児童文庫シェアNo.1※「第12回角川つばさ文庫小説賞」受賞作が決定!
※児童文庫レーベルトップシェア。公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所調べ(調査年月:2024年3月)
株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区)は、児童文庫シェアNo.1レーベルの「角川つばさ文庫」を発行、小・中学生のためのエンタテイメント小説を募集する「角川つばさ文庫小説賞」を開催しています。2023年7月1日から8月31日に作品を募集した「第12回角川つばさ文庫小説賞」には、多くの素晴らしい作品が寄せられました。
このたび、厳正なる審査により受賞作品が決定、「一般部門」では、金賞2作品の受賞が決まりました。受賞作品は、角川つばさ文庫から刊行される予定です。
また、「こども部門」では兵庫県の小学4年生が〈グランプリ〉を、東京都の小学4年生、小学5年生がそれぞれ〈準グランプリ〉を受賞しています。
角川つばさ文庫小説賞公式サイト(https://tsubasabunko.jp/award/ )
●一般部門<金賞>2作品概要
《金賞》『かわいいもの同盟!』 橘花やよい さん
【あらすじ】
わたし、丸枝色葉! 食べるのと同じくらい、かわいいものが大好き! ……でも、最近、クラスでは大人っぽくておしゃれなものが流行中なんだ。みんなと話が合わなくてなやんでいたある日、学校で人気のクール王子・吹雪冬也くんが「かわいいもの好き」ってヒミツを知っちゃった……! 放課後、話があるって呼び出されたのは「うさぎのマスコットをおそろいでつけてるフリをしてほしい」ってお願いで……!? 男でかわいいもの好きなのはヘンかも……って、そんなこと絶対ないよ!
【著者プロフィール】
岐阜県出身、愛知県在住。2024年、第12回角川つばさ文庫小説賞金賞。23年、みらい文庫1章だけ大賞ファンタジー部門大賞。胸が「ぎゅっ」として「ほっ」とするお話が好き。大学では平安文学を専攻。
【受賞のことば】
本屋や図書館で、あきれられるくらい長い時間を過ごせたのが、幼いころのわたしでした。本がある場所って楽しいですよね。
当時、小説家になりたい、とも思っていました。けれど「あきっぽいから長編は書けないなぁ……」と言っていたことも覚えています。
そんなわたしが、おとなになって、小説家への道を進んでいます。不思議ですね。
子どものころ、どきどきしながら買っていた児童文庫。今度はわたしが、物語を好きなだれかのもとに本をお届けできるなんて、本当に不思議でわくわくします。
このたびは素敵な賞をいただきまして、ありがとうございます。選考にたずさわってくださったみなさま、そして応援してくださったみなさまに、お礼申し上げます。
いまわたしが感じているしあわせを、物語をとおして、みなさまにお返ししていきたいです。
あなたに、すてきな物語をお届けできますように。
《金賞》『アオハルチャレンジ!』 無月 蒼 さん
【あらすじ】
わたし、天宮灯は、最近『#アオハルチャレンジ』っていうのにハマってる。SNS上で「アオハル仕掛け人」から出される「お題」をクリアして、その写真や動画をSNSにあげるってだけなんだけど……友だちといっしょに「青春っぽいこと」をするのが、なんだか楽しいんだよね! 今日も、同じ部活の安達くんといっしょに「#連続おやつチャレンジ」をクリア! 毎日いっしょにおやつを食べるってすごくなかよくなれた気がする。そして、じ、じつはわたし、安達くんのことが……。
【著者プロフィール】
熊本出身で福岡在住の会社員。2023年、第3回野いちごジュニア小説賞大賞受賞。
幼い頃から読書が趣味で、社会人になってから執筆活動を開始。
現在書籍化に向けて作業中。
【受賞のことば】
この度は素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。
子供の頃から物語が好きで、「将来はお話を作る人になりたい」と思っていたものの、思うだけで、実際に小説を書きはじめたのは大人になってからでした。
角川つばさ文庫小説賞には今までにも何度か応募しましたが、いずれも一次選考すら通過せず。上手くいかないことも多かったです。
もしも1人で書いていたら途中で心が折れていたかもしれませんけど、それでも続けられたのはネットを通じて、小説仲間と励まし合っていたおかげです。
今回受賞した「アオハルチャレンジ!」でも、そんなネットを通じての人との繋がりをテーマにしています。
