AIが宿ごとに「クチコミ診断書」を作成 熱海の42施設から99の宿泊プランが誕生 じゃらんリサーチセンターと熱海観光局、需要平準化へ地域戦略を宿の商品に

熱海市全体の平日宿泊予約は前年同曜日比12.0%増

株式会社リクルート

株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:牛田圭一、以下リクルート)の観光に関する調査・研究、地域振興機関『じゃらんリサーチセンター』(センター長:高橋佑司、以下JRC)は、一般財団法人 熱海観光局(以下、熱海観光局)と連携し、静岡県熱海市が観光戦略に掲げる「需要の平準化」に向けて、宿泊施設の商品づくりを支援する取り組みを行いました。

本取り組みの特徴は、地域全体の方針を個々の宿の商品にまで落とし込んだ点にあります。JRCは「じゃらんnet」のクチコミデータを地域全体から個別の宿まで同じ切り口でAIを用いて分析し、各宿の強みや改善余地、ターゲットに合うプラン案や告知文案を「AIクチコミ診断書」として宿ごとにまとめました。診断書は宿泊施設向けの勉強会で個別に配布され、各宿は自館の仮説と照らし合わせて商品を検討しています。

勉強会後には、共通企画「まだ終わらない夏」として42施設が計99の宿泊プランを造成。対象プランの予約では、約8割が重点とした平日(月〜金曜日)の宿泊、予約者の4割超がターゲットの20〜30代でした(※1)。また、同じ期間の熱海市全体の「じゃらんnet」宿泊予約をみると、平日の予約は前年同曜日比12.0%増え、予約全体に占める平日の割合も2.3ポイント上昇しています(※2)。

(※1)対象期間は2026年8月25日(火)〜9月18日(金)チェックイン(以下同じ)。平日は月〜金曜日。

(※2)対象プランを含む、熱海市内の「じゃらんnet」宿泊予約全体。月〜金曜日を前年同曜日と比較。

本取り組みの背景・目的

温泉や海、豊かな自然景観に恵まれた静岡県熱海市は、年間約350万人が宿泊する国内有数の観光地です。一方で宿泊需要は週末や連休に集中しやすく、時期や曜日による繁閑の差をいかに小さくするかが課題となっています。

こうしたなか、「熱海市観光基本計画2026–2030」では、需要の平準化を重要目標達成指標(KGI)に位置付けています。時期ごとに来訪・宿泊している層と少ない層を分析し、強化する時期とターゲットを定めています。今回は、夏から秋へ需要をつなぐ9月の平日を重点時期に、大学生を含む20〜30代を主なターゲットとしました。

ただし、地域として方針を定めても、それが宿の商品や販売に反映されなければ需要は動きません。客層や強み、運営体制が宿ごとに異なるなかで、地域の方針と各宿の個性をどう両立させるかが問われていました。そこでJRCと熱海観光局は、AIによるクチコミ分析を起点に、地域の戦略を宿ごとの具体的な打ち手へ落とし込む進め方を設計しました。

取り組みの概要

取り組みは、AIによるクチコミ分析、「AIクチコミ診断書」の作成、宿泊施設向け勉強会、宿泊プランの造成と宿連携プロモーションという流れで進めました(図1)。熱海観光局が重点時期とターゲットを示し、JRCがクチコミの分析と診断書の作成を担い、各宿がそれを自館の商品に落とし込むという役割分担です。AIは分析と診断書づくりに活用し、どのプランを売り出すかは各宿が判断しています。地域の方針という共通の土台の上で、各宿が自館らしい答えを出せるようにしたことが、この進め方の要点です。

図1 需要の平準化に向けた地域と宿の連携の流れ

AIで地域全体から各宿までクチコミを分析

既存の「じゃらんnet」のクチコミデータを整備し、朝食・風呂・接客などの「テーマ」、年代・利用シーンなどの「属性」、月・季節などの「時期」を掛け合わせて分解しました。まず地域全体の強みと改善余地を把握し、同じ切り口で個別の宿を分析することで、地域全体や同じ宿種別との比較から各宿の特徴が見えるようにしています。AIは分析だけでなく、強みや改善余地の整理、ターゲットに合わせたプラン・訴求案の具体化にも活用しました。

