2019年の展望:「2020」に向かう亥年
2019 年1月17日
デイヴ・ウェストシスコシステムズ合同会社
代表執行役員社長
日本の干支では、「亥」は勇気と冒険、パイオニア精神を表します。温厚で愉快、快活で、強い共感力を備えています。こうした特質は、2019年を成功の年に導くために欠かせないものです。
日本にとって2019年は東京2020に向けた準備の年であり、デジタル化が進み、多くの企業/組織にとって現行のビジネスモデルを根底から変革する年になるでしょう。政府や地方自治体を含む多くの業界において、現在そして将来の問題解決のためにデジタル技術やソリューションを取り入れるようになります。業界を問わず、グローバルでの競争力をさらに強化し、また顧客エクスペリエンスを高め、生産性向上や業務効率化を推進していくために、新しく革新的なデジタル能力の準備と実証、導入を進めることで、デジタルへの移行は2019年の話題の中心となるでしょう。
昨年は、大企業や中堅中小企業が、人工知能(AI)や機械学習といったテクノロジーを導入する準備を着々と整えました。顧客からの要求に応えるため、情報技術(IT)やオペレーション技術(OT)からより優れた洞察や予測分析が求められます。こうした技術が概念実証の段階からメインストリームとして実装され、システムがさらにインテリジェント化するにつれて、企業はオンプレミスやクラウドで自動化とオーケストレーションツールを活用することによって、テクノロジー ポートフォリオにおける人材不足への対応を始めています。デジタル化を活用して俊敏性と競争力を高めることに取り組むことで、最も注目されるようになるのがサイバーセキュリティです。ネットワークセキュリティ、物理的セキュリティ、オペレーション上のセキュリティなど、あらゆる面でのセキュリティがデジタルで成功を収めるための重要な要素になってきているのです。
それでは亥年の2019年、シスコが注力する7つの領域についてご紹介します。
1.マルチクラウドワールドの実現
私たちは今、マルチクラウドな世界に生きています。異なるプロバイダーの複数のクラウドを利用することが新常識(ニューノーマル)になっています。しかし、このニューノーマルを実際に業務に活かし、安全を確保することは容易ではありません。組織は複数のプロバイダーやコントロールポイントによる、データやポリシー、セキュリティにわたって増していく複雑さに、対処しなければなりません。同時に、可能な限りセキュリティの有効性を高めながら、ユーザーエクスペリエンスと業務効率化の改善と強化を図っていかなければなりません。シスコがお役に立てるのはまさにここです。
シスコはお客様のあらゆる環境においてネットワーキング、セキュリティ、アナリティクス、マネジメントを一元的に提供し、マルチクラウドの世界でお客様がクラウド同士をつなぎ、保護し、活用するための支援を行います。Amazon Web Service (AWS) やGoogle Cloud Servicesといった有力クラウドプロバイダーと結んだ新たなパートナーシップによって、シスコは複数のプラットフォームを通じてデータセンターをより簡単に構築し、セキュリティを確保し、接続できる統合プラットフォームを提供できます。2019年、シスコはマルチクラウド向けにセキュリティ、接続およびワークロード消費の最適化を実現するソリューションで業界をリードしていきます。
2.インテントベース・ネットワーキング& & Software-Defined WAN (SD-WAN)
2019年までに企業の93%がインフラやサービスデリバリープラットフォーム、SaaSビジネスモデルに複数のクラウドを利用するようになると予測されています。こうしたトレンドに牽引されて、新たな種類のクラウド環境やIoT、働き方改革をサポートするためのエンドツーエンドの可視化やWAN最適化、新しいポリシーモデルのニーズがさらに高まるでしょう。これがイノベーションを一層加速させ、ユーザーエクスペリエンスの向上を可能にします。企業のデジタル変革が成功するかどうかは、ネットワークの障害回復力と信頼性、セキュリティに委ねられます。シスコはあらゆる規模の会社がインテントベース ネットワークを導入して、さらにスマートでシンプルに自動化され、より安全なネットワーク環境を実現できるようにしたいと考えています。
