第1回目のゲストに北野 武氏を迎え、日本が誇る最先端科学技術の粋「SACLA」に迫る!!
世界一小さいものが見えるX線自由電子レーザー施設「SACLA」スペシャルサイトに著名人がピコの世界を語る「SACLA×GENIUS」コーナー開設!
そして「SACLA」を知って最後に思ったこととは!
独立行政法人理化学研究所 放射光科学総合研究センター(兵庫県播磨地区、センター長 石川 哲也、以下 理研 放射光センター)では、世界最先端施設であるX線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」のスペシャルサイトを7月3日(水)にスタートし、このたびサイト内にて「SACLA×GENIUS」のコーナーを8月8日(木)に新たに開設します。
X線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」とは、「ミリ(㎜)」→「マイクロ(micro)」→「ナノ(nano)」に続く小ささを表す単位「ピコ(pico)」の世界を見ることができる、いわばX線を使った“巨大な顕微鏡”です。原子や細胞レべルも観察できることから、生命の神秘の解析や、医療の発展の研究などに貢献している世界最先端施設です。
世界一小さいものが見えるX線レーザー施設 「SACLA」は、 日本の未来に目覚ましい発展をもたらすと期待されて
いますが、 その仕組みの難解さから、 一般の方々に内容を十分にお伝えすることはこれまで困難でした。
そこで、 理研 放射光センターでは、「SACLA」を、多くの方々に楽しみながら身近に感じて頂くためのスペシャルサイトを7月3日(水)にオープンしました。
さらに今回、 「SACLA×GENIUS」のコーナーをスペシャルサイト内に開設することとなりました。各界の著名な方々をゲストに迎え、ピコの世界で見てみたいモノやSACLAへの期待、魅力を語って頂きます。
記念すべき第1回目のゲストには、理系分野への造詣も深い北野 武氏をお迎えし、理化学研究所 放射光科学総合研究センター 高田 昌樹副センター長の解説を交え ロングインタビューを実施致しました。
「SACLA×GENIUS」コーナーURL: http://xfel.riken.jp/pr/sacla/?cat=2
■“世界のキタノ”が、日本の最先端科学技術の粋「SACLA」に迫る ※インタビュー内容を一部抜粋
◇「SACLA」の仕組みについて
北野氏(以下、K):電子顕微鏡で分子レベルまでの観察はこれまでもできたのでしょうが、どれぐらい小さいものまで見ることができるようになったのですか?
高田副センター長(以下、T):SACLAでは、エックス線自由電子レーザーという光を使って従来難しかった原子・分子の科学反応の過程を動画のように見ることができるようになりました。実際にどんな動きなのかを見た人は誰もいなかったのですが、SACLAは10兆分の1秒以下の動きも撮影できるので、あらゆる現象を10兆分の1秒ごとのコマ送り動画として観察することができます。
たとえるなら、月面の虫を地球上から観察するぐらいの感覚でしょうか。SACLAより約15年前から運用している「スプリング8」という大型放射光施設があるのですが、これでも虫の大群が規則正しく整列し、静かに止まっていれば観察できました。しかし、SACLAだと飛び交う虫1匹の羽ばたきまで写せる能力があります。
K:えっ、地球から月を見て、羽ばたきまで見える!?
■北野 武氏が「SACLA」を使って見てみたいモノとは…?
T:ところで北野さんはSACLAを使って見てみたいモノはありますか?
K:やっぱり脳かな。笑うこととか、趣味嗜好ってどうしてできるのか、人によって違うしどこがどう違うのかとかまでわかるとおもしろいですね。商売が商売だから、なぜこの人が言うとおもしろくて、別の人が言うとつまらないのか、センスってどういうことなのだろうか等、解明したいことはいろいろありますね。
T:実は、脳は体の中で一番見えづらいのです。SACLAの明るい光で、脳をどのように信号が伝達していくのか、見えるようになったらおもしろいですね。おもしろかったという情報を脳のどの場所を通じて受け渡しをするのか、また物質の間でどのようなやり取りが行われているのか、興味は尽きないですね。
◇「SACLA」施設の造りについて
K:SACLAは全長約700メートルと他の国で作っているものより圧倒的に短いのですが(アメリカは4キロメートル、ドイツでは3.4キロメートル)、こんなに短いのに強力な光が作れるのはなぜですか?