プラン名から告知文まで盛り込んだ「AIクチコミ診断書」

分析結果は宿ごとに「AIクチコミ診断書」にまとめました。自館の強みと改善余地に加え、プラン名、対象、販売時期、食事条件、特典、掲載に使う写真の方向性、掲載文・告知文のイメージまでを記載し、受け取ったその日から商品づくりの検討に入れる内容としています。

勉強会で自館の仮説と診断書を照らし合わせる

2026年6月2日(火)には、宿泊施設向けに「閑散期をチャンスに変える 熱海エリア宿泊戦略セミナー」を開催しました。熱海観光局が重点時期とターゲットの方針を、JRCが地域全体のクチコミ傾向を説明した後、参加者はまず自館の強みと打ち手の仮説を考えるワークに取り組みます。その上で封筒に入った自館の診断書を開き、AIの分析結果と自らの仮説を照らし合わせました。

診断書の提案は、仮説を広げるための材料という位置付けです。どの提案を取り入れるかは、各宿が自館のサービスや運営条件を踏まえて判断します。地域の方針は共有しながらも全施設に同じ内容は求めず、宿ごとの個性を生かすことを重視しました。

勉強会で説明する熱海観光局 上田CEO(2026年6月2日)
「AIクチコミ診断書」のイメージ(勉強会用の架空サンプル)

取り組みの結果

42施設が99の宿泊プランを造成 地域の戦略が各宿の商品に

勉強会後、各宿は共通企画「まだ終わらない夏」の下で宿泊プランを造成し、熱海観光局は宿と連携し、特設ページ(LP)や宿泊クーポン、縦型ショートドラマ動画を組み合わせてターゲットに向けたプロモーションを展開しました。企画には42施設が参画し、計99の宿泊プランが販売されています。

対象プランの予約は平日が約8割、20〜30代が4割超

対象期間の対象プランの予約では、79.4%が重点時期とした平日(月〜金曜日)の宿泊で、予約者の43.9%を主なターゲットである20〜30代が占めました。年代別では学生を含む20〜24歳が5歳刻みで最も多い層となり、取扱額は1,900万円を超えています(※3)。地域で定めた時期とターゲットに沿ったプランが実際にその層に選ばれたことは、需要の平準化に向けた手応えと捉えています。

(※3)対象期間の対象プラン予約が対象(キャンセルを除く)。年代は予約者の年代。

熱海市全体の予約動向 平日予約が前年同曜日比12.0%増

同期間の熱海市全体の「じゃらんnet」宿泊予約をみると、平日(月〜金曜日)の予約は前年同曜日比12.0%増え、予約全体に占める平日の割合も前年の69.6%から71.9%へ2.3ポイント上昇しました(※4)。

(※4)対象プランを含む、熱海市内の「じゃらんnet」宿泊予約全体。対象期間の月〜金曜日を前年同曜日と比較。

担当者のコメント

株式会社リクルート じゃらんリサーチセンター 研究員 松本百加里

今回最も大切にしたのは、地域の戦略を「宿が実際に売り出せる形」にまで落とし込むことです。地域で目標を共有できても、各宿のプランや発信に置き換える段階で止まってしまうことは少なくありません。そこでAIで地域全体と個別の宿を同じ物差しで分析し、自館の強みを地域の中で捉えられるようにしました。

最終的に何を売るかを決めるのは宿の皆さまです。AIの提案を出発点に、それぞれの宿が自館らしいプランを形にしてくださったことが、42施設・99プランという広がりにつながったと感じています。今後は、同じ課題を抱えるほかの地域でも生かせる進め方として磨いていきたいと考えています。

一般財団法人 熱海観光局 CEO 上田和佳

熱海市観光基本計画では、宿泊需要の平準化をKGIに掲げています。その実現には、宿泊動向や課題を把握し、観光局の戦略を宿泊事業者の皆さまと共有しながら、地域一体となって取り組むことが重要だと考えています。

今回のセミナーでは、閑散期とターゲットを明確にした上で、クチコミデータやAIを活用し、各施設の強みを生かした宿泊プランづくりに、地域共通のテーマの下で取り組むことができました。

今後も、今回の取り組みの成果を地域全体で共有・検証しながら、各施設の商品づくりや販売促進を継続的に支援し、宿泊需要の平準化につなげていきます。

▼リクルートについて

https://www.recruit.co.jp/

▼本件に関するお問い合わせ先

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会社概要

株式会社リクルート

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業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区丸の内1丁目9番2号
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代表者名
牛田 圭一
上場
未上場
資本金
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設立
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