顕微インデンテーション技術を実用化したベンチャーの創業
生体材料・医用材料のミクロ領域の力学物性評価技術を事業化
このたび、顕微インデンテーション技術を実用化したベンチャー、「インデント・プローブ・テクノロジー株式会社」(代表取締役 名倉 義幸、以下「IPT社」という)を創業することをお知らせいたします。IPT社では、ミクロ領域における様々な力学物性を光学的に正確に測定する装置を開発し、金属、セラミックス、プラスチックスといったこれまでの工業分野での材料開発に加えて、バイオ素材や医用材料などの新たな分野に適用し、それらの先端材料を迅速に評価するという新たな価値を提供します。
【経緯・背景】
近年、マテリアルズ・インフォマティクスと呼ばれる、データマイニングなどの情報科学を通じて新材料や代替材料を効率的に探索する取り組みが始まっています。従来、先端材料の研究開発は研究者の経験と勘に依存していましたが、材料特性を高度に集積したデータベースや人工知能などによる高精度な計算を活用することにより、時間とコストの大幅な削減が期待されています。このような研究開発のインフォマティクス化においては、新素材特性を迅速にデータ化する計測技術が重要です。先端材料のような新しい分野に適用できる計測技術は、新産業の発展において重要な役割を担うと考えられ、こうしたニーズの高まりを背景に、ベンチャーを創設し、新しい計測技術の提供を通して産業の成長に貢献してまいります。来春の本格的な事業化に向けて、大学・研究機関と連携し先端材料分野を中心とした実証研究を進めてまいります。 弊社が実用化する「顕微インデンテーション技術」は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)で開発されました。本技術を開発した産総研 材料・化学領域 構造材料研究部門の 宮島 達也 主任研究員が、技術顧問として参画を予定しています。
従来の圧子圧入深さ計測方式では、圧子が押し込まれる際に生じる表面変形を直接計測できないという課題がありました。産総研が開発した顕微インデンテーション技術は、この課題を解決し、材料の力学物性評価の精度を飛躍的に向上します。顕微インデンテーション技術は、圧子圧入によって生じる接触面積や表面変形を「その場」観察する技術を核としており、金属、セラミックスといった硬い素材(ハードマテリアル)に加え、各種のバイオ素材や医用材料などの柔らかい素材(ソフトマテリアル)へと適用範囲を拡大しています。
ダイヤモンドやサファイアなどの微小で透明な圧子を試料の表面に圧入し、透明圧子に光を透過させて光学顕微鏡により「その場」観察する技術により、圧子と試料との接触面積に加え、変形や破壊挙動をミクロ領域で定量化できます。接触面積と負荷荷重の関係から直接的にミクロ領域の各種の力学物性を評価します。具体的には、圧子の形状や圧入の速度など、適切な条件を選択した負荷除荷試験の負荷直線関係から、弾塑性パラメータである硬度が、除荷直線関係から弾性パラメータであるヤング率が評価できます。さらに、顕微インデンテーション技術の最大の特徴である接触面積と負荷荷重の実測値に基づく解析により、弾塑性パラメータと弾性パラメータから塑性パラメータである降伏値が解析できます。また、負荷荷重もしくは接触面積を一定値に保持するように制御して、接触面積もしくは荷重の時間変化を測定することで、時間依存型材料である高分子材料のクリープ特性や応力緩和特性を評価することができます。これにより、これまで、数か月の時間を要したクリープ関数を、劇的に短時間で評価することが可能になりました。さらに、試料表面の「その場」観察技術を応用し、転位やすべりの発生、マイクロクラック発生とその亀裂進展挙動など、破壊現象を定量化することにも成功しています。
測定精度が高い本技術は、金属、セラミックス、プラスチックスといったこれまでの工業分野での材料開発に加えて、バイオ素材や医用材料などの新たな分野での適用が期待されます。顕微インデンテーションによる精緻な力学物性の評価手法の普及を図り、将来にわたって日本の材料開発における国際競争力を支える、マテリアルズ・インフォマティクス基盤技術のイノベーションプラットフォームづくりに貢献します。
なお、本技術は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の委託事業「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産業ニーズ対応タイプ「セラミックスの高機能化と製造プロセス革新」」による支援を受けて産総研で得られた成果を実用化しています。
◆テスト計測の協力事業者様の募集について◆
インデント・プローブ・テクノロジー株式会社の創業にあわせて、新型顕微インデンターを用いる多様な先端材料の力学物性のテスト計測にご協力いただける事業者様を募集しています。以下よりお問い合わせください。
インデント・プローブ・テクノロジー ホームページ http://indentpt.com/
◆新たな材料開発のための研究会の発足について◆
インデント・プローブ・テクノロジー株式会社の創業を記念して、来る平成29年11月16日(木)に、東工大 すずかけ台キャンパスにおいて、「新たな材料開発のための研究会」発足を記念し講演会を開催します。各専門領域での最新の研究発表を行うほか、産総研と東工大が新たに設置した、新型顕微インデンターの実機見学会を行います。材料開発に携わる研究者・学生、素材メーカー、計測機器メーカー、材料計測事業者の皆様におかれましては実機をご覧いただける貴重な機会となります。
<講演会 開催概要>
テーマ マテリアルゲノム時代の材料設計支援技術 顕微インデンテーション法とは
日 時 平成29年11月16日(木) 14:00-17:00(13:30開場)
会 場 東工大 すずかけ台キャンパス 大学会館3F すずかけホール(多目的ホール)
地 図 http://www.titech.ac.jp/maps/suzukakedai/
詳細・お申込み https://indentpt.com/1116/
