【日本初】動物の精神科医、犬猫の『ストレス診療科』開設へ
犬猫のストレス関連疾患に対し、獣医臨床行動学からアプローチ
全国で9名しかいない、獣医行動診療科認定医で、「動物の精神科医」として知られている、奥田順之獣医師が院長を務める、ぎふ動物行動クリニックにて、2019年12月1日より、日本初(※)となる犬猫のストレス診療科をスタートさせます。
嘔吐・下痢・痒み・常同行動など、ストレスを原因とする体調不良・異常行動は、一般の身体に対する治療だけでは必ずしも治癒しません。異常行動の中には、繰り返し自傷行為を行ってしまう動物もおり、安楽殺に陥る例もあります。
一般の獣医療では、精神的ストレスに対する治療は十分に行われてきませんでした。ストレス診療科の取り組みによって、ストレス関連疾患を患う犬猫と、その飼い主を救い、人と犬猫がより良い共生ができる社会を築いていくことが、我々の使命です。
※当院調べ
嘔吐・下痢・痒み・常同行動など、ストレスを原因とする体調不良・異常行動は、一般の身体に対する治療だけでは必ずしも治癒しません。異常行動の中には、繰り返し自傷行為を行ってしまう動物もおり、安楽殺に陥る例もあります。
一般の獣医療では、精神的ストレスに対する治療は十分に行われてきませんでした。ストレス診療科の取り組みによって、ストレス関連疾患を患う犬猫と、その飼い主を救い、人と犬猫がより良い共生ができる社会を築いていくことが、我々の使命です。
※当院調べ
1.ストレスは心身の健康を損なう
人間でもストレスが心身の健康に影響を及ぼし、心身症を発症したり、うつ病などの精神疾患を発症することがるように、犬猫でも、ストレスが引き金となって、身体の健康を損なったり、異常行動を発生させたりします。
慢性的な下痢・嘔吐・痒みなどはストレスによって起こりやすく、体の検査を行っても異常が見つからない、体の治療を行っても治癒しないということがしばしばあります。こうした場合、心理的ストレスの影響が考えられます。
犬猫のストレスの多くは、飼い主が不適切な飼育を行ってしまうことによって発生します。上下動が必要な猫を狭いケージで飼う、散歩が必要な犬を散歩させない、しつけをせずに体罰を行うなど、不適切な関係・環境がストレスの主な原因です。
持続的なストレスは、身体の異常ばかりでなく、行動の異常を発生させることがあります。家族に対しても咬む、不安から小さな物音にも過剰に反応する、何もないのに吠え続けるといった行動だけでなく、尻尾を咬みちぎる・身体をなめ続けるといった自分自身の身体を傷つける自傷行為に発展することもあります。
2.ストレス診療科で行うこと:ストレスを原因とする心身症の緩和
ストレス診療科では、ストレスが原因となっていると疑われる、症状の緩和を目的として、ストレスの緩和のための診察・治療を行います。
具体的には、犬猫と飼い主の生活習慣・生活環境・関わり方・問題となっている状況などを、60分~120分程度かけてヒアリングし、ストレスとなっている問題の原因を探っていきます。持続的なストレスが疑われる場合、どのようにストレスケアをしていくかについて、飼い主と話し合い検討していきます。
ストレスケアの方法としては、主に、環境修正、行動修正、薬物療法の3種類の療法を実施します。
- 環境修正:動物行動学に基づいて生活環境を整えることで、動物が過ごしやすい環境を提供すること
- 行動修正:トレーニングなどを通じて、ストレスとなっている刺激や状況に対して、過度な緊張・興奮を取り除き、不安・恐怖を緩和させること
- 薬物療法:向精神薬や漢方薬を使って、衝動性や不安をやわらげたり、自律神経の働きを整えること
詳しくは、HPをご確認ください:http://tomo-iki.jp/stress
3.治療対象
- 嘔吐、下痢、痒み等、一般的な治療を行っても、再発をくり返す疾患の精神面のケア
- 特定の場所をなめ続ける等の行動を伴う皮膚疾患
