〜1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産〜 日本の家庭に眠る“かくれ資産”総額は推計37兆円以上
フリマアプリでの平均取引価格から算出宅内の不要品の価値は自己予想の3倍以上に
みんなのかくれ資産調査委員会では、“平成最後の大掃除”と言われる2018年の大掃除にむけ、家庭内の不要品の整理・処分の機運が高まるのを前に、株式会社ニッセイ基礎研究所の監修の元、全国の10代〜60代の男女2,536名に日本の一般家庭に眠る不要品(=1年以上利用してない品物)の総量に関する調査を行いました。
今回の調査においては、これら不要品の処分方法として、近年人気が高まるフリマアプリに注目。株式会社メルカリのデータ提供を受け、今回の調査で判明したカテゴリごとの不要品の個数と、メルカリでの平均売買価格をかけあわせることで、その総額を一般家庭の“かくれ資産”として算出いたしました。
今回の調査で算出された日本のかくれ資産総額は推計37兆177万円。1世帯あたり約70万円となるこの自宅内の不要品の想定価値=“かくれ資産”は、厚生労働省が発表した2017年の年間賞与支給額平均74万7,156円に迫る金額となり、これまで一般的に資産として捉えられてきた“金融資産”“不動産”に続く第三の資産として、今後さらなる活用が見込まれる潜在的資産と言えます。
本調査では、この“かくれ資産”の実態に関して、様々な角度から分析・レポートを行いました。
<みんなのかくれ資産委員会とは>
日本の家庭に眠る不要品の有効活用について、様々な角度から検証・提案を行うべく、株式会社ドリルが主体となり本年9月に発足。今回の調査データを元に、今後11月下旬には自宅のかくれ資産の推計総額をかんたんに簡易試算できるWEBサイト等を開設予定。
【調査レポートサマリー】
・調査監修:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員 久我尚子
・データ提供:株式会社メルカリ
・調査時期:2018年10月
・調査対象:10代〜60代の男女2536名
・調査手法:インターネット調査を元にした試算
PART1:日本のかくれ資産総額
①日本のかくれ資産総額は推計37兆177万円、国民1人あたり28万1,277円となり、平均月収と同等水準。主要構成物は服飾雑貨、書籍、CD。
②1世帯あたりの平均かくれ資産は69万4,099円。ボーナスの年間支給額に迫る金額に。
1人世帯28万1,225円、成人2人世帯62万7,626円。成人2人+子1人世帯が59万7,962円に対し、成人3人世帯では96万7,618円と大幅増加傾向。4人以上世帯では100万円を超える結果。
③個人のかくれ資産所有量は年齢とほぼ比例。最も平均資産が多いのは60代以上の女性で、1人あたり49万7,856円となり10代の約3.5倍に。
④男女で大きく異なるかくれ資産の内訳。服飾雑貨系かくれ資産が多い女性と、趣味系かくれ資産が多い男性。40代以上の男性ではコレクター系傾向が顕著に。
⑤1人当たりの平均かくれ資産額が最も高いのは中部地方の30万8,122円、次いで中国・四国地方、東京都と続く。最も低いのは関東(東京以外)と九州・沖縄では平均を大きく下回り25万円代に。居住面積の広さに加え、所有カテゴリの比率の違いなども影響か。
PART2:“かくれ資産家”の行動タイプ
①年収に対する、かくれ資産の割合は平均13.0%。
②自分自身があらかじめ予想していたかくれ資産の総額8万8,169円に対して、実際は28万1,277円。平均すると想定の約3.2倍に。
③年収に対するかくれ資産の割合が20.0%以上の個人を“かくれ資産家”と設定。このかくれ資産家の割合は、全体の17.4%。
④かくれ資産家の買い物傾向は「ネットショッピング好き」「新品好き」「色ち買い(同じアイテムを色違いで買い揃えること)しがち」。
⑤かくれ資産家に顕著な生活スタイル3大傾向。「インドア派」「収集癖がある」「捨てられない」のコレクタータイプ。
⑥10〜30代の若年かくれ資産家の特徴。「トレンドセッター」「リア充」傾向が顕著。
PART3:かくれ資産の処分と現金化
①1年前と比較したかくれ資産の量は1人あたり-5,947円と微減傾向。