T:SACLAは400社あまりが取り組んでいるプロジェクトで、全部ハイクオリティな国産技術でできているためその短さを実現できました。それと、サイズをコンパクトにすることで、予算も約390億円と大幅に削減できました(アメリカでは6.15億ドル以上、ドイツでは10.82億ユーロ以上)。
K:こういう最新施設では、やはり国産の技術力の高さがものをいいますよね。
◇「SACLA」が生み出す新たな可能性について
K:基本的に我々が見たり聞いたりする物は原子・分子でできているものですから、SACLAであらゆるものの仕組みがわかるようになると、いろいろ可能性が広がりますね。二酸化炭素なんかいま邪魔者扱いされていますが、水と太陽があれば、でんぷんと水素ができるってことになるわけですよね(笑)。二酸化炭素を25%削減する指標とかありますが、むしろCO2をもっと排出しろという話になるかもしれない。
そうなったらちょっと革命的。ものごとがひっくり返りますね。
T:エネルギーでいえば、太陽電池などもみなさん研究しています。塗料の形態の太陽電池ができれば、窓に塗膜のように塗るだけで発電できてしまう。また、軽くて強い材料、たとえば一番身近なものでカーボンファイバー、これも日本が独壇場で日本の大手企業がこの施設の中でしのぎを削っています。
K:想像することがほとんど可能になってくるような感覚がありますね。これからは、SACLAをどのように利用するのか、想像力の勝負になってくる。サメからフカヒレをとっても、またすぐに生えてくるようにならないかなーとか。
◇インタビューを終えて一番印象に残った内容は
K:「実は700M(SACLAの長さ)もあると地表は結構カーブがあるって、最初の方は地球の曲がりの通りに電子を飛ばせるけど、最後の重要な200Mは地球の曲がりに沿って電子を飛ばせないので、地球上に平面を作っている...というくだり。それとやっぱりアインシュタインの相対性というのはあらゆるものに掛かっていてすごいなぁ、というところ。それでいて、かたやそういう最先端の設備を造るためは、人間の経験や職人の技術が絶対に必要になってきたり、発想があって。それがすごいですね。なんかすごい面白かった!」
<インタビュー風景>
明るく開放的な会議室にて、第1回目の“GENIUSゲスト”北野 武さんのインタビューが行われました。上下黒のスーツ姿で会場に現れた北野さん。まずは最初にスチール撮影を行い、理化学研究所 高田 昌樹副センター長との挨拶もそこそこに、インタビューにのぞみました。
まず驚かされたのは、北野さんの予習のレベルの高さ。毎日、超人的な忙しさの中で、どうやってここまで、資料を読み込んだのか…。「待ってました」と言わんばかりに、次々と繰り出される、鋭く、的を射た北野さんからの質問。最初は、ぎこちなく始まったインタビューも、高田副センター長が応えて行くうちに、会話も次第に熱を帯びてきます。
一般の人には、難解なはずの「SACLA」の仕組みを、いとも簡単に咀嚼し、ともすると理研のスタッフすら舌を巻くほど鋭く本質に切り込んでくる・・・。
実は、北野さんには明治大学工学部機械工学科で学ばれていた時に、レーザー光線に関わるゼミを受講されていたというバックグラウンドがあったのです。けれども、それは約40年前の話。改めて北野さんの知識と探究心の深さに驚かされました。「へぇー、すごいなぁ」を連発しながら、「SACLA」の計り知れない可能性に迫って行く北野さんの姿が非常に印象的な、1時間半にもおよぶロングインタビューとなりました
■世界最短の波長を実現したX線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」
X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」は、2006年度に国家基幹技術の1つとして選定され、日本の最先端テクノロジーを結集して5年間にわたって整備が行われてきました。そして、2011年2月からビーム運転を開始し、わずか3カ月の調整運転で波長0.12ナノメートル(1.2Å)のX線レーザーの発振に成功しました。その後、順調に調整を進め、現在では、世界で最も短い波長となる0.063ナノメートルを達成しています。直線型の加速器を利用したXFELで、波長0.1ナノメートル以下を実現したのは、「SACLA」が世界初となります。
「SACLA」で発生するXFELは、
(1)極めて明るい
(2)発光時間が10兆分の1秒(フェムト秒)と極めて短い
(3)波が完全にそろっている(コヒーレントである)
ことが特徴です。これにより、今まで捉えることのできなかった化学反応など超高速反応の解析や、タンパク質など生体分子の構造解析が可能となり、燃料電池や新薬などの開発が大きく進展するものと期待されています。
また、「SACLA」は、日本独自の技術によって非常にコンパクトに設計され、なおかつ安定に運転できることを重視したデザインになっています。これにより、アメリカやヨーロッパの施設と比べて、3分の1から4分の1の小型化を実現しています。
■ 「SACLA」のスペシャルサイトについて URL: http://xfel.riken.jp/pr/sacla/index.html
世界一小さいものが見えるX線レーザー「SACLA」を分かりやすく、さらに楽しんで頂くため、5つのコンテンツをご用意しています。
◇WHAT’S SACLA
「SACLA」公式キャラクターの『ピコネコ』がピコの単位についてや、なぜ小さいものが見えるかなどの紹介、さらに動画でも「SACLA」の凄さを解説しています。
◇SACLA × GENIUS
日本が誇る最先端科学技術の粋「SACLA」について著名人との対談や、著名人がピコの世界で見てみたいモノなどを語ります。第1弾は「北野武」さん。
◇HARIMA SACLA
アニメーション・CGの制作を手掛ける「神風動画」が今秋スタートに向けて、スペシャルムービー「播磨サクラ」を起動準備中です。
◇PICO GALLERY
生命の神秘の解析や、医療の発展などに貢献する、ピコスコープ「SACLA」のスペシャルムービーとして2作品を公開中。
・ピコスコープSACLAが映し出す、愉快で不思議な細胞たちの世界!と題し、ピコの世界を描き続けるアニメーション作家「水江未来」さんの動画作品「ピコトピア」
・全篇鉛筆と水彩絵の具で描かれた、幻想的なアニメーションで、ナレーションを能登麻美子さんが手がける動画作品「忘れ星(わすれぼし)」
◇GO TO SACLA
“<(祝)SACLAサイト開設記念>ツアー”や“科学者割ツアー”など、「SACLA」の見学ツアーを紹介。
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