- 日常的イベントやストレスに起因する、嘔吐・下痢等の身体異常
- 日常的イベントやストレスに起因する、行動異常
- 留守番ができないなどの分離不安
- 過度に吠える、怖がりなどの症状
- 尻尾を追う・手足を舐める・毛をかじる・自傷行為などの常同障害
- 犬の認知症(高齢性認知機能不全)
4.治療事例
症例:犬 品種:トイプードル×ミニチュアダックスのMIX 年齢:3歳 性別:雄
飼い主に対する攻撃行動を主訴にご来院いただきました。ヒアリングの中で飼い主に対する攻撃行動だけでなく、ほとんど毎日嘔吐を繰り返していることが分かりました。嘔吐に対しては、血液検査を行ったものの、異常値は検出されませんでした。
飼い主に対する攻撃性や、音などの刺激に対する過敏性も強かったことから、身体の問題からの嘔吐ではなく、交感神経の過剰な興奮を疑い、自律神経の失調から来る嘔吐と仮診断しました。これに対し、嘔吐を止める薬を用いるのではなく、自律神経を整えるために、漢方薬(大柴胡湯)を使用したところ、嘔吐の発生がなくなり、攻撃行動の発生も減少しました。現在漢方薬を服用しながら、トレーニングを行い、飼い主との安心できる関係づくりを進めています。
5.動物の精神科医(獣医動物行動診療科認定医)とは?
獣医行動診療科認定医とは、日本獣医動物行動研究会が実施する認定医制度に合格した獣医師を指します。2013年に創設された認定医制度は、2019年までに9名の獣医師を認定医として認定してきました。以下、その定義を紹介します。
- 獣医動物行動学(動物行動学および臨床行動学)に精通し、行動診療を行うために必要な専門知識と技術、十分な診療経験を有しており、獣医行動学分野における最新知識の取得に務め、行動診療を通して動物と飼い主の幸福増進に貢献するとともに、獣医動物行動学分野の発展に寄与し、わが国における同分野の啓発と普及に貢献するための努力を惜しまない獣医師
- 獣医師(獣医行動診療科認定医)
- ぎふ動物行動クリニック院長
- 鹿児島大学獣医学部講師(動物行動学)
- 帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師(ペット共生学)
犬猫の殺処分問題・共生問題の解決を目指し、2012年NPO法人人と動物の共生センターを設立。犬と人の関係性の悪化からの飼育放棄を減らすために、ドッグ&オーナーズスクールONElife設立。2014年ぎふ動物行動クリニック開業。2017年獣医行動診療科認定医取得。スクール全体で年間約4000回組(のべ数)の犬と飼い主の指導を実施。行動診療として、年間100組以上の新規相談があり、薬物療法を併用した改善を行っている。
書籍の執筆活動も活発に行っており、愛犬雑誌・獣医系雑誌に多数寄稿。著書(単著)に、「動物の精神科医が教える 犬の咬みグセ解決塾(2018)」、「ペット産業CSR白書(2018)」。
8.ご取材について
ご取材いただけます場合は、下記連絡先にご連絡いただいた後、ご取材にお越しいただければ幸いです。ご取材のお時間として、1時間程度確保させていただきます。尚、診察時間内にご対応させていただいておりますので、診察等の対応が入る場合がございます。ご了承ください。
取材対応可能な日程等
日時:水曜~日曜 9:00~17:00
場所:ぎふ動物行動クリニック
(ドッグ&オーナーズスクールONELife内)
岐阜県岐阜市岩地2-4-3
時間:1時間程度
お問い合わせ・取材申込先
ぎふ動物行動クリニック
担当:鵜海・奥田
運営者:特定非営利活動法人人と動物の共生センター
Tell:058-214-3442
Mail:info@tomo-iki.jp
Web:http://tomo-iki.jp/
住所:〒500-8225岐阜市岩地2-4-3
受付:水-日 9:00~17:30
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