む様な一種の味わいがあって面白かった。特に初めの方がよいと思った。作者は、時も場所も不問に附し、不思議な魅力を持った話術を創案して、言葉が言葉だけの力で生き長らえたいと言っている様な、一種の小説的幻想世界を発明している。事実に屈服した現代小説界では珍しい事である。
――小林秀雄
宇野さんはこの小説を書くのに十年の時間をかけたという。時間をかけた仕事のいみじさを、はっきり感じる。しかも十年まえ十年あとの記述にむらがない。一つの作にこれだけ打ち込んだ宇野さんに敬意を表したい。
――久保田万太郎
木で熟した果実は速成とは味が違う。二人の女にひかれる男の情痴の浅ましさを極度に抽象して、ほとんど観念的な美にまで昇華して描いている。
――河上徹太郎
■著者の言葉
この小説のモデルは私自身であるような気がしています。おはんの中にもおかよの中にも自分がいるように思われ、話し手のあの男の気持も、自分の心中を描いたように思われます。
(「あとがき」より)

■内容紹介
「人にもの問われても、ろくに返答もでけんような穏当な女」である主人公‶おはん″は、夫の心が芸妓の‶おかよ″に移ったとき、子を身ごもったことを告げずに、自分から実家に退くことを決意する。おはんとおかよ、ふたりの女に魅かれる浅ましくも哀しい優柔不断な男の懺悔――。頽廃的な恋愛心理とともに柔軟な感覚で描かれ、数多く映像化・舞台化された。著者が十年の専心の末に初めてたどりついた最高峰。
■著者紹介:宇野千代 ウノ・チヨ(1897-1996)
1897(明治30)年、山口県岩国生れ。岩国高等女学校卒業。1921(大正10)年、短編「脂粉の顔」が「時事新報」の懸賞小説で一等に当選。尾崎士郎、東郷青児らと結婚や同棲をしたが、ビジネス・パートナーともなった北原武夫との結婚は1939(昭和14)年から25年つづいた。「おはん」で’57年に野間文芸賞、’58年に女流文学者賞。’82年「透徹した文体で情念の世界を凝視しつづける強靱な作家精神」によって菊池寛賞を受賞。著書に『おはん』『色ざんげ』『生きて行く私』『風の音』『雨の音』など多数。’96(平成8)年急性肺炎で死去。享年98。
■書籍データ
【タイトル】『おはん』
【著者名】宇野千代
【発売日】2026年8月29日
【造本】新潮文庫
【定価】506円(税込)
【ISBN】978-4-10-102702-9
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