現金化方法として人気が高いのは1位「リサイクルショップ・質店等」31.9%に続いて、2位「フリマアプリ」15.4%、3位「オークションサイト」9.2%。
② 「フリマアプリ」「オークション」等のWEBサービスの利用頻度が高い人は、他の処分方法を選ぶ人と比べて、かくれ資産からの収入が多い。年間平均5万円以上の収入を獲得。
③今年の大掃除で発生する不要品を「フリマアプリ」を活用して処分しようと考えている人は21.3%。昨年同時期の調査8.5%と比較して約2.5倍に増加見込み。
■監修者
久我 尚子(くが なおこ)
今回の調査によって、一般家庭内にある不要品( =1年以上利用していない物)の総数に、フリマアプリでの平均売買価格をかけあわせた“かくれ資産”が日本全国で推計37兆円以上であることがわかりました。
経済産業省は2017年4月に「平成28年電子商取引に関する市場調査」において、過去一年間に不要となった製品の推定価値は総額7兆6,254億円というデータを発表していますが、今回の調査では、それを大きく上回る金額です。
この金額の乖離の理由として考えられるのは、ひとつには、経済産業省のデータは「過去一年間に不用となった品物の推定価値」である一方で、今回の調査は、過去からの蓄積を含めて「潜在的な不要品の推定価値」であることです。もうひとつは、今回参照している平均売買価格がフリマアプリのものであり、こうした個人間取引では、比較的高めの価格で売買される傾向があるためと考えられます。
かくれ資産の1人あたりの平均は28万1,277円で、ご自身の予想額である8万8,169円の3.2倍という結果が出ています。私たちが思う以上に、家庭には多額のかくれ資産が眠っているのかもしれません。また今回のかくれ資産の推計には、自動車やバイクなどは含まれておりませんので、家の中にあるモノだけで実に約30万円のかくれ資産が眠っているということになります。
一方で、一年前と比較したかくれ資産の金額は1人あたり−5,947円で、減少しているという結果が出ています。これはフリマアプリやオークションサイトなどのWEBサービスを利用した個人間取引が浸透しつつあることに起因するとも考えられます。実際に、今回の調査結果を見ると、フリマアプリの利用希望者は、昨年の2.5倍に増加しています。
「売るときのことを考えて買う」という消費行動は、これまでも住宅や自動車の購入では見られてきたものですが、フリマアプリの浸透によって、日用品などの身近なモノにまで広がっています。また、若者を中心に、モノの「所有」から「利用」へという価値観も強まっています。
2019年10月には消費税率が10%へと引き上げられます。家計の負担がじわりと増す中で、家庭に眠るかくれ資産に目を向ける方も増えるのではないでしょうか。
②1世帯あたりの平均かくれ資産は69万4,099円
*2:総務省「平成27年度国政調査 世帯構造等基本集計結果」より *3:厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成29年度分結果確報」より
③個人のかくれ資産額は年齢とほぼ比例する傾向。最も平均資産が多いのは60代以上の女性。1人あたり49万7,856円となり、10代女性の約3.5倍に達する
1人あたりのかくれ資産保有額に関して、性年代別の平均値を算出したところ最も平均資産が多いのは「60代以上の女性」で1人あたりの保有資産が49万7,856円となりました。男女ともに、年代があがるつれてかくれ資産の額が増加する傾向がみられ、10代から60代への増加率は女性で約3.5倍、男性で約2.9倍となっており、女性の方が年齢とともにかくれ資産を増加させやすい傾向があるようです。
男女で大きくわかれたのが、かくれ資産の構成金額の内訳です。全体傾向として、女性は「服飾雑貨」分類のかくれ資産が多く、男性の約2倍を所有する傾向にあります。一方、男性に関しては「書籍・CD・ゲーム」カテゴリの品目が多く、こちらも女性の約2倍相当額となりました。
特に40代以降の男性に関しては「書籍・CD・ゲーム」カテゴリに加えて、「ホビー・レジャー」「家電」といった比較的高額で取引されやすい趣味系資産の所有率が高い傾向にあり、男性は40代以降から急激にかくれ資産を伸ばす傾向がみられました。