有線や無線、規模の大小にかかわらず、豊富なセキュリティサービスを備えたこうした新しいソフトウェアが定義する能力を採用することで、中小企業から最大規模の企業やサービスプロバイダーまで、あらゆるお客様にインテント ベースネットワーキングを利用していただけます。2019年には、キャンパス、ブランチ、WAN、データセンターのすべてを通じ、ネットワークやアプリケーションの導入においても、インテントベースネットワークとSD-WANが重要な役割を果たします。
3.最優先テーマとなるサイバーセキュリティ
デジタル化のトレンドが加速する2019年、お客様にとっての最優先事項となるのは、なにをおいてもサイバーセキュリティです。より多くのサービスやアプリケーションがクラウドに移行し、より多くのデバイスがネットワークに接続するだけでなく、拡大するモバイルのワークフォースや顧客基盤をサポートすることで、セキュリティの意義はかつてないほど大きくなります。こうしたトレンドに対処するため、シスコは引き続きサイバーセキュリティ能力の強化を図ります。この数年、シスコはお客様のセキュリティ要件に応えるためにいくつもの企業買収を行うとともに、新たな能力を社内で開発してきました。Talos、Duo、Tetration、Stealthwatch、Firepower、
Umbrella、DNA securityなど、枚挙にいとまがありません。
いずれもそれぞれの分野で最高のソリューションを擁していますが、これらをひとつのセキュリティ アーキテクチャの一環として取り込み、一体化することでお客様が直面する有効性と時間の問題に本当の意味で対処できるようになります。これこそがシスコの持つ価値であり、業界をリードする脅威インテリジェンスの能力を統合ポートフォリオを通じて、リアルタイムかつ大規模なスケールで提供できるのです。こうしてユーザーやデバイス、モノを通じて多要素認証、アイデンティティ、ポリシーなど実現できるようにすると同時に、オンプレミスかクラウドを問わず、あらゆる脅威にわたる予測分析を提供します。現在そして将来のセキュリティに関する課題は、製品レベルでは解決できなくなり、統合的なアーキテクチャによるアプローチが求められるようになります。シスコが取り組んでいるのはまさにそこです。いかにしてセキュアなサプライチェーンを通じて製品を製造し、そうした製品をお客様に提供するか、そして、いかにすべての次世代ソリューションを設計するかにいたるまで、シスコは活動のすべてにセキュリティを組み込んでいます。
4.5Gへの移行
5Gへの進化は、シスコのお客様やパートナーにどのような意味をもたらすのでしょうか?2019年は、概念実証、ユースケースの展開と検証を通じて、5Gトライアルの年になります。「Cisco Visual Networking Index (Cisco VNI): forecast and trends, 2017-2022」の予測では、IPネットワークに接続されるデバイスの数は、2022年には世界人口の3倍以上になります(3.6ネットワーク デバイス、2017年は人口1人あたり2.4個のネットワーク デバイスでしたが、2022年には3.6個のネットワーク デバイスにまで増加します)。5Gデバイスとその接続は、世界のモバイル デバイスと接続の3%以上を占めると予測され、2022年には世界のモバイル トラフィックの12%近くが5Gセルラー接続によるものとなります。
誰もが5Gのデバイス、センサー、IoT、アプリケーションを話題にしますが、5Gが確約する待ち時間の低減と高速帯域幅を実現するには、SPコア ネットワーキング インフラストラクチャである無線エリア ネットワークとデータセンターにおいて5Gは真に進化しなければなりません。5Gは、自動運転車、スマート シティ、遠隔医療、ワークスタイル改革、ファクトリー オートメーションなどの新たなサービスを可能にしますが、日本の多くの企業でデジタル化への取り組みが加速する中で、5Gの真の価値をいかに速く実現できるかは、セキュリティにかかっています。SPと一部のお客様による5Gへのトライアルは、2019年にまさに始まります。
5.エクスペリエンスを変革するAR(拡張現実)位置情報サービス(LBS)
