奇跡的修復を経た、与謝蕪村が描いた幻の「寒山拾得図(かんざんじっとくず)」についてデジタル複製襖をつくり、妙法寺本堂に奉安するプロジェクト
名付けて"幻の蕪村画「寒山拾得図」本堂奉安プロジェクト"。クラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で令和1(2019)年11月18日~令和2(2020)年1月10日まで実施します!。
俳人画家・与謝蕪村が江戸時代中期の明和年間に讃岐・香川を訪れ、その際、妙法寺(現在の香川県丸亀市富屋町)に逗留しました。「蘇鉄図」「寒山拾得図」等の6作品を残し、国の重要文化財に指定されています。このようなゆかりから妙法寺は別名「蕪村寺・ぶそんでら」といわれています。
今般、昭和58年に黒の油性マジックによる落書きを除去するという奇跡的修復を経た、幻の名画「寒山拾得図」(墨画)についてデジタル複製の襖を作り、本堂に奉安したく、クラウドファンディングを立ち上げました。
このURLは、https://camp-fire.jp/projects/view/208171です。
【クラウドファンディングの実施理由】
「寒山拾得図」は蕪村の讃岐時代における大作にもかかわらず、蕪村画集や図録等に掲載は皆無で、また、この「寒山拾得図」の公開の記録は2回しかありません(妙法寺調べ、以下参照)。今まで目に触れる機会がほとんどなかったというのが幻の名画たる所以(ゆえん)です。
すなわち、図録等の出版物で確認できるのは、『蕪村全集第6巻絵画・遺墨』(講談社、平成10年刊)と『丸亀の文化財』(丸亀市教育委員会、平成27年刊)の2冊のみです。また、「寒山拾得図」が公開された記録は、丸亀市資料館で開催された「蕪村展」(昭和51年10月)と、妙法寺での特別一般公開(平成19年11月)の2回のみです。
妙法寺が所蔵する蕪村の「寒山拾得図」。この幻の名画をデジタル複製技術により襖絵(襖4枚)として再現し、これを現在の本堂内に奉安したく存じます(=写真上、現本堂内の様子と大岡住職)。名付けて、"幻の蕪村の名画「寒山拾得図」本堂奉安プロジェクト"です。今までほとんど目に触れることがなかった幻の蕪村画「寒山拾得図」(複製)を本堂に奉安できれば、有縁の方々が妙法寺に参拝された時にいつでも拝観できるようになります。
【妙法寺の「寒山拾得図」について】
もともと「寒山拾得図」(=写真下)は、蕪村が描きあげた江戸時代中期より、旧本堂(現存せず)の内陣と下陣の間をしきる4枚の襖絵として実際に使われていました。
昭和10年に改築された現在の本堂では、内陣と外陣の間の正面に建具が全く入っておりません。幻の蕪村の名画「寒山拾得図」をデジタル複製技術により再現し、蕪村当時のように本堂内に奉安したく計画いたしました。
巻紙を持っているのが「寒山」で、巌窟に住んで詩を書いたといいます。一方、いつも箒を持っているのが「拾得」で、寺の掃除や雑務をしたといいます。豊干禅師が拾ってきたのでそう命名したのだそうです。二人は飄逸(ひょういつ、世俗のわずらわしさを気にしないでのびのびしているさま)な姿で自由奔放、奇行が多かったとされますが、終生無垢な童心を失わず、俗世を厭(いと)い天台山国清寺(現在の浙江省台州市天台県)に住んだとされます。その詩は「三隠詩集(寒山詩)」に収載されています。宋時代以降、純粋な生き方が禅僧や文人の世界で好まれ、画題として数多く採り上げられてきました。また、日本では寒山は文殊菩薩の、拾得は普賢菩薩の化身とされました。
妙法寺所蔵の寒山拾得図は4枚の襖絵で、寒山を左、拾得を右とする対に見立てられており、このような大作は少なく、寒山と拾得の容貌や所作が生き生きと描かれています。なお、落款はありません。妙法寺が天台宗のお寺なので、蕪村が本堂用として描いてくれたのかもしれません。
【妙法寺と与謝蕪村について】