7エリアのそれぞれについて、平均資産額を算出したところ、最も1人あたりの平均かくれ資産額が多いのは「中部地方」で30万8,122万円となりました。続いて僅差で「中国・四国地方」30万7,119円、「東京都内」29万3,969円と続きます。一方で1人あたりのかくれ資産額が平均を大きく下回ったのは「関東(東京以外)」と「九州・沖縄」でいずれも25万円代となります。これらの地域差には、居住空間の平均面積や収納スペースの比率、平均年収といった様々な要因に加え、地域別に所有するかくれ資産のカテゴリの比率が異なることも影響を与えているようです。
年収(※)総額に対する、1人当たりのかくれ資産の割合は、平均13.0%となりました。
かくれ資産の額は自身で予想する額の平均3倍以上。
また、かくれ資産を売った場合の総額を予想してもらったところ、平均して8万8,169円となりました。一方、実際のかくれ資産の平均は28万1,277円なので、自己予想の約3.2倍です。自身で思う以上に、家の中のかくれ資産は高額になるようです。
②年収に対するかくれ資産の割合が20.0%以上の「かくれ資産家」は17.4%。
年収に対するかくれ資産の金額が20.0%以上に達する「かくれ資産家」は、全体の17.4%となります。「かくれ資産家」の平均年齢は49.0歳で、「かくれ資産家でない人」の42.7歳より6.3歳高いことがわかりました。また、「かくれ資産家」は52.5%が男性、47.5%が女性で、およそ半々ですが少し男性の方が多いようです。
③消費意欲旺盛なかくれ資産家。「ネットショッピング好き」「新品好き」「色ち買い経験あり」。
「かくれ資産家」とそうでない人の買い物の傾向を比較してみると、「かくれ資産家」は「ネットショッピングが好き」、「数回しか使わないものでも新品を買う」、「色ち買い(同じアイテムを色違いで揃える)をしたことがある」人の割合が、かくれ資産家でない人よりも高いことがわかり、全般的に消費意欲が高い傾向が見られます。
④「かくれ資産家」の生活スタイル傾向、「捨てられない」「インドア派」「収集癖がある」。
一方、「かくれ資産家」とそうでない人の片付けや生活を比較してみると、「かくれ資産家」はそうでない人より「不要なものはどんどん処分する」割合が18.8ポイント低く、ものをあまり捨てられない傾向があることがわかります。また、「休日は積極的に外に出る」割合が低く、家にいることを好む「インドア派」が多いようです。さらに、約半数が「趣味の分野の物の収集癖がある」と回答し、コレクター傾向があることもわかります。
このかくれ資産家の特性に関して、特に10代〜30代の若年かくれ資産家の傾向を分析すると、同年代の非かくれ資産家と比較して、「流行に敏感」33.3%(非かくれ資産家と比較して+14.3pt)「好奇心旺盛で多趣味(同+10.0pt)、「SNSでのコミュニケーションが好き」(同+4.3pt)と、トレンドに敏感でアクティブな傾向が見られます。その他「友達が多い」22.6%(同+2.9pt)、「パーティーやイベントが好き」26.9%(同+2.0pt)などでも、非かくれ資産家を上回っており、「トレンドセッター」かつ「リア充(リアル=現実の生活が充実している)」といった傾向がみてとれます。
かくれ資産の総量が1年前と比較してどれぐらい変化したかを確認したところ、1人あたり平均マイナス5,947円と減少しているようです。現在行なっている処分方法としては「ゴミとして廃棄」が圧倒的に多い一方で、積極的に利用したい処分方法としては現金化できるものに人気が集まりました。
かくれ資産の現金化の手段として人気なのは、1位「リサイクルショップ・質店等への持ち込み」31.9%に続いて、2位「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」15.4%、3位「WEBを利用したオークションサイトでの販売(Yahoo!オークション等)」9.2%と、WEBを利用したサービスも多く活用されていることがわかります。
②「フリマアプリ」「オークション」等のWEBサービスの利用頻度が高い人は、かくれ資産からの収入が多い傾向。
