両雄とも近い将来の統一戦を希望する寺地拳四朗(WBC)とユーリ阿久井政悟(WBA)の両王者が前戦を自己解説。12月23日(月)に『エキサイトマッチSP』としてWOWOWで放送・配信!

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 フライ級のWBC王者・寺地拳四朗(32=BMB)とWBA王者・ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)のふたりがWOWOW『エキサイトマッチSP』の収録に臨んだ。寺地は10月13日に2階級制覇を成し遂げたクリストファー・ロサレス(ニカラグア)とのWBC王座決定戦、阿久井は同日開催のタナンチャイ・チャルンパック(タイ)とのV2戦をそれぞれ自己解説。会心ともいえる11回TKO勝ちを収めて2階級制覇を成し遂げた寺地は「足も動いていたので満足できる内容」と試合を振り返った。24連勝中の挑戦者を退けて2度目の防衛を果たした阿久井は「出来の良い試合ではなかったけれど、最後にポイントを取りきったのは大きい」と反省を込めて戦いを回顧した。両王者とも次戦は来春に計画されているが、「統一戦をしたい」と希望を口にした。

■寺地拳四朗 「阿久井選手と戦いたい。金メダリストともやりたい」

 寺地は今年1月に元王者のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)との激闘を判定で制してWBA、WBC世界ライト・フライ級を防衛したが、試合後に以前から痛めていた右拳の手術に踏み切った。その後、両王座を返上してフライ級転向を宣言。今回が約1.8㎏重い階級での初戦でもあった。体重調整に関しては「ライト・フライ級のときは9㎏、10㎏落としていたが今回はいつもほど苦しくなかった」と話した。その言葉どおり前日計量はリミットまで200gほど余裕をもってパスした。

試合前、寺地は「(見ている人の)ハラハラドキドキは減るかもしれないけれど、今回は打たれないボクシングをする」と宣言。元WBC王者のロサレスが身長168㎝、リーチ180㎝と大柄で、それぞれ寺地よりも4㎝、16㎝も上回っているとあって苦戦を予想する声もあった。「1、2ラウンドはパンチが当たらないかと思ったけれど問題なかった」という。

 試合は寺地のペースで進んでいった。「横への動きとクリンチも練習した」という寺地は抜群の距離感とスピード、スキルで元王者を翻弄し、3回にはカウンターの右を決めて相手をぐらつかせた。「でも倒しにいくのはやめた。疲れてしまうかもしれないと思ったので(笑)。(今年1月の)カルロス・カニサレスのときも狙って打っていったらもらったので」と振り返った。

着々とポイントを重ねるなかロサレスが左構えにチェンジする場面もあり、4回には寺地が左を被弾した。「(スイッチは)少し戸惑ったので、ちょっと考えて戦った」と明かした。

 ロサレスは鼻血を流しながら応戦していたもののラウンドを重ねるごとに差は開いていった。11回開始早々、ロサレスの傷をチェックした医師の進言もあり試合はストップ、寺地のTKO勝ちが告げられた。「タフで攻めてくるところは攻めてくる怖い相手だったが、いい動きができたと思う。いまはフライ級が適正階級だと思う」

 直近の6試合は打って打たれての激闘続きだったが、今回は宣言どおりに打たせずに打つ理想的なボクシングを披露した。「“激闘時代”は(現役は)あと1年ぐらいかなと思っていたけれど、今回はパンチが見える距離で戦えた。いまはもっとやれると感じている。知識も増えたし伸びしろもあると思う」と話す。

 気になる次戦は来年2月か3月ごろに計画されている。寺地はフライ級で4団体王座統一を目指しており、今後の動向が気になるところだ。WBA王座にユーリ阿久井政悟、WBO王座にアンソニー・オラスクアガ(アメリカ/帝拳)が君臨しているほか、IBF王者のアンヘル・アヤラ(メキシコ)も統一戦に意欲をみせており、ファンが望むマッチメークが期待されている。こうしたなか11月30日にはWBC暫定王座決定戦が行われ、東京五輪フライ級金メダリストのガラル・ヤファイ(イギリス)が戴冠を果たしている。寺地にとっては目の上のたん瘤のような存在が増えたといえる。寺地は「阿久井選手とやりたい」とWBA王者の名前を出した。さらに「金メダリストとも戦ってみたい」とも。

 次戦の発表はまだだが、寺地はすでに本格的なトレーニングを開始している。2025年、「Amazing Boy」のさらなる飛躍を期待したい。

■ユーリ阿久井政悟 「統一戦となれば断る理由がない」

 阿久井は1月にロングラン王者のアルテム・ダラキアン(アゼルバイジャン/ウクライナ)に12回判定勝ちを収めて王座奪取。5月には東京ドームのリングに上がり、かつて対戦経験のある桑原拓(大橋)の挑戦を大差で退けた。ただ、世界挑戦前の2試合を含め判定勝ちが4試合続いたため「今回のテーマは勝つこと。KOでも判定でもいいけれど、できればKOで」と話していた。