ネットは怖い側面もありますけど、年齢や性別を越えて人の輪を広げられる素敵な場所です。
好きなものを共有したり共感し合ったりして、顔も知らない誰かと喜びを分かち合うのって、不思議なワクワクがありますよね。
作品を通してそんなネットやSNSの楽しさを、伝えていきたいです。
●一般部門 選考委員選評
宗田 理様
作家。代表作は『ぼくらの七日間戦争』。「ぼくら」シリーズは角川つばさ文庫でも大人気。
まずは金賞に選んだ2作品について。
『かわいいもの同盟!』は、ほのかな恋愛感情や友達関係が変化していく様子など、主人公、色葉の心の成長がよく描けていた。ただ展開の幅が狭いためか、物足りなさも感じた。例えば、花恋の親が経営する会社に、色葉と吹雪がかわいいものの企画を持ちこみ、商品化を進める中で花恋も心を動かされるなど、3人の絡ませ方をもうひと工夫して、物語に奥行きをもたせることができたら、もっとよくなったと思う。
『アオハルチャレンジ!』は、アイディアを評価したい。SNSと現実世界の書き分け、SNSを使って仲間を集めて事件を解決するなど、現代風にうまくまとまっていた。だが全体としては、淡々としていて、おばあさんの猫を助けるというラストも盛り上がりに欠ける。主人公が軽い気持ちで始めたアオハルチャレンジがとんでもない事件を引き起こすなど、もう少し、ストーリーに起伏がつけられるとよかった。
惜しくも選外となった『ラボエスケープ~僕らが地球を救うまで~』について。パンダーニュという宇宙人が登場する、意欲的な作品ではあったが、地球侵略が目的の割には宇宙人が恐ろしくなく、仕掛けるゲームの意図もよくわからない。読者が納得できるようにてんまつを書いてほしかった。
今年は、例年と比べても小粒な作品が多かったように思う。女の子の心理を丁寧に描写した小説も良いのだが、そればかりでは、角川つばさ文庫の読者層は広がらない。女の子だけでなく、普段少年マンガを読んでいるような男の子を振り向かせるくらいの、ハラハラドキドキするスケールの大きな応募作を待っている。
藤 ダリオ様
作家、脚本家(藤岡美暢)としても活動。脚本の代表作 映画『貞子3D』、アニメ『殺戮の天使』など。著作に角川つばさ文庫「絶体絶命ゲーム」シリーズなどがある。
最終候補の3作はどれも魅力のある作品でした。ただ、読者を夢中にさせるパワーが不足しているように感じました。
『かわいいもの同盟!』は、モチーフとテーマは抜群にいいです。小学5年生になり、周りはかわいいものから、大人っぽいものが好きになっていく。その中で、主人公は周りに流されずに、かわいいものが好きだという気持ちを変えない。自分らしさを失わないというテーマは、大人にも通じるものです。物語の展開も、ひねりがあり非凡なものがあります。ただ、主人公以外のキャラクターに工夫がほしいです。女子に人気の吹雪くんや、主人公を敵視する花恋と原さんのエピソードが足りません。全体的なクオリティーは高いので、面白い作品が書ける人だと思います。
『アオハルチャレンジ!』は、SNSという現代的なモチーフが最高にいいです。登場人物も良くできています。主人公が恋をする安達くんは、ミステリアスで魅力的です。欠点は、構成(ストーリー)です。前半から中盤にかけて、主人公が写真部に入る過去話になりますが、ここが長いです。過去話は、よほどの仕掛けをしないと読者が退屈します。中盤以降もストーリーの展開が少なく、クライマックスのエピソードも主人公がピンチにならないので盛り上がりに欠けます。それでも、きらりと光るものがあり、大化けする可能性を秘めていると思います。
『ラボエスケープ~僕らが地球を救うまで~』は、宇宙人の目的と、連れてこられた子供たちがやらされるゲームが合わない感じがしました。宇宙人がやらせているのなら、もっと奇想天外でダークなことができたと思います。読みやすくて、発想は良かったので、ほかの作品を読んでみたいです。
本上まなみ様
女優、タレントとして活躍するほか、エッセイや絵本などの著作も多数。
『かわいいもの同盟!』は、主人公の素直さ・明るさに心奪われました。キャラクターグッズをこよなく愛する小学五年生は、確かに同級生から見れば幼さがあるのかもしれないけれど、「好きなものは好き」と言い切れるって清々しいです。その彼女が、好きなものを好きって言わない、言えないでいる友だちに出会って、そのわけを知っていく過程が丁寧に描けていました。ぽんぽん会話が弾んだり、訥々と言葉を紡いだり。喋り方でも性格や関係性が伝わってきますよね。場面場面で緩急があり、楽しかった。構成も良く練られていました。
