「祝Zepp Nagoya20周年!シークレットゲストにBLUE ENCOUNTを迎えた04 Limited Sazabys流ハッピーアニバーサリー。

2005年3月11日、名古屋最大規模のライブハウスとして誕生したZeppNagoya。
1998年のZepp Sapporoのオープン以来、その規模を拡大し各地で伝説の夜を作り続けてきたZeppのその名称は飛行機の「ツェッペリン(Zeppelin)」に由来しており、まさに黒船来航のような衝撃をライブハウスシーンに与えたことを記憶している。それは2005年、名古屋にZepp Nagoyaがオープンしたときも同様。
そしてあれから20年経った2025年3月11日、名古屋出身の04 Limited SazabysがZepp Nagoyaの20周年を祝うべく「04 Limited Sazabys × Zepp Nagoya Happy 20th Anniversary」と題したイベントを開催した。
この日のイベントは主催である04 Limited Sazabysがシークレットゲストを迎えてツーマン形式で開催された。
今や04 Limited Sazabysのお家芸ともいえる「MYSTERY TOUR」を彷彿とさせる完全シークレット形式にSNSでも会場でも様々な憶測の声が飛び交っていた。
この光景もまさに「MYSTERY TOUR」のそれである。Zepp Nagoyaの20周年、04 Limited Sazabysのワンマンライブでもドラマなんてあり過ぎるほどなのに、この日にシークレットゲストを迎える意味や意図は何なのだろう。そんなことを考えながら開演時間を待つ。
会場BGMはこの20年間を象徴するような名古屋出身のアーティストの楽曲が使用されている。そういうとこ。そういうとこが04 Limited Sazabysだ。彼らが名古屋から東京に活動拠点を移して久しいが、地元を背負うということは決してそこに留まることではなく、地元を背負って活動すること。
ほら、ライブでも「名古屋の04 Limited Sazabysです」って言い続けているでしょ。地元をレペゼンするってそういうことだ。

話を戻す。開演時間が近付き、シークレットゲストが誰なのか論争が隣でもその隣でも行われる中ステージに映し出されたのは「MYSTERY TOUR」のスクリーン映像。
ん?待て、待って。スクリーンの文字が「MYSTERY TOUR 2025」じゃない。そりゃそうだ、だって今日は「MYSTERY TOUR」じゃないから。
あれ、でも前回の「MYSTERY TOUR 2024」でもないしビジュアルキャラクターが女の子でもない。
え、ちょっと、マジか、「MYSTERY TOUR 2020」って書いてある。ビジュアルキャラクターもハットを被ったあのオジサンだ。
あ、ああ、ああああああああああ。今日は3月11日、場所はZepp Nagoya。そうか、そういうことか。全てを察したその瞬間フロアに鳴り響く「もっと光を」の歌声。このとき全てを察した。
今から5年前、2020年3月11日。ときはコロナ禍真っ只中。「MYSTERY TOUR 2020」はそのツアー開催途中で中止を余儀なくされた。その日に出演する予定だったのがBLUE ENCOUNTなのだ。
こんな取り返し方ある?あの日の悔しさも、あの時期に対するあんちくしょーも、5年経って「MYSTERY TOUR 2020」として回収するなんて、やることニク過ぎ。そんでもって光、届き過ぎ。
いやだって悲しい記憶なんかてんこ盛りな訳ですよ。この5年もそう、20年間で考えたらもっともっと。奇しくも今日は3月11日な訳で。
それでも僕らは生きていて、僕らはみんなで生きてきて、紛れもなく目の前でBLUE ENCOUNTがキンピカに輝いて歌っているんだもん。「僕の声、届け!届け!」と歌っていたけれど、いや届き過ぎて感情が溢れているから。そいつに導かれて全部全部越えているから。

まわりまわって重なり合った未来が今。時代をサバイブしてきたBLUE ENCOUNTと04 Limited Sazabysのそのサバイブの仕方。機材トラブルなんてなんのその。どんなときも支え合ってきたんだ。
傷跡は隠さない。絶望も武器にする。そうやって生きてきたバンドの強さ。その強さは誰かを守るためにあるんだってこと。それだってBLUE ENCOUNTが教えてくれたことだ。
音楽に抱きしめられるって表現あるでしょ。
比喩でもなんでもなくそれをフィジカルで感じさせるんだから音楽って凄い。BLUE ENCOUNTって凄い。暗闇を溶かし希望を灯すバンド、BLUE ENCOUNT。
3月11日という日に、2020年のあの日も、2025年の今日も、04 Limited SazabysがBLUE ENCOUNTを誘った意味がよく分かる。
5年前の3月11日、「守る」と決めた約束を果たしたBLUE ENCOUNTに両手が真っ赤になるほどの拍手を送った。

さあ、04 Limited Sazabysだ。2015年12月。今からちょうど10年前。シングル『TOY』を引っさげた「TOY tour 2015」のツアーファイナルで彼らは初のZepp Nagoyaワンマンを行った。
やはり名古屋のバンドマンにとってZepp Nagoyaは大きな目標としてそびえ立つ特別な場所。そのZepp Nagoyaで04 Limited Sazabysがワンマンを行ってソールドアウトさせたこと。それは名古屋のライブハウスシーンが大きく動いた瞬間でもあった。
あれからこの10年の間に何回Zepp Nagoyaで彼らのライブを観ただろう。
04 Limited Sazabysにとって今では名古屋のホームとなったZepp Nagoyaの20周年を最高の形で祝福するべくステージに登場したGEN、HIROKAZ、RYU-TA、KOUHEI。
すっかり頼もしくなった4人のヒーローたちの表情に早くも感極まるものがある。
「いける?いける?」と何度もフロアに問いかけるGEN。けたたましくKOUHEIがドラムを叩きならすと「Squall」でライブはスタート。
Zepp Nagoyaが20周年を迎え、04 Limited Sazabysが初Zepp Nagoyaから10年経って、5年越しにBLUE ENCOUNTと「MYSTERY TOUR 2020」のリベンジを果たす。
だけど、勿論それも大事なんだけど、04 Limited Sazabysは圧倒的に今のバンドなのだ。くしゃくしゃになった地図を広げていつだって今を更新するのだ。