今後も、「新たな材料開発のための研究会」では、継続的に報告会を開催し、研究成果を発信してまいります。大学・研究機関において材料開発に携わる研究者・学生、素材メーカー、計測機器メーカー、材料計測事業者を対象とした、コンソーシアムの形成を目指します。
近年、マテリアルズ・インフォマティクスと呼ばれる、データマイニングなどの情報科学を通じて新材料や代替材料を効率的に探索する取り組みが始まっています。従来、先端材料の研究開発は研究者の経験と勘に依存していましたが、材料特性を高度に集積したデータベースや人工知能などによる高精度な計算を活用することにより、時間とコストの大幅な削減が期待されています。このような研究開発のインフォマティクス化においては、新素材特性を迅速にデータ化する計測技術が重要です。先端材料のような新しい分野に適用できる計測技術は、新産業の発展において重要な役割を担うと考えられ、こうしたニーズの高まりを背景に、ベンチャーを創設し、新しい計測技術の提供を通して産業の成長に貢献してまいります。来春の本格的な事業化に向けて、大学・研究機関と連携し先端材料分野を中心とした実証研究を進めてまいります。 弊社が実用化する「顕微インデンテーション技術」は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)で開発されました。本技術を開発した産総研 材料・化学領域 構造材料研究部門の 宮島 達也 主任研究員が、技術顧問として参画を予定しています。
■顕微インデンテーション技術について■
従来の圧子圧入深さ計測方式では、圧子が押し込まれる際に生じる表面変形を直接計測できないという課題がありました。産総研が開発した顕微インデンテーション技術は、この課題を解決し、材料の力学物性評価の精度を飛躍的に向上します。顕微インデンテーション技術は、圧子圧入によって生じる接触面積や表面変形を「その場」観察する技術を核としており、金属、セラミックスといった硬い素材(ハードマテリアル)に加え、各種のバイオ素材や医用材料などの柔らかい素材(ソフトマテリアル)へと適用範囲を拡大しています。
ダイヤモンドやサファイアなどの微小で透明な圧子を試料の表面に圧入し、透明圧子に光を透過させて光学顕微鏡により「その場」観察する技術により、圧子と試料との接触面積に加え、変形や破壊挙動をミクロ領域で定量化できます。接触面積と負荷荷重の関係から直接的にミクロ領域の各種の力学物性を評価します。具体的には、圧子の形状や圧入の速度など、適切な条件を選択した負荷除荷試験の負荷直線関係から、弾塑性パラメータである硬度が、除荷直線関係から弾性パラメータであるヤング率が評価できます。さらに、顕微インデンテーション技術の最大の特徴である接触面積と負荷荷重の実測値に基づく解析により、弾塑性パラメータと弾性パラメータから塑性パラメータである降伏値が解析できます。また、負荷荷重もしくは接触面積を一定値に保持するように制御して、接触面積もしくは荷重の時間変化を測定することで、時間依存型材料である高分子材料のクリープ特性や応力緩和特性を評価することができます。これにより、これまで、数か月の時間を要したクリープ関数を、劇的に短時間で評価することが可能になりました。さらに、試料表面の「その場」観察技術を応用し、転位やすべりの発生、マイクロクラック発生とその亀裂進展挙動など、破壊現象を定量化することにも成功しています。
測定精度が高い本技術は、金属、セラミックス、プラスチックスといったこれまでの工業分野での材料開発に加えて、バイオ素材や医用材料などの新たな分野での適用が期待されます。顕微インデンテーションによる精緻な力学物性の評価手法の普及を図り、将来にわたって日本の材料開発における国際競争力を支える、マテリアルズ・インフォマティクス基盤技術のイノベーションプラットフォームづくりに貢献します。
なお、本技術は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の委託事業「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産業ニーズ対応タイプ「セラミックスの高機能化と製造プロセス革新」」による支援を受けて産総研で得られた成果を実用化しています。
◆テスト計測の協力事業者様の募集について◆
インデント・プローブ・テクノロジー株式会社の創業にあわせて、新型顕微インデンターを用いる多様な先端材料の力学物性のテスト計測にご協力いただける事業者様を募集しています。以下よりお問い合わせください。
インデント・プローブ・テクノロジー ホームページ http://indentpt.com/
◆新たな材料開発のための研究会の発足について◆
インデント・プローブ・テクノロジー株式会社の創業を記念して、来る平成29年11月16日(木)に、東工大 すずかけ台キャンパスにおいて、「新たな材料開発のための研究会」発足を記念し講演会を開催します。各専門領域での最新の研究発表を行うほか、産総研と東工大が新たに設置した、新型顕微インデンターの実機見学会を行います。材料開発に携わる研究者・学生、素材メーカー、計測機器メーカー、材料計測事業者の皆様におかれましては実機をご覧いただける貴重な機会となります。
<講演会 開催概要>
テーマ マテリアルゲノム時代の材料設計支援技術 顕微インデンテーション法とは
日 時 平成29年11月16日(木) 14:00-17:00(13:30開場)
会 場 東工大 すずかけ台キャンパス 大学会館3F すずかけホール(多目的ホール)
地 図 http://www.titech.ac.jp/maps/suzukakedai/
詳細・お申込み https://indentpt.com/1116/
今後も、「新たな材料開発のための研究会」では、継続的に報告会を開催し、研究成果を発信してまいります。大学・研究機関において材料開発に携わる研究者・学生、素材メーカー、計測機器メーカー、材料計測事業者を対象とした、コンソーシアムの形成を目指します。
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