相続人による定期預金の払い戻し請求について、相談窓口を設けました
~最高裁判決の解説~
平成29年4月6日最高裁判決。今回の最高裁の判例により、普通・定期、預金・貯金の区別なく、遺産分割の対象とされ、遺産分割した後にしか銀行に請求できないという立場を裁判所がとっているということが明確となりました。この判決が相続問題に及ぼす影響は大きいと考えられます。そのため、デイライト法律事務所では、定期預金の払い戻しを希望される相続人の方に対して、相談窓口を設置しました。
平成29年4月6日、最高裁は、法定相続人がその法定相続分に応じて、被相続人の定期預金の払い戻しを請求することはできないとしました。
この判決が相続問題に及ぼす影響は大きいと考えられます。そのため、デイライト法律事務所では、定期預金の払い戻しを希望される相続人の方に対して、相談窓口を設置しました。
■判決の概要
この判決の内容は、平成28年12月19日の最高裁の決定(以下「平成28年12月決定」といいます)によって、普通預金債権、普通貯金債権、定期貯金債権が相続人にその相続分に応じて当然に分割されるのではなく、遺産分割の対象になると判例変更された内容にも沿うものとなっています。
逆に言えば、平成28年12月決定から当然の導かれる結論ともいえるでしょう。
弁護士による平成28年12月決定の解説はこちら「預貯金は遺産分割の対象になるの?~最高裁による判例変更~」(http://www.shoukei-law.jp/archive/column/column5/)をごらんください。
今回の最高裁の判例により、普通・定期、預金・貯金の区別なく、遺産分割の対象とされ、遺産分割した後にしか銀行に請求できないという立場を裁判所がとっているということが明確になったといえ、今後の実務もこれらの判例に沿ったものとなっていくことは間違いありません。
■預貯金の払い戻しを請求する方法
預貯金債権が遺産分割の対象となると言われても、相続財産である不動産の管理などで遺産分割協議前に現金が必要だという場合もあります。
そのような場合に、遺産分割協議を経ないで、預貯金の払い戻しを請求することはできないように思われますが、相続人全員の同意があれば、遺産分割協議前であっても、払い戻しができます。
全国銀行協会も、遺産分割協議書がなくとも、以下の書類があれば、払い戻しに応じるとしています。
- 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
また、死亡前に遺言により遺言執行者を指定し、その遺言執行者に預貯金の払い戻しや解約の権限を付与する旨を定めておくといったことも後々の紛争を回避するために有益だと思います。
上記のように、遺言執行者が指定されており、払い戻し等の権限が付与されている場合には、銀行も問題なく払い戻しに応じてくれます。
■残された問題点
平成28年12月決定及び平成29年判決が出されましたが、法的な問題は未だ残っていると言えると思います。
平成28年12月決定に付された裁判官の補足意見でも、相続時以後に入金された場合に、その入金された残高は遺産分割の対象なのかという問題提起をしているものがあり、その補足意見では遺産分割の対象となるとしています。
あくまで補足意見であって、1人の裁判官の意見ですので、最高裁がその立場をとっているというわけではありませんが、残された法的問題を考える上では有益ではないかと思います。
今回の払い戻しが認められないとした判例にも補足意見が付されていると思われますし、今後、これらの判例が想定していない議論も生じると思われます。
遺言との関係性も問題となってくるでしょうから、相続における預貯金の扱いをめぐる議論は、引き続き注目していく必要があります。
当事務所では、このような問題に対応するため、相続専門弁護士による相談窓口を設置しました。
お気軽にお問い合わせください。
弁護士紹介
弁護士法人デイライト法律事務所
弁護士・税理士・FP 入野田智也
相続特化サイト:http://www.shoukei-law.jp/
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