昨年1年間でかくれ資産を現金化した金額を調査したところ、「リサイクルショップ・質店等への持ち込み」の利用頻度が高い人は平均2万2,312円、「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」の利用頻度が高い人は平均5万6,701円、「WEBを利用したオークションサイトでの販売(Yahoo!オークション等)」の利用頻度が高い人は平均7万2,630円となりました。フリマアプリやオークションなどWEBサービスの利用頻度が高い人の方が、現金化した金額が圧倒的に高いことがわかります。
今年の年末に大掃除をしようと思っている人は全体の69.0%。そのうち、大掃除で発生した不要品を「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」で処分しようと考えている人は21.3%で、昨年の8.5%(*4)と比較すると、2.5倍に増加しました。「メルカリ」等の浸透が、大幅増加につながったと思われます。
今回の調査で算出された日本のかくれ資産総額は推計37兆177万円。1世帯あたり約70万円となるこの自宅内の不要品の想定価値=“かくれ資産”は、厚生労働省が発表した2017年の年間賞与支給額平均74万7,156円に迫る金額となり、これまで一般的に資産として捉えられてきた“金融資産”“不動産”に続く第三の資産として、今後さらなる活用が見込まれる潜在的資産と言えます。
本調査では、この“かくれ資産”の実態に関して、様々な角度から分析・レポートを行いました。
<みんなのかくれ資産委員会とは>
日本の家庭に眠る不要品の有効活用について、様々な角度から検証・提案を行うべく、株式会社ドリルが主体となり本年9月に発足。今回の調査データを元に、今後11月下旬には自宅のかくれ資産の推計総額をかんたんに簡易試算できるWEBサイト等を開設予定。
【調査レポートサマリー】
・調査監修:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員 久我尚子
・データ提供:株式会社メルカリ
・調査時期:2018年10月
・調査対象:10代〜60代の男女2536名
・調査手法:インターネット調査を元にした試算
PART1:日本のかくれ資産総額
①日本のかくれ資産総額は推計37兆177万円、国民1人あたり28万1,277円となり、平均月収と同等水準。主要構成物は服飾雑貨、書籍、CD。
②1世帯あたりの平均かくれ資産は69万4,099円。ボーナスの年間支給額に迫る金額に。
1人世帯28万1,225円、成人2人世帯62万7,626円。成人2人+子1人世帯が59万7,962円に対し、成人3人世帯では96万7,618円と大幅増加傾向。4人以上世帯では100万円を超える結果。
③個人のかくれ資産所有量は年齢とほぼ比例。最も平均資産が多いのは60代以上の女性で、1人あたり49万7,856円となり10代の約3.5倍に。
④男女で大きく異なるかくれ資産の内訳。服飾雑貨系かくれ資産が多い女性と、趣味系かくれ資産が多い男性。40代以上の男性ではコレクター系傾向が顕著に。
⑤1人当たりの平均かくれ資産額が最も高いのは中部地方の30万8,122円、次いで中国・四国地方、東京都と続く。最も低いのは関東(東京以外)と九州・沖縄では平均を大きく下回り25万円代に。居住面積の広さに加え、所有カテゴリの比率の違いなども影響か。
PART2:“かくれ資産家”の行動タイプ
①年収に対する、かくれ資産の割合は平均13.0%。
②自分自身があらかじめ予想していたかくれ資産の総額8万8,169円に対して、実際は28万1,277円。平均すると想定の約3.2倍に。
③年収に対するかくれ資産の割合が20.0%以上の個人を“かくれ資産家”と設定。このかくれ資産家の割合は、全体の17.4%。
④かくれ資産家の買い物傾向は「ネットショッピング好き」「新品好き」「色ち買い(同じアイテムを色違いで買い揃えること)しがち」。
⑤かくれ資産家に顕著な生活スタイル3大傾向。「インドア派」「収集癖がある」「捨てられない」のコレクタータイプ。
⑥10〜30代の若年かくれ資産家の特徴。「トレンドセッター」「リア充」傾向が顕著。
PART3:かくれ資産の処分と現金化
