小学生の5人に1人が便秘状態にあることが判明!小学生4,833名を対象に『小学生の排便と生活習慣に関する調査』を実施 小学生の2人に1人が学校でうんちをしないと回答!
その結果、小学生の5人に1人が便秘状態にあることや、小学生の2人に1人が学校でうんちをしない、またはほとんどしないと回答するなど、子どもの排便・生活における実態が明らかになりました。
【調査結果サマリー】
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■国際的な便秘の定義であるROMEⅢ基準に照らし合わせると、小学生の5人に1人(20.2%)が便秘状態にあるという結果に。さらにその保護者のうち32.0%は子どもが便秘状態にあると認識していませんでした。
■小学生の2人に1人(49.7%)が学校でうんちをしない、またはほとんどしないと回答しました。
■学校でうんちをしづらい理由を55.9%の小学生が「友達に知られたくないからと回答するなど、人目を気にしていることがわかり、さらにその傾向は学年が上がるにつれて強くなることがわかりました。
■便秘状態にある子ども(Q1参照)を都道府県別に見てみると、大阪府が29.8%で全国1位でした。
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便秘は子どもの身体の負担となるだけでなく、辛い思いもさせてしまいます。「子どもの便秘」解消は早急に取り組むべき社会的課題です。
そこで、NPO法人 日本トイレ研究所は、本調査の結果を受け、子どもの便秘解消を目指す新プロジェクト『ラブレッタプロジェクト』を立ち上げました。プロジェクトでは「腸内環境の改善」「排便意識の改善」「トイレ空間の改善」という3つの改善に取り組んでいく予定です。
【1】小学生の便秘実態
小学生の5人に1人(20.2%)が便秘状態にあることが判明!さらにその保護者の32.0%は子どもが便秘状態にあると認識せず
【Q1】あなたの排便状況について、以下の項目はそれぞれどの程度あてはまりますか。 (MA) /N=4833
小学生の子どものうち20.2%が便秘状態にあることがわかりました。
<回答項目>
・便秘っぽいと感じる
・便が出にくい
・シャバシャバした水のようなうんちがでる(下痢気味)
・硬いうんちがでる
・柔らかいうんちがでる
・1回の排便で少しだけしかうんちがでない
・うんちをしても、まだうんちが残っているような気がする
/うんちをしたあと、またすぐにトイレにいくことがある(残便感がある)
・うんちをするのに時間がかかる
・うんちをするときに痛みを感じる
・うんちをしたあとすっきりした気持ちにならない
・うんちが漏れることがある
・うんちを我慢したり、無理やりうんちをお腹に溜めようとする
・トイレが詰まるくらい大きなうんちが出ることがある
※ROMEⅢの定義に照らし合わせ、本調査では下記条件のうち2つ以上に合致する人を「便秘状態にある」と定義する。
- 排便頻度が3日に1回以下
- 便失禁がある
- 便を我慢することがある
- 排便時に痛みがある
- 便が硬い
- トイレが詰まるくらい大きな便が出る
【Q2】あなたから見て、お子さまは便秘状態にあると思いますか。(SA) /N=976
便秘状態に該当する子どもの保護者のみ抽出。32.0%が自分の子どもを便秘状態にあると認識していないことが明らかになりました。
便秘状態にある子どもの保護者のうち18.6%がなんの対策もしていないことが明らかに!
