大きな注目を集めた聖飢魔II VS BABYMETAL、HR/HM界の悪魔と神による奇跡のジョイントギグ。感動のフィナーレを迎えた2日目の模様をレポート

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株式会社WOWOW

撮影:Taku Fujii

 魔暦27(西暦2025)年8月、Kアリーナ横浜で実現した奇跡のジョイントギグ「悪魔が来たりてべビメタる」。遭遇-Encounter-と題されたDAY1は、聖飢魔IIとBABYMETALがそれぞれの『流儀』でヘヴィメタル魂を魅せつける凄まじいライヴパフォーマンスが披露された。その一方で、誰もが期待と不安を抱きながら待ち構えていた悪魔と神の邂逅は実現しなかった。衝撃-Impact-と題されたDAY2で、果たしてどんな光景が見られるのか。さらに大きな注目が真夏のYOKOHAMAに集まった。

撮影:Taku Fujii

 冒頭でダミアン陛下(聖飢魔Ⅱの創始者・大魔王)とキツネ様(BABYMETALをメタルダンスユニットとして送り出したメタルの神様)が10万年ぶりに再会する様子がスクリーンに映し出される。急展開する状況下で登場したのはBABYMETALだ。自己紹介デスメタル『BABYMETAL DEATH』で火ぶたを切る。戦いに臨む3人の凛とした表情は、気高く美しい。『ヘドバンギャー!!』では、観衆がヘッドバンギングで強い思いを共有する。

 続く『PA PA YA !!(feat. F.HERO)』では、SU-METALが南国サマーメタルに乗せて“祭りだ!祭りだ!”と煽ると、MOAMETAL、MOMOMETALも声を合わせる。神バンドの演奏も加速し、序盤にしてテンションはMAXだ。インド民族音楽固有のリズムが跳ねた『Kon! Kon!(feat. Bloodywood)』では、印象的なダンスパフォーマンスと相まって聴衆を酔わせていく。

 デスコア要素を取り入れたヘヴィなサウンドが圧倒的な『Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)』では、「1!2!Thunder!」というシャウトが木魂する。ドイツのバンドElectric Callboyとコラボした『RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)』では、花道を駆け抜けセンターステージで激しいアクションを披露し、熱狂をさらに高めていく。

撮影:Taku Fujii

 紅のレーザービームが飛び交った『ギミチョコ!!』から『from me to u(feat. Poppy)』へと展開されるとレーザーは碧い彩りに変わり、英語と日本語を混在させた歌詞の中に、怒りや不安を乗り越え連帯しようという思いを込める。続く『KARATE』では“涙こぼれても立ち向かってゆこう”とメッセージを贈る。無数のスマートフォンのライトが創り出す幻想的な空間で繰り返されるコール&レスポンス。深い感慨が広大なアリーナ空間を満たしていった。

 ラストを飾ったのはTHE ONE(BABYMETALのファン)との約束の曲『Road of Resistance』だった。最強のメタルアンセムに乗せて叫び、ステージと客席が全員で拳を突き上げる。そして、“We are BABYMETAL!”のリフレイン。強烈な余韻を残して、彼女たちは去って行った。

 ダミアン陛下とキツネ様が“美しい地球を再び取り戻したい”という同じ想いを抱いていることが映像で明らかになるが、聖飢魔ⅡとBABYMETALはまだそのことを知らない。不気味な雷鳴と咆哮が会場の空気を引き裂く中、聖飢魔Ⅱが姿を現す。インストゥルメンタルナンバー『聖飢魔II ミサ曲 第II番「創世紀」』では舞台下手から運ばれて来た棺の中からデーモン閣下が蘇り、挑発的な雄叫びを上げる。

撮影:Takahide“THUNDER”Okami

 人類への最終警告とも言える『1999 SECRET OBJECT』。この曲はBABYMETALのかつてのツアーにてオープニングBGMに使用されたこともあって、場内のTHE ONEたちにも熱気が帯びる。間髪入れずに19世紀末のロンドンを震撼させた連続殺人鬼をモチーフにした『JACK THE RIPPER』を続ける。ルーク篁参謀とジェイル大橋代官のユニゾンからそれぞれのギターソロへの流れがたまらない。デーモン閣下の至極のロングトーンが横浜の空へと放たれていく。

