川端賞受賞作「反対方向行き」から始まる、滝口悠生文学史上最高の出汁が効いた作品集『歯ごたえと喉ごし』が発売!
人生を導くのは、鉄道と温泉、そしてうどん。目的地とは反対方向の列車に乗ったことから始まる、人生の相互乗り入れを描く、つるつる読める出汁の効いた作品集『歯ごたえと喉ごし』が10月28日に刊行されます。
人生のささいな偶然と奇跡を描く作家、滝口悠生氏の最新作『歯ごたえと喉ごし』がこの度発売されます。この連作集のきっかけとなったのは、鉄道開業150年を記念し企画された鉄道小説アンソロジーに寄せた短篇「反対方向行き」。湘南新宿ラインという一見旅情の薄い列車を舞台に、目的地とは反対方向に乗ってしまった女性の人生の回想を描き、「鉄道の風景を通して、人生の軌道をたどる、新しさのある、楽しい短篇」(荒川洋治氏)、「思わぬところに連れていかれ、下車したら思いもしなかった光景が広がっていた、そう思わせてくれるラストだった」(角田光代氏)と選考委員から高い評価を受け、その年で最も優れた短篇小説に与えられる川端康成文学賞(2022年、第47回)を受賞しました。その「反対方向行き」の精神は続く連作にも引き継がれ、それぞれの作品に登場する人物は一筋縄ではいかない関係でつながり、柔らかくも食べ応えがある、まさに作中で叔父が作るうどんのような物語が展開します。読めばきっと旅に出たくなる、そしてうどんを食べて温泉に浸かりたくなる、そんな体験型連作小説の誕生です。

人生は、他の誰かのスピンオフ。
「反対方向行き」から始まる旅は、人から人へ、小さな大団円を連ねていく。手打ちならでは、つるつる読める出汁の効いた作品集。
■あらすじ
「なつめ」は湘南新宿ラインで宇都宮に向かうはずが、気づけば乗ったのは反対方向の小田原行き、車中で思い出すのはかつて宇都宮から呼び寄せた今は亡き祖父「竹春」とのつかの間の日々(「反対方向行き」)……月日は経ちなつめの出張中に宇都宮の知人に預けられることになった一人娘の「梅」、かつて竹春が住んでいた家で不安が募るその目が見たのは(「テレパシーの手」)……その梅の父親でなつめとは離婚している「美津夫」は、フリーライターの仕事がきっかけで運営を任された奥会津の温泉宿で風呂に浸かっていると(「湯あたり」)……一方なつめの叔父でなかなか居所が知れない「原郎」が台南でうどん屋を開いていると伝え聞いたなつめたち一行、現地を訪れると(「歯ごたえと喉ごし」)……と次から次へと小説はうねうねと延びていく。レールとうどんでつながる人々の人生を描く、読めば鉄道で旅に出かけうどんを食べ温泉に入りたくなる6篇が収められた連作小説集。
■著者紹介:滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)
1982年、東京都八丈島生まれ。埼玉県で育つ。2011年、「楽器」で第四十三回新潮新人賞を受賞し、デビュー。2015年、『愛と人生』で第三十七回野間文芸新人賞を受賞。2016年、「死んでいない者」で第百五十四回芥川龍之介賞を受賞。2022年、『水平線』で第39回織田作之助賞を受賞し、翌年には同作で第73回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。同年、『歯ごたえと喉ごし』収録の「反対方向行き」で第47回川端康成文学賞を受賞。他の著作に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』『茄子の輝き』『高架線』『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』『長い一日』『ラーメンカレー』『たのしい保育園』『往復書簡 ひとりになること 花をおくるよ』(植本一子氏との共著)など。
■書籍データ
『歯ごたえと喉ごし』
滝口悠生著
10月287日発売
四六版クレスト装カバー、240頁
2200円(税込)
ISBN 978-4-10-335315-7
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