江戸の町の光景を、一緒に覗いてみませんか? 絵と文で綴った四代目・歌川広重の代表作、角川ソフィア文庫より発売
江戸生まれの作者が描く貴重な資料集『江戸府内絵本風俗往来』初の現代語訳、図版283点もすべて収録
四代目・歌川広重を襲名する著者が、江戸市中の風物詩を、愛嬌あるイラストと文で回顧します。年間行事や習俗、いつも見かける子どもの遊び、江戸を訪れる行商人や、奇想天外な芸人たちなど、江戸の日常風景がいきいきと描写されており、見ているだけでも楽しむことができます。
本書は、江戸文化を知るための貴重な資料集として、研究者や江戸ファンの必携書にもなっていました。このたび、本文をすべて現代語に訳し、イラストを全点収録した、書き下ろしの文庫として刊行いたします。
見て楽しいイラスト283点
特徴は、なんといっても、江戸の人びとを活写したイラストです。一瞬を切り取った構図を見ると、江戸時代にタイムスリップしたかのように感じます。
季語の理解にも
若水、初荷、薮入り、初午祭、苧がら売り、酉の市……など、俳句の季語として知られながら、現代では少し馴染みが薄い語も、イラストとともに詳しく紹介されています。
正月の風物詩といえば、凧上げに羽根突き。楽しむ人たちの笑い声が、今にも聞こえてきそうです。
町医者の往診の様子。後ろに見えるのは「薬種」の暖簾が掛かった薬屋で、漢方薬の看板が目立ちます。
文人の集会場所としても知られる、万八楼という料理屋で行われた書画会。求めに応じて、その場で書き上げることもありました。
隅田川の花火大会は、川開きに併せて行われました。大勢の人が詰めかけ、たくさんの船も出ています。
左の絵の子どもが担いでいるのは「樽神輿」です。酒の空き樽を神輿に見立てて、担いで騒ぎ回りました。
目次
序
凡例
上編 外の部
将軍家松飾り/辻店の凧売り/魚河岸の初売り/江戸町火消出初め/加賀鳶の初出/獅子舞/厄払い/暦売り/餅網売り/大凧遊び/梅見/日比谷稲荷初午祭/彼岸/豊島屋の白酒/桜草売り/上巳節句の礼者/奉公人出替り/参府交代/伊勢参宮の犬/隅田堤の花見/五月端午/両国川開き/富士講中登山出立/金魚売り/風鈴売り/富士詣で/じゃん拳/店頭の納涼/大通りの深夜/花山車/天王祭/朝顔売り/山王祭/花火/からくり/七夕の竹売り/井戸さらい/佃踊り/盆踊り/菊見/神田明神祭礼/紅葉狩り/池上本門寺参籠/七五三の祝い/火事/大名火消/雪見/焼き芋を売る/年の市/餅搗き/大晦日……など
中編 内の部
屠蘇を汲み雑煮を祝う/乗馬初め/湯屋の二階/歌牌遊び/十四日年越し/雛祭御道具/初午/書画会/御殿女中宿下がり/灌仏/蛍/梅雨/笹団子/梅干・雷干/精霊棚/藪入りの丁稚/十五夜観月/玄猪の御篝火/恵比須講/勧進相撲/講武/商家の冬夜/酉の市/子犬の小屋を作る/町火消/防大名/新吉原遊里の狐舞/王子の狐火……など
下編 雑の部
売卜者/小僧金子の使い/お記録本屋/見附の交代/千両箱の運送/諸侯の水運び/普化僧/七色とうがらし売り/居合抜き/塩屋/子供の喧嘩/豊島屋の樽の曲ざし/粟餅の曲搗き/紅かん/仮似声使い/住吉踊り/歯力/一人相撲/鎌倉節の飴売り/辻謡曲/大道講釈/読売/ところてん曲突き/降巫/唐人飴ホニホロ/墓所の幽霊/淡島大明神/屋敷窓下の買物……など
解説
書籍概要
書名: 現代語訳 江戸府内絵本風俗往来
著者: 菊池貴一郎
訳 : 小林祥次郎
発売日: 2023年7月21日
判型: 文庫判
ページ数: 624
ISBN: 9784044007669
発行:株式会社KADOKAWA
レーベル:角川ソフィア文庫
定価:1,650円(1,500円+税)
幕末の江戸で生まれ育ち、歌川広重を襲名する作者が、明治になって絵と文で回顧した、町や通りの折々の風景。文章でしか知り得なかった光景が、私たちの眼前にありありと現れる。図版283点のすべてを収録。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322302001461/
https://www.amazon.co.jp/dp/4044007667
菊池貴一郎 略歴
江戸末期に生まれ、菊池家の養子となる。蘆の葉散人を名乗り、後に四代歌川広重を襲名する。著書に『江戸府内絵本風俗往来』『江戸の花』『江戸風景』など。1925(大正14)年没。
小林祥次郎 略歴
1938年、栃木県生まれ。元小山工業高等専門学校教授。著書に『人名ではない人名録』『季語をさかのぼる』(勉誠出版)、共著に『日本古典風俗辞典』(角川ソフィア文庫)など。
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