【アノニマ・スタジオ】佐々木俊尚氏『そして、暮らしは共同体になる。』アノニマ・スタジオより2016年11月30日に発売

中央出版株式会社

ジャーナリスト・佐々木俊尚氏の最新刊のテーマは「暮らし」。震災や経済危機を経た不安と混乱の時代に、私たちは何を求めているのか。企業や個人、メディアへの取材を重ね、深い洞察に基づいていま求められている「新しい共同体感覚」を描き出す、すべての社会人必読の書。

 


震災や経済危機を経た不安な時代、私たちは心の余裕とよりどころを求めているのではないでしょうか。
現在トレンドになりつつある「持たない暮らし」や「ていねいな暮らし」はその表れとも言えます。事実、ミニマリズムの実践者たちに注目が集まり、食の安全やていねいな暮らしをサポートするビジネスが求められはじめています。

これまでにも、オーガニックや無農薬の食品を求めるような消費者運動はありつつも、一方で過激にそれを求めすぎる原理主義的な考え方に陥っていました。本書で「反逆クール」と名付けられているそのような立ち位置も、現在の人々が本当に求めているものではありません。

こうした課題にいち早く気がつき、取り組んでいる人たちがいます。
素朴で健全な食材をネットを通じて提供する企業「オイシックス」、日常の喜びを大切にすることを提案するWebメディア「くらしのきほん」、細やかなニーズに応えるスーパー「成城石井」、シェアハウスよりもゆるやかにつながりあう「コレクティブハウス」、Web上で文化を共有するECサイト「北欧、暮らしの道具店」・・・。
彼らへの取材を通じて見えてきたのは、「上へ」の上昇志向ではなく、「外へ」のアウトサイダー志向でもない、「横へ」のつながりを大切にする暮らし方でした。

それぞれの企業やメディア、個人の取り組みを紹介しながら、新しく立ち上がりつつある共同体の核心を描き出した、著者渾身の一冊。

お話は、オイシックスの熱意あふれるバイヤー、小堀夏佳さんがある農家をたずねるところからはじまります。彼女がそこで仕入れた野菜セットが、予想に反して大ヒットとなったのです。なぜいま、安心で美味しい野菜を多くの人が求めるようになったのでしょうか。

(以下「はじめに」より引用)
 日本では戦後、肉と乳製品が中心の欧米型食事に移行し、野菜の消費量が年々減っていっているということが指摘されてきました。またスーパーの総菜やコンビニの弁当などが普及して、そもそも生鮮食材を買う人が減っているということも言われてきたのです。

 もちろん一部にはオーガニックと呼ばれる無農薬有機野菜もありましたが、値段が高く、販売店も少なく、一部の意識の高い人だけに消費されるものと考えられてきたのです。

 しかし、その空気がここ最近、劇的に変わりつつある。

 オイシックス社長の高島宏平さんは、東日本大震災が大きな変化をもたらしたと語っています。
「震災で一気に変わったという実感があります。震災では福島原発事故への不安がまずあり、その不安をどうとりのぞいて安心安全な食材をご提供できるかという放射性物質対策が中心の時期は、二年ぐらいつづきました。それがいったん収まったあとに、文化が一気に広がってきた。それまでのオーガニックが好きで料理のスキルが高い人たちだけでなく、そうじゃない人たちも『もっとちゃんとした食を』と求め、自分もそうなりたいという思いでサイトに来ていただくようになったのです」

 これは大きな日本の生活文化の変化ととらえるべきなのでしょう。オイシックスではお客さんの九割を女性が占め、三十〜四十歳代が中心。半数ははたらいていて、同じく半数がお子さんを持っている人たちです。このように子育てもして仕事もして、とても忙しい女性たちが、豪華な生活ではなく、知に足のついた安全な暮らしを求めているということなのでしょう。

高島さんはこう続けます。
「震災に加え、リーマンショックという経済危機が、食べるということの意味を潜在的に見直すきっかけになったのではないかと思います。スーパーで買う食材は食べるための『部品』みたいなものだったけれど、部品じゃなくて、生きるためのものに変わったのじゃないでしょうか。そして足もとを見直そう、この生活が大切だよねという感覚になったのだと思います」

もしこのように多くの人の意識が変化しているのだとすれば、その流れはどこに向かおうとしているのでしょうか?そしてこれは食だけではなく生活全般にあてはまり、さらにはわたしたちの生きかたそのものを変えようとしているのではないでしょうか?

その「変化」を分析し、流れの先に何が見えようとしているのかを解き明かすのが、本書の目的です。
(「はじめに」p7〜9より引用)


◆目次

はじめに

第一章 気持ちいい暮らしに憧れるということ

罪悪感との戦い/「舌の感覚」を切り替える/素朴で安心なものを食べさせたい/「食の安全」に対する変化/反逆文化の成り立ち/アウトサイダーとしてのエリート意識/安定の裏返し、「反逆クール」/ブルジョワ・ボヘミアンの出現/表裏一体の上昇志向と反逆クール/ていねいな暮らしとは?/食に求められる「日常の大切さ」/素朴で健全、そして美味しい食事/五感で楽しむ贅沢/求めているのはごく平凡で健全な暮らし


