9月14日(木) 小山薫堂×信濃八太郎の映画番組「W座からの招待状」 第2回・WOWOW加入者参加型公開収録イベントレポート 稲垣吾郎主演『窓辺にて』上映&トーク!ゲストとして今泉力哉監督も登壇!

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株式会社WOWOW

 放送作家・脚本家の小山薫堂とイラストレーターの信濃八太郎が案内人を務める、WOWOWの映画番組『W座からの招待状』(毎週日曜午後9:00)。9月14日(木)にはWOWOW辰巳放送センターにて、第2回となるWOWOW加入者参加型の公開収録イベント「W座FILM CLUB」が行われ、スペシャルゲストとして映画監督の今泉力哉が参加した。

【日 程】 9月14日(木)
【場 所】 WOWOW辰巳放送センター
【登壇者】 小山薫堂、信濃八太郎、今泉力哉監督

 今年5月に初めて行われた「W座FILM CLUB」が好評だったことから、この度早くも第2弾の実施が決定。今回は、稲垣吾郎主演の映画『窓辺にて』(2022年)の上映に合わせ、本作の脚本・監督を務めた今泉監督をスペシャルゲストに招いた。

 

『W座からの招待状』でスペシャルゲストを招いてトークを展開するのは今回が初。信濃がこの日のために描き下ろした『窓辺にて』イラストポスターを背景に、小山が「もしかしたら主演の稲垣吾郎さんも来られるかも!?」などと公開収録に参加した観客約30人に呼び掛けたり、信濃が普段の収録時以上にソワソワしたり、公開収録冒頭から笑いの絶えないイベントとなった。


一方、大きな拍手に迎え入れられる形で登場した今泉監督は、信濃版『窓辺にて』オリジナルポスターを目にして「このポスターで『窓辺にて』を再上映したいくらいです!」とすっかりお気に入りの様子。監督直々の絶賛に信濃は大喜びしながら「許可も得ずに勝手に描いてしまったものですが…僕自身もなかなかいいと思う。今泉監督に気に入ってもらえたら嬉しい」と恐縮しつつ自画自賛していた。


妻の浮気を知りながらも嫉妬心の湧かない男・市川茂巳(稲垣)の姿を描いた本作。主人公を演じた稲垣について今泉は「稲垣さんならば喜怒哀楽の出ないような役を理解してくれそうだと思いました。初めてお会いした際に稲垣さんも『僕も人からもっと怒っていいのにと言われることがある。怒っていい場面でも『まあまあ…』となってしまうから、市川茂巳の感覚は知っています』と仰ってくれました」と共感を持って役と向き合ってくれたことを明かした。 


小山は、今泉監督が生み出すリアルなセリフに触れて「本作を拝見した時に、今泉という監督は乙女だと思った。普通の脚本家では書けないようなセリフが沢山ある。あの少女のようなセリフはどこから出てくるのか?おじさんが書いているなんて想像できない!」と笑わせつつ、今泉流会話劇に脱帽。また今泉作品によく見られる「好き」というセリフや感情についても「本作でも“好き”という形の描き方が三者三様にある。特に荒川円(佐々木詩音)と茂巳が2人で会うシーンは、背景が暗くて窓辺の光が差しているシーンとは対照的。光の差すところに生まれる心を導く感情というものが、“好き”ということなのかなと思った」と感想を述べた。信濃は茂巳と久保留亜(玉城ティナ)のかみ合わない会話に興味津々で「2人の会話劇をベースにした演劇が見たいです」と想像を膨らませていた。


劇中にはパフェの語源についてのウンチクを語る場面があるが、今泉監督は「実は仮タイトルが『パフェ』だった。でもそれだとお客さんが入らなそうなので…」と秘話を口にし、さらに「同年公開の香取慎吾さん主演の『犬も食わねどチャーリーは笑う』(市井昌秀監督作)にもパフェに関する似たような場面があるそうです。SMAPファンの間では監督同士が裏ですり合わせたのではないか!?などと言われていました」とまさかの偶然に驚いていた。


また信濃は、フランス人作家フランソワーズ・サガンの「裏切られる人より裏切る人の方が苦しむ」という言葉を引用し「これは稲垣さん演じた茂巳にも当てはまりそう。茂巳には誰も傷つけたくはないという思いがあったのではないか?」と考察。今泉監督は「自分が描く主人公は基本的に受け身。茂巳も動いたとしても結局は何も変わらず、結局は妻と向かい合うしかなくなる。人と別れる、何かを辞める、何かを手放すということはマイナスに捉えられがちですが、それをすることで次に進めることもあるのではないか?ということも本作の主題です」などと述べた。


茂巳と妻・紗衣(中村ゆり)が別れ話をするワンカットシーンの舞台裏も披露。今泉監督は「稲垣さんの感情が台本に関係なく出てきている気がして現場でも凄いシーンだと思いました。アドリブで何個かセリフも増えているけれど、それを演じた稲垣さん自身が気づいていなかった。それだけ役と向き合ってくれたということです」と嬉しそう。


当初、稲垣と中村は静かなトーンで演技をしていたそうだが、「この場面では稲垣さんには内緒で中村さんにだけ感情を出してもいいとお話しました。そこから2人の芝居がガラッと変化した」と回想していた。


一方、小山は不貞などを扱った内容にも関わらず、「鑑賞後の後味がいい」と作品の持つ不思議なギャップを指摘。これに今泉監督は「不倫や別れ話をする登場人物が多いのに不快な気持ちにさせないようにしようと思ったのは、浮気している人物たちを誰も楽しそうに描かないと決めていたからです。浮気している人全員が誰も楽しんでおらず、葛藤を抱えて真面目に自分たちの関係性を考えているように見えるよう意識しました」と狙いを明かしていた。


 観客との質疑応答では「衝撃を受けた映画は?」との質問が出た。今泉監督は大学時代に映画館で鑑賞したペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年)をピックアップ。「1度観た後に次の上映回のチケットを買って2回連続して観たのは初めての経験でした。女の人たちが下世話に話している場面しかり、あらゆる場面があまりにも見たことがなく、自分の知らない世界が広がっていて面白かった。これは何だ!?と思ったことを鮮明に覚えています」と衝撃的出会いを振り返っていた。


今回の公開収録の様子は、10月1日(日)午後9:00に『窓辺にて』とともにWOWOWシネマで放送予定だ。


文/撮影=石井隼人


  • 作品情報『窓辺にて』

    稲垣吾郎を主演に迎え、「愛がなんだ」の今泉力哉監督が描く大人のラブストーリー。

    妻の浮気を知った男がそれでも幸せを希求する、ちょっぴり可笑しくもあたたかい物語。

    出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来ほか

    監督・脚本:今泉力哉


     【放送日】10月1日(日)午後9:00【WOWOWシネマ】【WOWOWオンデマンド】


  • 番組情報  「W座からの招待状」毎週日曜午後9:00

    小山薫堂×信濃八太郎のタッグでお届けする“今、もっとも観て欲しい映画との出会い”

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