【Q3】あなたはお子さまの便秘対策として普段どのようなことを行っていますか。(MA) /N=976
便秘状態にある子どもの保護者のみ抽出。18.6%が特に便秘対策をしていないことがわかりました。
うんちが3日に1回以下しか出ない子のうち、危機感を持っている子は21.6%に留まる
【Q4】あなたは、普段どれくらいの頻度でうんちをしますか。(SA) /N=4833
3日に1回以下しかうんちが出ない子どもの合計は全体の7.6%でした。
【Q5】あなたは、うんちが3日以上出ないことについて、危機感をお持ちですか。(SA)/N=365
さらに、うんちが3日に1回以下しか出ないことに関して、危機感を持っている子どもの合計は21.6%に留まる事がわかりました。
便秘状態にある子どもが最も多いのは大阪府で29.8%
便秘状態にある子ども(Q1参照)を都道府県別に見てみると、大阪府が29.8%で全国1位でした。
【2】学校における排便の実態
小学生の2人に1人(49.7%)が学校でうんちをしないと回答!さらに学年が上がるほど排便時に人目を気にする傾向が明らかに
【Q6】あなたは普段、学校のトイレでうんちをしますか。(SA) /N=4833
全体のうち「ほとんどしない」(35.3%)「まったくしない」(14.4%)と回答した子どもを合計すると、49.7%の子どもが学校のトイレでうんちをしないことがわかりました。さらに、その傾向は学年が上がるにつれて強まり、6年生では56.6%にのぼります。
【Q7】あなたは学校でうんちをしたくなった時、我慢することはありますか。(SA) /N=4833
全体のうち「よくある」(10.0%)「ときどきある」(42.8%)と回答した子どもを合計すると、52.8%の子どもが学校でうんちをしたくなった時に我慢していることがわかりました。さらに、その傾向は学年が上がるにつれて強まり(4年生を除く)、6年生では58.0%にのぼります。
【Q8】あなたは普段、学校のどこのトイレでうんちをしますか。(SA) /N=4833
12.2%の子どもが教室から一番近いトイレ以外を選ぶことがわかりました。さらに、その傾向は学年が上がるにつれて強まり、6年生では20.4%にのぼります。
【Q9】あなたは学校でうんちをする際、人目を気にして人の少ないトイレを選ぶことがありますか。(SA) /N=4833
全体のうち「よくある」(11.4%)「ときどきある」(38.8%)と回答した子どもを合計すると、50.2%の子どもが学校でうんちをする際、人目を気にして人の少ないトイレを選ぶことがわかりました。さらに、その傾向は学年が上がるにつれて強まり、6年生では63.4%にのぼります。
【Q10】あなたは学校でうんちをしたことで、友達にからかわれることはありますか。(SA) /N=4833
「よくある」(1.8%)「ときどきある」(16.2%)と回答した子どもを合計すると18.0%の子どもが学校でうんちをしたことでからかわれた経験があることがわかりました。
学校のトイレはうんちをしやすいと感じている子どもは24.6%に留まる
さらに排便の際に友達の目が気になっており、改善意向も高いことが明らかに!
【Q11】あなたの学校のトイレは、うんちがしやすいと思いますか。(SA) /N=4833
学校でうんちがしやすいと感じている子どもは全体の24.6%にとどまることがわかりました。
【Q12】あなたが学校のトイレでうんちがしにくい理由はなんですか。(MA) /N=2195
学校でうんちがしにくいと回答した子どもにその理由を尋ねたところ、「友達に知られたくないこと」(55.9%)「友達にからかわれること」(36.4%)など、人目を気にしている傾向が明らかになりました。さらに改善意向も高いことがわかりました。
【3】子どもの食・生活習慣と便秘の関係性
便秘状態の子どもは、そうでない子どもに比べ、睡眠時間が短い・朝食を毎朝食べないなど、生活習慣に関する割合が全て下回る
【Q13】あなたのお子さまの生活について、以下の事柄は十分に出来ている(とれている)と思いますか。(MA) /N=4833
便秘状態にある子どもは、そうでない子どもに比べて、正しい生活習慣の割合いが低いことがわかりました。
便秘状態にある子どもは、そうでない子どもと比べて7時以降に起床する子、22時以降に就寝する子が多い
【Q14】あなたは、普段学校のある日は何時頃に起きていますか。(SA) /N=4833
便秘状態にある子どものほうが、朝7時以降の起床が多いことがわかりました。
【Q15】あなたは、普段学校のある日は何時頃に寝ていますか。(SA) /N=4833
