いかにして本丸のテレビ局に切り込むか--打倒YouTube目指す「Brightcove×トランスコスモス」
日本市場への参入を決めた米動画配信支援企業のBrightcove。民放キー局のサイト制作業務なども手がけるテレマーケティング国内大手のトランスコスモスから出資も受け、その準備も整った。YouTubeに沸く日本を含む世界市場、その一方で問題視される著作権侵害、さらにはいかにして収益モデルを構築すればいいのかという問題──。
依然として混沌した市場の中で、同社はどのような狙いと戦略で、日本攻略を進めるのか。創業者で最高経営責任者(CEO)のJeremy Allaire氏に聞いた。
依然として混沌した市場の中で、同社はどのような狙いと戦略で、日本攻略を進めるのか。創業者で最高経営責任者(CEO)のJeremy Allaire氏に聞いた。

インターネットが普及する以前の1990年代にこの世界の存在を知り、非常に興奮したことを覚えています。その時に、「メディアやコミュニケーションに関して新しい定義付けみたいなものができるだろう」というインスピレーションを得ました。そのことが、「誰でもインタラクティブにコンテンツをアップロードでき、世界の境界線がなくなるようなダイナミックな世界観を作りたい」と思うようになったきっかけです。
――会社設立のきっかけは。
2002年のMacromedia在籍中、「Flash MX」の開発にたずさわり、映像コンテンツがどこでも見られるようなビジネスモデルが作れると思いました。当初はそのアイデアをMacromediaの中で実現したいと考えていたのですが、経営陣との方向性が合わず、自分でやることを決心しました。その後はずっと会社設立のきっかけを窺っていたんです。
それから2004年にMicrosoftが展開し始めた「Media Center」を見て、「今後5年以内にテレビへネット上のコンテンツを配信して視聴されるようになる」という明るい未来を見出し、Brightcoveの設立に至りました。
――当初は現状と異なるサービスを提供しようと考えていたわけですか。
2005年に大手メディアへのヒアリング調査を実施したところ、彼らは「保有コンテンツをより視聴者が集まっているところで配信したい」と思っていて、それはネットの世界だった。であれば、テレビの前にパソコン上での動画配信を行うべきだと思ったわけです。
――将来的にはテレビでも展開していきたいと。
はい。もっと言うと、携帯電話やゲーム機を含むあらゆる機器に動画配信ができるシステムにしていきたいと思っております。
――当初の理想と現実の事業者が求めるものとの着地点となったのが今のサービスかと思いますが、そこに至るまでの経緯を教えて下さい。
当初は楽観的に考えていたんです。しかし、現実はネット配信に懐疑的だったり否定的な人が多かったり、さらには著作権の問題などが絡んでくるなど、すぐには理想通りのサービスができないことが分かりました。
そこで最初に考えたのが、テレビなどのメディアやネットワークを持っている企業が自分たちのサイトで動画配信できるよう、技術的な側面でサポートするという戦略です。そこで慣れていってもらい、ほかのサイトでも配信しようと思うようになってもらえればなと。
それと大手にアプローチすることで、収益を確保でき、さらには信用力も高められると思いました。その上で2006年末、中小規模の企業向けにも提案し始めたことで、3000社まで利用企業が急激に伸びてきています。
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「Brightcove×トランスコスモス」
ブログアフィリエイトで美人OLが下克上講座 | Tracked: 2007/05/29 09:27
動画配信サイトにも人気のランキングがあると思います。 YouTubeは一番人気があるでしょう。人気のランキング 日本への参入、うまく行くでしょうか?動画配信サイトのYouTubeを超えるには・・・ 現実はネット配信に懐疑的だったり否…
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Brightcove 国内参入 しかし時期は未定
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広告がテレビからインターネットにシフトしてきたよ…
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――動画配信は広告にたずさわるすべてのプレーヤーに支持されなければ、サービス継続が難しいと思います。動画広告の現状と広告市場全体に与える影響について教えて下さい。
広告市場全体としては拡大していくと考えています。ただ、現状の米国におけるテレビ広告は横ばいあるいは減少の傾向にあり、その理由はネット広告に需要が流れていっていることがあげられます。
一方、米ブロードバンド広告はテレビ広告と内容が変わらないことが多い。それは単にブロードバンド広告に適したコンテンツがないということと、テレビ視聴の時間が徐々にネット利用の時間に流れているという2つの理由があるためです。
実際のコスト比較ではブロードバンド広告はテレビ広告のほぼ倍の料金になっています。というのは、利用者の追跡調査を行って効果が計れることと、双方向サービスによって利用を喚起できるためです。さらには、利用者層のデータを俯瞰することもできます。
――ビジネスモデルは全く違いますが、「最終的にどれだけ見られる動画配信プラットフォームを提供できるのか」という意味では、YouTubeと競合すると思います。
我々は「コンテンツホルダーがどうやって動画配信していくのか」というところから始め、YouTubeは消費者がほかから盗んできたコンテンツで成長してきた、言い換えれば“盗人”のようなモデルで成長してきました。
確かに、(業界標準の動画配信プラットフォームという)核となる部分ではYouTubeと競合するとは思っています。しかし、いつでもどこでも、どんな動画コンテンツでも見られるというコンセプトで展開している我々の方が、今後の広がりという意味においては期待できるビジネスモデルであると考えています。YouTubeは1つのところに動画を見に行くという方向性ですからね。
また、我々は著作権侵害対策もサービス開始当初から行っており、当社のサービス利用者がコンテンツを精査し管理できる機能を提供していますし、違法コンテンツをシステム的に排除する機能もあります。
――日本市場参入の狙いと具体的な戦略について教えて下さい。
当社にとって日本市場参入は、非常に重要なことになると考えています。ブロードバンド環境もいいし、広告市場も伸びている。大企業もネット事業に積極的に取り組んでいるので、当社が事業展開する上での市場基盤が整っている。
ただ、マネタイズに関してはこれから時間をかけて考えていかなければならないと考えています。現時点ではさまざまな企業との関係を作っていきたいと考えていて、まずは動画制作プロダクション、新聞や雑誌などのメディア、音楽などのエンターテインメント事業者などからアプローチし、徐々にテレビ局などへもアプローチしていきたいと考えています。テレビ局側でネットへコンテンツ配信することに居心地の悪さを感じないようになれば、積極的に彼らを巻き込んでいきたいと思っています。
戦略的には日本市場参入は決定事項で、トランスコスモスからの出資も受けており、日本市場の情報なども得ています。ただ、具体的な参入時期については決まっていないので、お話しすることはできません。
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