AR(拡張現実)および位置情報サービス(LBS)テクノロジーは、極めて多くの消費者の理解を得つつあり、、医療、スポーツ&エンターテインメント、小売など業界で爆発的な普及が見込まれます。先進的な小売事業者は、これらのテクノロジーを顧客エクスペリエンスの変革と売上の向上に活かすための革新的な手法を探求しています。ARは個人のショッピング アシスタントとして機能し、顧客の購入履歴に基づいて関心がありそうなアイテムを強調したり、店舗内を見回る顧客の視野の中でおすすめや特別オファーを提示します。同時に、多機能な位置情報サービスは、興味を持ちそうなアイテムや場所に買い物客を誘導したり、ユーザーを識別して、提供可能なアイテムとオファーをリアルタイムに特定し、ユーザーとその消費行動とを結びつけます。
これは、モバイル テクノロジー、無線、ネットワーキング、センサー、機械学習を位置情報サービスと組み合わせて分析することで可能になります。この場合、オペレーションの変革とともに、エクスペリエンスを変革しているのはテクノロジーです。これらのテクノロジーは今後ますます利用され、顧客行動に関する卓越したインサイトを獲得して、顧客エクスペリエンスを変革します。このようなソリューションと機能の多くを提供しているシスコは、おもてなしと観光が重要な課題となる2019年、顧客エクスペリエンスを変革するために、エコシステム パートナーと共同で豊かなロケーションおよびモバイル サービスを提供していきます。
6.パートナーとの連携によるイノベーションと差異化
シスコは、実在する真の課題を解決するために、市場に築いた新たなパートナーシップをこれからも進化、成熟させていきます。大企業から小規模事業者まで今日のデジタルな世界に必要とされるものに対応するために、かつては競合する可能性があった企業や、相反する機能を提供していた企業が力を合わせ始めています。どの企業も、単独ではすべてを成し遂げることはできません。様々な市場、産業、業界に適切なビジネス成果を届けるには、パートナーシップや統合、お互いの強みを活用し合うことが不可欠です。
シスコのDevNetコミュニティはその最たる例です。Cisco DevNetでは、開発者は自分たちの価値を持ち寄ったり、ネットワーキングからデータセンター、コラボレーション、セキュリティに至るオファーを強化したりすることができます。シスコは、パートナーやプログラマーが、これまで想像もしなかったやり方で日常生活を変革できる豊富なオファーやサービスを開発できる、オープンで拡張性があり、ソフトウェアによって実現されるプラットフォームを構築しました。これは、ネットワークを使って道路、輸送手段、製造工場、ビル、店舗、家庭をデジタル化することを意味します。これは、将来の話ではなく、現在の話です。2019年、プログラミング可能な新しいインフラストラクチャと新しいパートナー エコシステムは、ビジネスの中心となるインフラストラクチャに新しいイノベーションをもたらすことで産業を変革します。
7.あらゆるところからの才能あふれる人材を受け容れ
最後に、セキュアなデジタル トランスフォーメーションの可能性を最大限に引き出すには、極めて多くの新たな才能と投資が必要になります。これには、私たち全員がリスクをとって、サイバー セキュリティ、人工知能、
IoT、プログラマビリティ、自動化に関するスキルの構築と獲得とを強化することが求められます。
日本では、従業員の再教育と次世代人材の育成が必要となり、人材をめぐるギャップが明確になってきました。日本が世界の最前線で競争力を発揮するには、シニア世代の再教育、ジェンダー ダイバーシティを支援するワークスタイル改革、外国人への仕事の開放、そして人工知能とロボットの活用が重要です。今年こそ、将来の労働力を構築するために人材を受け容れ、クリエイティブな発想を促す年となるでしょう。
東京2020まで、500日あまりとなりました。2019年は、オリンピックに備えるためのデジタル イノベーションの年です。シスコは、日本を新しいセキュアなデジタル時代へ導くことに集中しています。真につながった世界は、東京で、そして日本全体で人々の生活、仕事、遊び、学習の方法に前向きなインパクトをもたらします。
ここに挙げた7つの領域は、とても興味深いと私は考えています。
さて、皆さんは、いかがでしょうか。
URL
Japanese: https://apjc.thecisconetwork.com/site/content/lang/ja/id/10027
English: https://apjc.thecisconetwork.com/site/content/lang/ja/id/10017
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