①1年前と比較したかくれ資産の量は1人あたり-5,947円と微減傾向。
現金化方法として人気が高いのは1位「リサイクルショップ・質店等」31.9%に続いて、2位「フリマアプリ」15.4%、3位「オークションサイト」9.2%。
② 「フリマアプリ」「オークション」等のWEBサービスの利用頻度が高い人は、他の処分方法を選ぶ人と比べて、かくれ資産からの収入が多い。年間平均5万円以上の収入を獲得。
③今年の大掃除で発生する不要品を「フリマアプリ」を活用して処分しようと考えている人は21.3%。昨年同時期の調査8.5%と比較して約2.5倍に増加見込み。
■監修者
ニッセイ基礎研究所 生活研究部 主任研究員
久我 尚子(くが なおこ)
今回の調査によって、一般家庭内にある不要品( =1年以上利用していない物)の総数に、フリマアプリでの平均売買価格をかけあわせた“かくれ資産”が日本全国で推計37兆円以上であることがわかりました。
経済産業省は2017年4月に「平成28年電子商取引に関する市場調査」において、過去一年間に不要となった製品の推定価値は総額7兆6,254億円というデータを発表していますが、今回の調査では、それを大きく上回る金額です。
この金額の乖離の理由として考えられるのは、ひとつには、経済産業省のデータは「過去一年間に不用となった品物の推定価値」である一方で、今回の調査は、過去からの蓄積を含めて「潜在的な不要品の推定価値」であることです。もうひとつは、今回参照している平均売買価格がフリマアプリのものであり、こうした個人間取引では、比較的高めの価格で売買される傾向があるためと考えられます。
かくれ資産の1人あたりの平均は28万1,277円で、ご自身の予想額である8万8,169円の3.2倍という結果が出ています。私たちが思う以上に、家庭には多額のかくれ資産が眠っているのかもしれません。また今回のかくれ資産の推計には、自動車やバイクなどは含まれておりませんので、家の中にあるモノだけで実に約30万円のかくれ資産が眠っているということになります。
一方で、一年前と比較したかくれ資産の金額は1人あたり−5,947円で、減少しているという結果が出ています。これはフリマアプリやオークションサイトなどのWEBサービスを利用した個人間取引が浸透しつつあることに起因するとも考えられます。実際に、今回の調査結果を見ると、フリマアプリの利用希望者は、昨年の2.5倍に増加しています。
「売るときのことを考えて買う」という消費行動は、これまでも住宅や自動車の購入では見られてきたものですが、フリマアプリの浸透によって、日用品などの身近なモノにまで広がっています。また、若者を中心に、モノの「所有」から「利用」へという価値観も強まっています。
2019年10月には消費税率が10%へと引き上げられます。家計の負担がじわりと増す中で、家庭に眠るかくれ資産に目を向ける方も増えるのではないでしょうか。
- PART1 日本のかくれ資産総額と属性別傾向
日本全国の家庭内の不要品の総額=かくれ資産は推計によると総額37兆177万円。日本の2018年度国家予算97兆7128億円の37%に相当します。1人当たりの金額平均は28万1,277円となり、これは平成29年度の労働者1人当たりの平均月収31万7,844円(*1)とほぼ同水準となります。品目ごとのかくれ資産額の内訳をみると、最も構成比が多いのが「服飾雑貨」の11万7,159円で41.7%。次いで「書籍・CD・ゲーム類」の6万1,050円の21.7%となります。単体カテゴリでは「ジャケット・アウター」の2万1,261円が金額ベースでは最多、1年以上利用されていない数量は、1人あたり平均2.9着となります。数量ベースでは「書籍・雑誌・コミック」が最多となり、平均48.7冊となりました。
*1:厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成29年度分結果確報」より
※注:複数点のまとめ取引が多い「書籍・CD・ゲーム類」カテゴリに関しては平均取引価格を推計平均まとめ点数2.6で割った価格で算出しております。
※注:平均所有点数は、小数点2位以下を四捨五入しているため、ずれが生じる場合があります。