 地球デビュー40周年の矜持を見せつけた『老害ロック』では、冒頭部分グルーヴィーで“人間臭い”リズム遊びから変貌する最新型のヘヴィメタルサウンドで信者(聖飢魔Ⅱのファン)を酔わせる。続く『アダムの林檎』でも、ライデン湯澤殿下のドラムスとゼノン石川和尚のベースが繰り出す抜群のリズムに乗せて、詰め掛けた大観衆をひとつにしていく。随所でカリスマ性の高いMCをはさみ、いつの間にか全員の心を虜にしていく閣下。まさに悪魔の面目躍如だ。BABYMETALを挑発する『BABYMETAL IS DEAD』(『HEAVY METAL IS DEAD』の替え歌)に対しても、大きな歓声が起こる。

 新譜大教典(ニューアルバム)「Season Ⅱ」のリードトラック『Kiss U Dead Or Alive』も素晴らしかった。偶数拍アクセントのギターリフが洋楽的で印象的なミドルテンポのハードロックに乗せて、生死を越えた究極の純愛が胸を打つ。戦いに挑み続け前進することを誓う『Next Is The Best!』も圧巻だった。火炎が噴射される中、この2日間が初披露という勢いに乗る王道メタルサウンドがKアリーナ横浜に響き渡った。ハイライトは黒魔術的な世界観を導入した『蠟人形の館』だった。もはやHR/HMの枠を越えた大ヒット曲に、信者もTHE ONEも垣根を越えて大熱狂だ。

 炎を吹き上げたLED演出と過熱していく演奏で大観衆のハートに火を点けた『FIRE AFTER FIRE』では、閣下がセンターステージで珠玉の高音を響かせる。ルーク参謀とジェイル代官も寄り添い、悪魔の凄みをこれでもかと見せつける。そして、この後だった。聖飢魔ⅡとBABYMETALの歴史の奥に隠されていた、10万年以上前から始まる壮大な“ヘヴィメタル魂”の系譜が、映像で初めて明かされたのだ。そう、この2組は少なくともいがみ合う相手ではないのだ。

撮影:Takahide“THUNDER”Okami

 ならば・・・と、「雌雄を決する必要が無い今、では2組が共鳴するとどうなるのか試してみようではないか!」と閣下が叫んだのが合図だった。聖飢魔Ⅱの代表曲『EL DORADO』の演奏が始まり、ステージ上段にBABYMETALが登場する。いつしかスクリーンには双方のフラッグが映し出される。閣下とSU-METAL、日本が世界に誇るハイトーンが絡み合う。いつしかルーク参謀とMOMOMETAL、ジェイル代官とMOAMETALもエレキギターで共鳴していく。信者とTHE ONE、計2万人が声を合わせて叫び、歓びを分かち合う。まさに対極の“世界”がひとつになった瞬間だった。

撮影:Takahide“THUNDER”Okami
撮影:Takahide“THUNDER”Okami

 サポートメンバーのギタリストRENOファウスト(Damian Hamada’s Creatures)とキーボーディストKAMISORI SYUTO(3470.mon)を紹介し送り出した後、聖飢魔ⅡとBABYMETALは互いにエールを贈り合い、最後はデーモン閣下とSU-METALがお互いのフラッグを交換する儀式を執り行なって光の中へと消えていった。スクリーンには宇宙から見た地球の姿が映し出され、鐘の音が鳴り響く。あまりにも感動的なフィナーレだった。

撮影:Takahide“THUNDER”Okami
撮影:Takahide“THUNDER”Okami

 彼らの奇跡の遭遇から生まれた衝撃は、敵対ではなく共鳴だった。思えば、この2組はヘヴィメタルを基軸としながら多彩な音楽エッセンスを取り入れ、独自のサウンドとメッセージを創り上げ人々に発信してきた。すべてが同じでは無いが、掲げた旗印のもとに世界を席巻してきた存在であることは変わらない。こうして、奇跡のジョイントギグは、互いを認め合い共感し合って幕を閉じた。

撮影:Takahide“THUNDER”Okami

 WOWOWではあまりにも劇的な結末を迎えたDAY2の模様を新春1月4日(日)午後8時より放送・配信する。聖飢魔IIとBABYMETALの過去・現在・未来に思いを馳せながら、HR/HM界の悪魔と神が共鳴させた至高の音楽・エンタテインメントを存分に堪能して欲しい。


【番組情報】

聖飢魔Ⅱ VS BABYMETAL 悪魔が来たりてベビメタる 衝撃-Impact-

2026年1月4日(日)午後8:00~

WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信

※放送・配信終了後~2週間アーカイブ配信あり

【番組サイト】

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