便秘状態にある子どものほうが、夜22時以降の就寝が多いことがわかりました。
便秘状態にある子どもは、そうでない子どもより「毎日朝食を食べる」人が平日・休日ともに少ないことが判明
【Q16】あなたは、普段朝食を食べていますか。平日と休日のそれぞれについてお答えください。(SA) /N=4833
便秘状態にある子どもは、そうでない子どもに比べて、朝食を毎日食べている割合が低いことがわかりました。
<平日>
<休日>
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総括
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今回の調査結果を受け、さいたま市立病院小児外科部長の中野 美和子先生にコメントを頂戴しております。
【1】小学生の便秘実態 について
(小学生のうち便秘状態にある子が)約20%という数値は、最近の他の調査とも合致し、成人女性と同じ程度に小学生が便秘状態にあることを示し、極めて憂慮すべきことだと思う。これらの子どもの全てがこのまま、成人まで便秘状態を持ち越すわけではないと思われるが、特に女性では、持ち越すことが多いのではないかと推察される。 最近、便秘と心血管疾患の関連の可能性や、腸管細菌叢と成人病の関連のデータの報告されてきていて、便秘による直接の症状のみならず、長期の便秘状態が全身状態にもたらす影響も心配される。
便秘状態のこどもが増えている背景には、さまざまなことが考えられるが、緊張を強いられる現代の社会状況が基本にあるのだろう。しかも、保護者がそれに気付かないでいることも大きな問題である。知識や技能の教育に目が行き、排便に関心を持たないことに代表される、身体に注意を向けるという養育の基本がなおざりにされがちであることを意味していると思う。子ども自身は、便秘状態が続いても、慢性的であるために、自覚することは難しいし、自覚しても、保護者が関心を持たなければ、訴えることはできにくい。また、小児期に排便に関して無関心な環境にあれば、成人後も同様のことが続くことが予想される。食育と同様に、排泄に関しても、保護者と子ども自身の双方に教育が必要であろう。
【2】学校における排便の実態 について
便意を我慢しないことが便秘の予防、及び治療において、もっとも重要なことである。学校で排便しにくい、ガマンしてしまうことが、便秘症が多いことと、関連している可能性がある。学校でのトイレ環境がよくないこと、教育者側が排泄に関して関心をもっていないことが、大きな要因であろう。外来でみている慢性機能性便秘症の子どもは、実際に、学校で自由にトイレに行けないために、排便のコントロールが難しくなることがある。また、入学後に、便秘症が出現した、悪化したという例もみられている。
【3】子どもの食・生活習慣と便秘の関係性 について
排泄、睡眠、食事などの基本的生活習慣はお互いに関連している。よい生活習慣を身に着けていれば、当然、排便状態もよくなりやすい。ある程度以上の便秘症では、生活習慣の改善だけではなおらないが、軽度の便秘状態の改善、便秘の予防、便秘治療の一環として、極めて大事なことである。
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監修:中野 美和子(なかの みわこ)先生について
国立小児病院・国立成育医医療センターを経て、現在 さいたま市立病院小児外科部長。
小児外科分野で、代謝・栄養、消化管機能の臨床研究に携わっている。さいたま市立病院では、排便外来を開設し、先天性の疾患による排便異常、及び、重症の小児機能性便秘症などの消化管機能異常の治療にあたっている。近著「赤ちゃんからの便秘問題」(言叢社)医学博士、日本小児外科学会指導医。
NPO法人 日本トイレ研究所について
日本トイレ研究所は、「トイレ」をとおして社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトに活動しているNPO団体。トイレから、環境、文化、教育、健康について考え、すべての人が安心してトイレを利用でき、ともに暮らせる社会づくりを目指している。近年は、「子どもたちのトイレ・排泄」「災害時のトイレ・衛生対策」「世界をもてなすトイレ環境づくり」「自然エリアにおけるトイレ・し尿処理対策」を主なテーマとして、行政や研究機関、企業、市民、団体等と連携しながら活動を展開。
日本トイレ研究所ホームページ http://www.toilet.or.jp/profile/
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