第二章 ともに物語をつむぎ、ゆるゆる生きる

利便性よく安全な野菜を届けたい——オイシックス/農家の固い扉をたたく/桃みたいなかぶ、だからピーチかぶ/ネーミングから生まれる新たな物語/「規格外」の発想と神話破壊/野菜から生まれる家族の会話/美味しい野菜が織りなす物語/物語の必要性/美食は非日常の「エンタテイメント」/日常の料理の面白さを知る/ハレとケ、日常と共感/トマトをめぐる冒険/日常の喜びを知る——「くらしのきほん」/ゆるやかな物語性/店を持たない、小さな八百屋——「青果ミコト屋」/ニーズに合わせた演出——「成城石井」/ささやかな特別感に応える品ぞろえ/成城石井が考える第三の道/いまこの瞬間を楽しむ


第三章 開かれたネットワークと「街で暮らす」

新しい「住」のスタイル/福井の拠点/移動の自由と楽しさ/モノが減ると自由度はあがる/「横へ」のつながり/新しい時代のセーフティネット/登山から学ぶ必要最小限の極意/少ない荷物で人生を旅する/「モノ」に振りまわされない生きかた——ミニマリスト/内と外を隔てないスタイル/街に暮らすということ/自分たちの手で暮らしをつくりたい——「タイニーハウス」/公と私をゆるやかにつなぐ境界/都市か田園か/ほんとうに自然にやさしい暮らしとは/東京はいま、住みやすく静かな街/わたしたちが都市に求めるもの/「場」を求める若者たち/共有設備とコモンミール——「コレクティブハウス」/コレクティブハウスの自律的な共同体/コミュニティになる賃貸マンション——「ロイヤルアネックス」/「横へ」とつながる共同体——「サイハテ」/有機的な内外の連携/機能とニーズを循環させるパーマカルチャー/開かれたコミュニティ/「お好きにどうぞ」の哲学/暮らしや人間関係にも「可用性」が必要/破綻のない結婚生活のヒント/共感を大切にする「つながり婚」の時代/衣も食も住も、ゆるやかにつながる関係


第四章 すべては共同体へと向かう

わたしたちの暮らしに影響を与える〈場〉/重なり合うネットとリアル/「デジタルネイチャー」に属する未来/思い立ったらボタンひとつで/魔法のようなテクノロジーに支えられる/AIによるビッグデータの分析/ビッグデータの可能性/あらゆる場所がメディアになる/メディア空間につくる物語——「北欧、暮らしの道具店」/クラシコムの文化/メディアの3Cモデル/企業と人がつながる包括的なメディア/企業と消費者がともに創る価値/企業は「伴走者」になっていく/ライブ的な体験を共有する仕掛け/ライブ体験+継続的なコミュニケーション/人と人をつなぐ包括的プロセスへの変化/二十一世紀の新しいマインド、ノームコア/自由を生み出す究極の普通/新たな共同体の再興

おわりに
あとがき
参考文献
レシピ索引

◆書籍情報
書名:『そして、暮らしは共同体になる。』
著者:佐々木俊尚
仕様:四六判変型 並製 カバーあり 358ページ
定価:本体価格1600円(税別)
配本日:2016年11月29日(火)
ISBN: 978-4-87758-755-0
装画:nakaban
装丁:漆原悠一(tento)

◆著者プロフィール
佐々木俊尚
1961年兵庫県生まれ。愛知県立岡崎高等学校、早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、月刊アスキー編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治・経済・社会・文化・食まで、幅広いジャンルで、綿密な取材と独自の視点で切り取られた著書は常にベストセラーとなっている。『キュレーションの時代』(ちくま新書)、『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)など著書多数。http://www.pressa.jp/


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<発売記念イベント開催決定>
『そして、暮らしは共同体になる。』出版記念 佐々木俊尚×影山知明トークイベント
日時:2016年12月14日(水) 19:00~20:30(受付18:45~)
会場:汐留ホール(汐留駅徒歩1分)https://www.ccfj.com/hall/acces.html
参加費:書籍込3,500円(購入済みの方は2,000円)
イベント詳細:
http://www.anonima-studio.com/news/news-event-20161117/
イベント申込:
https://docs.google.com/a/anonima-studio.com/forms/d/e/1FAIpQLSfwbzct9yf9Qdf6lrM6HtacP2Mky4jJn9y_0WNLCJ7OUS4PxQ/viewform?c=0&w=1

<登壇者プロフィール>
影山知明
1973年西国分寺生まれ。愛知県立岡崎高等学校、東京大学法学部卒業。マッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルの創業に参画。その後独立、2008年には西国分寺に集合住宅兼店舗を建設、その1階にカフェ「クルミドコーヒー」をオープンさせた。西国分寺は当時のJR中央線で乗降者が最下位だったが、店内の独特の雰囲気やイベント開催が評判を呼び、2013年に「食べログ」(カフェ部門)で全国1位となった。この経験をもとに関わった国分寺の地域通貨計画など、独自の地域振興活動で知られる。ミュージックセキュリティーズ株式会社取締役等も務める。 『ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~』(大和書房)。

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【Amazon予約ページ】
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4877587551?ie=UTF8&camp=247&creativeASIN=4877587551&linkCode=xm2&tag=anonimaehon-22

【書籍に関するお問い合わせ先】
アノニマ・スタジオ
〒111-0051 東京都台東区蔵前2-14-14 2F
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会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
愛知県名古屋市名東区一社4丁目165
電話番号
-
代表者名
前田哲次
上場
未上場
資本金
-
設立
1979年10月