②1世帯あたりの平均かくれ資産は69万4,099円
かくれ資産の総額37兆177万円を日本の総世帯数5,333万2000(*2)で割った、1世帯あたりの平均かくれ資産は69万4,099円にのぼります。これは、厚生労働省による2017年の年間賞与支給額平均74万7,156円(*3)にせまる額となることがわかります。
さらに、日本の主要な人数別世帯構成のパターンごとの平均かくれ資産を算出すると、1人世帯28万1,225円、成人2人世帯62万7,626円となります。成人2人+子1人世帯が59万7,962円に対し、成人3人以上世帯では96万7,618円と一気に資産額が増加する傾向にあります。*2:総務省「平成27年度国政調査 世帯構造等基本集計結果」より *3:厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成29年度分結果確報」より
*注:全体集計を人口で割った1人当たり金額28万1,277円に対し、単身世帯のみを集計した結果。
③個人のかくれ資産額は年齢とほぼ比例する傾向。最も平均資産が多いのは60代以上の女性。1人あたり49万7,856円となり、10代女性の約3.5倍に達する
1人あたりのかくれ資産保有額に関して、性年代別の平均値を算出したところ最も平均資産が多いのは「60代以上の女性」で1人あたりの保有資産が49万7,856円となりました。男女ともに、年代があがるつれてかくれ資産の額が増加する傾向がみられ、10代から60代への増加率は女性で約3.5倍、男性で約2.9倍となっており、女性の方が年齢とともにかくれ資産を増加させやすい傾向があるようです。
④男女で大きく異なるかくれ資産の内訳。服飾雑貨系かくれ資産が多い女性と、趣味系かくれ資産が多い男性。40代以上の男性ではコレクター系傾向が顕著に。
男女で大きくわかれたのが、かくれ資産の構成金額の内訳です。全体傾向として、女性は「服飾雑貨」分類のかくれ資産が多く、男性の約2倍を所有する傾向にあります。一方、男性に関しては「書籍・CD・ゲーム」カテゴリの品目が多く、こちらも女性の約2倍相当額となりました。
特に40代以降の男性に関しては「書籍・CD・ゲーム」カテゴリに加えて、「ホビー・レジャー」「家電」といった比較的高額で取引されやすい趣味系資産の所有率が高い傾向にあり、男性は40代以降から急激にかくれ資産を伸ばす傾向がみられました。
⑤1人あたりの平均かくれ資産額が最も多いのは中部地方の30万8,122円、次いで中国・四国地方、東京都と続く。関東(東京以外)、九州・沖縄は平均を下回る25万円代。居住面積の広さに加え、所有率が高いカテゴリの違いなども影響か?
7エリアのそれぞれについて、平均資産額を算出したところ、最も1人あたりの平均かくれ資産額が多いのは「中部地方」で30万8,122万円となりました。続いて僅差で「中国・四国地方」30万7,119円、「東京都内」29万3,969円と続きます。一方で1人あたりのかくれ資産額が平均を大きく下回ったのは「関東(東京以外)」と「九州・沖縄」でいずれも25万円代となります。これらの地域差には、居住空間の平均面積や収納スペースの比率、平均年収といった様々な要因に加え、地域別に所有するかくれ資産のカテゴリの比率が異なることも影響を与えているようです。
- PART2 “かくれ資産家”の行動タイプ
年収(※)総額に対する、1人当たりのかくれ資産の割合は、平均13.0%となりました。
※注:年収に関しては、世帯年収を成人人数で割った数値を採用
かくれ資産の額は自身で予想する額の平均3倍以上。
また、かくれ資産を売った場合の総額を予想してもらったところ、平均して8万8,169円となりました。一方、実際のかくれ資産の平均は28万1,277円なので、自己予想の約3.2倍です。自身で思う以上に、家の中のかくれ資産は高額になるようです。
②年収に対するかくれ資産の割合が20.0%以上の「かくれ資産家」は17.4%。
年収に対するかくれ資産の金額が20.0%以上に達する「かくれ資産家」は、全体の17.4%となります。「かくれ資産家」の平均年齢は49.0歳で、「かくれ資産家でない人」の42.7歳より6.3歳高いことがわかりました。また、「かくれ資産家」は52.5%が男性、47.5%が女性で、およそ半々ですが少し男性の方が多いようです。