出し惜しみゼロで必殺技を放ちまくる「Every」、泣く子も黙る伝家の宝刀「monolith」、GENとRYU-TAのツインボーカルが織り成す攻撃的アンセム「knife」と畳みかける4人。名古屋を背負ってただひたすらに走り続けてきた04 Limited Sazabys にとってZepp Nagoyaだってもはや盟友。20年という歳月の中でしっかりと関係値を築いてきたのだと思う。そりゃ全てが順風満帆だったかと言えばそうじゃないと思う。忘れる訳ないよ、ライブハウスが悪者にされた時期のこと。よく「世界中が敵に回っても俺だけは」みたいな言い回しを聞くけど、あれをリアルで体験することになるなんて。だけど本当その通りでさ、誰に何を言われたって音楽を信じ、仲間を信じ、ライブハウスを信じてやってきたんでしょ。それが俺たちのモットーでしょ。ということで「mottö」カヴァー炸裂も炸裂、大炸裂です。思わず席立ち上がったから。ご存知JUDY AND MARYの「mottö」が完全フォーリミ仕様になっておでまし。辛いニュースばかりで我慢出来ないからイミテイションなんて蹴とばして歌いながらドカドカ歩いていくのです。今から語彙力全部放り投げて一言で言います。最高。「mottö」最高。もう1回言わせて。「mottö」最高。

もう何度もZepp Nagoyaで聴いてきた「My HERO」「Kitchen」「Galapagos Ⅱ」だってそのときそのときで表情が違うからライブって面白い。
そういえばGENがMCでも話していたけど、SNSでの発言に右からも左からも攻撃されたって話があったけれど、GENは、04 Limited Sazabysは前しか見ていないんですよ。
あっち向いてホイしても誰かに釣られることなく真っすぐ前を見ているタイプ。だから楽曲だって前に進んでいるんだと思う。
この日は3月11日。あれから14年。当時の04 Limited Sazabysが無力だったとは思っていない。2011年に開催された東海地区から東北を支援する「LIVE UP TOKAI!!!!!」というイベントで「影響力が欲しいなんて思ったことなかったけど影響力が欲しい」と話したことを覚えている。
それは先輩バンドたちの東北への支援活動を見ていたからだと思う。あれから14年経った3月11日。あの頃よりやれることが増えて、今こうやって3月11日にライブをしている4人の姿を見て、しっかり前に進んできたことを確信した。
目下最新作の『MOON』より「magnet」、バンドが進化の真っ最中にあった時期の「Lost my way」、活動初期を代表する「Grasshopper」と20周年を迎えたZepp Nagoyaと歴史の見せ合いっこをするかのようなセットが続き、「kiki」で会場を沸かす。
究極のラブソング「Honey」から「milk」といったスイートな時間が流れ「hello」の合唱で涙する。そんな光景に身を委ねながら「Harvest」を奏でる4人の姿に5年前と今日を比べてまたもや涙腺が緩む。
心配ばかりだったあの頃から5年が経って、いま目の前にありふれる安心、感動。信じ続けて良かった。世界は最低のまんまじゃない。もう何度も言っているけれど前しか見ていないから。
転がって夢は続いていくから。未完成で不安定でだから人生って面白いんでしょ。本編ラストで立て続けに披露した「Terminal」「Just」にはやっぱり未来を見せて貰った気がする。
あの日、カレンダーの中で待っていた歓声の中の軌跡って、今日みたいな日のことだ。

アンコールの1曲目は「Buster call」だった。GENが歌い始めた瞬間にフラッシュバックする記憶。
2015年、04 Limited Sazabysが初めてZepp Nagoyaに立ったあの日のアンコールも「Buster call」だったと記憶している。
小さなライブハウスでずっと歌い続けてきた曲が羽根を広げてZepp Nagoyaに響き渡ったあの光景を忘れる訳なんてない。
あれから10年経って、Zepp Nagoyaが20周年というメモリアルな日を迎え、04 Limited Sazabysが「Buster call」を歌う。これってもう名古屋のライブハウスシーンのこの20年間の財産なんじゃないかな。
そしてそれだけで終わらないのが04 Limited Sazabys。最後の最後は名古屋ライブハウスアンセム「758」を叩きつけてZepp Nagoyaの20周年を盛大に祝ったのだった。
色んな偶然や奇跡が重なって迎えた2025年3月11日「04 Limited Sazabys × Zepp Nagoya Happy 20th Anniversary」。
決して風化させてはいけないし、忘れてはいけない日だけれど、今を生きている僕たちはそこに新たなハッピーを書き足していくことは出来るはずだ。3月11日、Zepp Nagoyaの誕生日。
お祝いの場を用意してくれた04 Limited Sazabysは間違いなくライブハウスのヒーローだ。
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