『アオハルチャレンジ!』は、画像動画投稿サイトのハッシュタグの名前。青春っぽいお題が出されるたび、みんなが投稿〜賑わう、という設定なのですが、お題がどれも、やってみたいという気にさせるものばかり。これは読者世代に最も興味のあるテーマのひとつだと感じました。物語自体がSNSと適切に関わっていくことのお手本となるような展開で、日常の楽しみ、ちょっとした幸せをシェアし合うという本来の目的に即しているのも良かったです。
残念ながら贈賞とはなりませんでしたが『ラボエスケープ~僕らが地球を救うまで~』も、他にない切り口で粒だった個性を描いていました。小学生の脱出ゲームですが、家事能力が試され、課題をクリアしないと自宅に戻れないと言うのです。せっかくだから敵をパワーアップさせ、子どもたちも意見が割れて揉めたり、難しすぎて悲鳴をあげるくらいに、難易度5倍増しでも良かったと思います。2年連続最終選考ってすごいこと。ぜひ自信を持って下さい。来年は贈賞式でお目にかかれるはず、と期待しています。
今年度は生活の日常の延長線上にある物語が多い印象でした。「こんな世界見たことない!」とのめり込まされてしまう、創造力+想像力みなぎる作品も引き続きお待ちしています。
●こども部門〈グランプリ〉〈準グランプリ〉作品概要
《グランプリ》『エビくんとエビちゃん』 切貫奏栄さん(小学4年)
【あらすじ】
わたしはエビくんが大好き。だってエビくんは、たくさんの夢があって前向きだから。でもわたしたちは、小さな箱に入れられて「おすし」と書かれた場所に連れて来られてしまった。食べられてしまうことを知ったエビくんの「おせちになる」という夢に、わたしは泣いてしまう。先にエビくんがつかまってしまうが、時季が悪くおせちにはなれなかった。とうとうわたしがつかまる番がやってきた。果たしてわたしはおせちになれるのだろうか?
《準グランプリ》『ぼくは誰?』 みりんさん(小学4年)
【あらすじ】
気がつくと河原に立っていて、自分がだれなのか分からなくなっていた「ぼく」。えんま大王に会い、自分が死んでいたことに絶望するが、「ぼく」は生前の自分を知るために、人間界に戻ることになった。しかし、「ぼく」こと「大河和也」の情報を集める中で、自分はどろぼうだったのかもしれないと知り、ショックを受ける。このままじごく行きかと思われた時、それを覆す事実が発覚。しかもえんま大王のもとに戻ると、さらに衝撃的な事実が明らかになり――?
《準グランプリ》『日本 ケンカしちゃいました ~あぁ もうおこっぺおこっぺ~』 大久保海翔さん(小学5年)
【あらすじ】
おじいちゃんが教えてくれたのは、かつて四十七都道府県の間で起こった戦争のことだ。十和田湖を巡って争った青森対秋田、その後の東北大決戦、大阪の関西統一、中京圏を取ろうとする東京……。わんこそばやリンゴ、ほうとうといった名物や、吉野ケ里遺跡や熊本城のような文化財の有名さ、人口の多さや川の長さなどでしのぎを削る、奇想天外な都道府県たち。争いを経て、和睦と、「平和な日本を創りたい」という気づきがもたらされていたのだ。
そのほか最終選考結果の内容や、各賞についてのさらに詳しい選評等は、角川つばさ文庫小説賞公式サイト(https://tsubasabunko.jp/award/ ) をご覧ください。
●角川つばさ文庫・角川つばさ文庫小説賞 とは
「角川つばさ文庫」は、2009年3月に創刊した「次はどんな本を読もう?」そんな子どもたちの「読みたい気持ち」を応援する児童文庫レーベル。KADOKAWAの持つコンテンツや読者を楽しませるノウハウを子どもたちのために駆使し、青春、冒険、ファンタジー、恋愛、学園、SF、ミステリー、ホラーなど幅広いジャンルの作品を刊行しています。レーベル名には、物語の世界を自分の「つばさ」で自由自在に飛び、自分で未来をきりひらいてほしい。本をひらけば、いつでも、どこへでも……そんな願いが込められています。主な作品に『ぼくらの七日間戦争』『怪盗レッド』『四つ子ぐらし』シリーズなど。
「角川つばさ文庫小説賞」は、小・中学生の子どもたちにもっと読書を楽しんでもらいたい、という願いを込めて2011年9月に創設された小説賞です。
●角川つばさ文庫オフィシャルサイト: https://tsubasabunko.jp/
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