③消費意欲旺盛なかくれ資産家。「ネットショッピング好き」「新品好き」「色ち買い経験あり」。
「かくれ資産家」とそうでない人の買い物の傾向を比較してみると、「かくれ資産家」は「ネットショッピングが好き」、「数回しか使わないものでも新品を買う」、「色ち買い(同じアイテムを色違いで揃える)をしたことがある」人の割合が、かくれ資産家でない人よりも高いことがわかり、全般的に消費意欲が高い傾向が見られます。
④「かくれ資産家」の生活スタイル傾向、「捨てられない」「インドア派」「収集癖がある」。
一方、「かくれ資産家」とそうでない人の片付けや生活を比較してみると、「かくれ資産家」はそうでない人より「不要なものはどんどん処分する」割合が18.8ポイント低く、ものをあまり捨てられない傾向があることがわかります。また、「休日は積極的に外に出る」割合が低く、家にいることを好む「インドア派」が多いようです。さらに、約半数が「趣味の分野の物の収集癖がある」と回答し、コレクター傾向があることもわかります。
⑤10〜30代の若年かくれ資産家、「トレンドセッター」かつ「リア充」傾向が顕著。
このかくれ資産家の特性に関して、特に10代〜30代の若年かくれ資産家の傾向を分析すると、同年代の非かくれ資産家と比較して、「流行に敏感」33.3%(非かくれ資産家と比較して+14.3pt)「好奇心旺盛で多趣味(同+10.0pt)、「SNSでのコミュニケーションが好き」(同+4.3pt)と、トレンドに敏感でアクティブな傾向が見られます。その他「友達が多い」22.6%(同+2.9pt)、「パーティーやイベントが好き」26.9%(同+2.0pt)などでも、非かくれ資産家を上回っており、「トレンドセッター」かつ「リア充(リアル=現実の生活が充実している)」といった傾向がみてとれます。
- PART3 かくれ資産の処分と現金化
かくれ資産の総量が1年前と比較してどれぐらい変化したかを確認したところ、1人あたり平均マイナス5,947円と減少しているようです。現在行なっている処分方法としては「ゴミとして廃棄」が圧倒的に多い一方で、積極的に利用したい処分方法としては現金化できるものに人気が集まりました。
かくれ資産の現金化の手段として人気なのは、1位「リサイクルショップ・質店等への持ち込み」31.9%に続いて、2位「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」15.4%、3位「WEBを利用したオークションサイトでの販売(Yahoo!オークション等)」9.2%と、WEBを利用したサービスも多く活用されていることがわかります。
②「フリマアプリ」「オークション」等のWEBサービスの利用頻度が高い人は、かくれ資産からの収入が多い傾向。
昨年1年間でかくれ資産を現金化した金額を調査したところ、「リサイクルショップ・質店等への持ち込み」の利用頻度が高い人は平均2万2,312円、「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」の利用頻度が高い人は平均5万6,701円、「WEBを利用したオークションサイトでの販売(Yahoo!オークション等)」の利用頻度が高い人は平均7万2,630円となりました。フリマアプリやオークションなどWEBサービスの利用頻度が高い人の方が、現金化した金額が圧倒的に高いことがわかります。
③今年の大掃除で発生する不要品を「フリマアプリ」で処分しようと考えている人は21.3%。昨年比で大幅に増加傾向。
今年の年末に大掃除をしようと思っている人は全体の69.0%。そのうち、大掃除で発生した不要品を「WEBを利用したフリーマーケットアプリ等での販売(メルカリ等)」で処分しようと考えている人は21.3%で、昨年の8.5%(*4)と比較すると、2.5倍に増加しました。「メルカリ」等の浸透が、大幅増加につながったと思われます。
*4:2017年メルカリ発表「大掃除と断捨離」に関する意識調査で、「不要品を片付ける手段」に「フリマアプリ」と回答した割合。
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