 試合は阿久井のペースで始まった。プレッシャーをかけて挑戦者を守勢に追いやり、前半から攻勢を印象づけた。阿久井は「前半、ボディジャブで削っていこうかと思ったが、相手が下がっていたので思ったようにいかなかった」と明かす。タナンチャイが下がりながらも応戦していたためか、ジャッジのひとりは多くのラウンドを挑戦者に与えていた。そんな展開のなか阿久井本人は「相手がいつ仕掛けてくるんだろうと警戒していた」と振り返った。

中盤、相手の反撃を許す場面もあったが、最後の2ラウンドは積極的に攻めて出て貴重な2ポイントを奪った。甘い自己判断をせずにダメ押しを狙ったのは経験のなせる業といえよう。

 「スプリットデシジョン」とアナウンスされたときは場内から「ええっ?」と驚きの声が上がったほどだったが、阿久井自身は「(確実にポイントを取っているという)手応えはなかった。セコンドからも分からんぞと声がかかっていたので、そんなところかなと思った」と明かす。それでも115対113、117対111とジャッジ二者から支持を取り付けて勝利を収めた(もうひとりは115対113でタナンチャイ)。

 KO防衛を狙っていた阿久井にとって不本意な勝利であったことは間違いない。「チャンスがあればKOと思っていたが、相手も世界レベルなので…でも、これからは意識していきたい」と話した。

 これで世界戦は3試合すべて判定勝ちをなったわけだが、スタミナはもちろんのことペース配分や駆け引き、対応力など経験値を上げてきていることは間違いない。阿久井自身は「もっと出入りして詰めていけばよかったかもしれない。前に出るだけになってしまった」と自戒し、「勝って反省できたのでよかった」と加えた。

 年が明ければ戴冠から1年になる。阿久井自身は強く自己主張するタイプではないが、2025年の目標として「統一戦となれば断る理由がない。ボクシング界がそういう流れになってきている」と意欲をみせる。そして「寺地拳四朗選手とは僕が世界チャンピオンになる前にスパーリングもしているし、それにファンが臨んでいるので」と具体的な対戦希望者としてWBC王者の名前を挙げた。

阿久井の今後、そしてフライ級トップ戦線の動きに要注目だ。

寺地拳四朗対クリストファー・ロサレスのWBC世界フライ級王座決定戦、ユーリ阿久井政悟対タナンチャイ・チャルンパックのWBA世界フライ級タイトルマッチは12月23日(月)午後9時から『エキサイトマッチSP』としてWOWOWで放送・配信される。

◆◆◆WOWOW 番組情報◆◆◆

★『エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBC米国/IBF・WBOインターコンチネンタル ライト級タイトルマッチ キーション・デービスvsグスタボ・レモス』

東京五輪銀メダリストでWBC・IBF・WBO世界ライト級3位にランク入りしているスター候補キーション・デービスが世界ランカーのグスタボ・レモスとの世界前哨戦へ!

<放送・配信日>12月16日(月)午後9:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

★『エキサイトマッチSP「寺地拳四朗vsロサレス」「ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ」』

寺地拳四朗が2階級制覇を狙い元王者クリストファー・ロサレスとのWBC世界フライ級王座決定戦へ挑む!さらにWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟の防衛戦も!

<放送・配信日>12月23日(月)午後9:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

<出演>スペシャルゲスト:寺地拳四朗、ユーリ阿久井政悟

★『エキサイトマッチSP「井上拓真vs堤聖也」「岩田翔吉vsノリエガ」』

WBA世界バンタム級チャンピオン井上拓真とWBA2位の堤聖也、注目の日本人対決が実現!さらにWBO世界L・フライ級1位の岩田翔吉が悲願の王座獲得へ!

<放送・配信日>12月30日(月)午後9:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

<出演>スペシャルゲスト:堤聖也、岩田翔吉

★『エキサイトマッチSP「中谷潤人vsペッチ」「那須川天心vsアシロ」』

全勝の3階級制覇王者中谷潤人がWBC1位の最強挑戦者を迎え撃つ!さらに「神童」那須川天心が初の地域タイトルマッチに臨む。4階級制覇王者田中恒成の防衛戦も!

<放送・配信日>1月6日(月)午後9:00[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

<出演>スペシャルゲスト:中谷潤人

■番組HP/ https://www.wowow.co.jp/sports/excite/

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