香川県丸亀市にある天台宗妙法寺(大岡真祥住職)は、開運招福・大黒天や厄除けの元三大師を祀る京極家の祈願所です。
また、俳人画家の与謝蕪村(当時51歳)が、明和3年(1766)から同5年の春先まで高松・丸亀・琴平の俳友にお世話になりながら、妙法寺に逗留しました。その際、客殿や仏間の襖絵などを描き、寺宝として大切に保存されて今日に至ります。このようなゆかりで妙法寺は別名「蕪村寺・ぶそんでら」と呼ばれ、大作の『蘇鉄図』(=写真)や『寒山拾得図』(かんざんじっとくず)といった6作品が国の重要文化財に指定されています。
【奇跡的修復!蕪村の墨絵に黒色油性マジックで落書きされた事故からの復元】
妙法寺は、「蕪村寺・ぶそんでら」として、知る人ぞ知るお寺です。
実は昭和42年頃、「蘇鉄図」と「寒山拾得図」は、油性黒色マジックペンで落書きされるという事故に見舞われました。「蘇鉄図」は墨絵の幹や岩のあたりに数カ所、「寒山拾得図」は寒山の顔が破損され、拾得の目の部分に油性マジックで落書きされました。
たとえ落書きがあっても美術的価値は損なわれないとして、妙法寺所蔵の蕪村画は昭和46年に国の重要文化財に指定されました(つまりマジックの落書きがあった状態で国の重要文化財に指定されました)。そして国立文化財研究所などでシミ抜きが試みられましたが、墨絵を残してマジックインクだけを取り除くことは不可能という結論が出され、昭和50年に妙法寺に返されました。
昭和52年、"しみ抜き技術日本一"と言われた、名古屋市の武智光春表具師に修復の話が持ち込まれました。5年にわたる実験研究の結果、墨絵はそのままにマジックインクのみを取り除く薬剤と技術を確立し、武智表具師のもとに預けられることとなりました。昭和58年、お陰様で武智さんの熟練と執念の技と、科学技術の融合により、マジックの落書きはきれいに除去され、見事によみがえりました。このようにして再生した文化財は、妙法寺の蕪村画のみで、唯一無二と思われます。
この奇跡的修復の模様は、NHKのドキュメンタリー番組『名画復元 表具師執念の技』(昭和58年放映)をはじめ、多くの新聞・雑誌に取り上げられました。
「蘇鉄」という和名は、木が弱ったとき、株元へ鉄を打ち込むと元気が戻ったことから「蘇鉄(鉄で蘇生する)」と名付けられたといいます。
熟練の技術と不屈の精神でもって、「蘇鉄図」と「寒山拾得図」は奇跡的に蘇ったのです。こういった過去を持って見事に再生した文化財があるということを知っていただき、どんな逆境や困難にも救いの術(すべ)や方法があるということを信じることの大切さを問いかけているような気がします。
【集まった資金の使途】
今回、クラウドファンディングの目標額は120万円とさせていただいていますが、複製作成のために実際はもっと必要です。
「寒山拾得図」は大型の襖絵で、収蔵庫からの蕪村画搬出費(約20万円)、蕪村画の撮影費(約100万円)、「寒山拾得図」の複製制作費(数百万円)、そして諸雑費がかかります。このうちの「搬出費」と超高解像度での「撮影費」をクラウドファンディングでご支援をいただきたく存じます。集まった120万円は運搬費と撮影費に充当させていただきたく存じます。超高解像度での撮影こそがデジタル複製画制作の要諦に他ならないからです。
【デジタル複製技術による文化財について】
デジタル複製技術は、劣化が進む文化財保存のために有効な手法として注目を集めています。
妙法寺が所蔵する蕪村画はいずれも江戸時代中期に描かれた墨絵です。200年以上前の紙と絵は、日光はもとより通常の光や空気でさえも目に見えない形で徐々に影響があると思われます。
また、妙法寺の「蘇鉄図」「寒山拾得図」は、墨絵の上にマジックの落書きに見舞われるというアクシデントがあり、この奇跡的シミ抜き修復を経験した貴重な文化財です。おそらく世界で唯一無二の修復を経た文化財です。
一方、今まで「こちらのお寺は与謝蕪村が描いた絵があると聞いて伺いました。所蔵の蕪村の絵を見せてくださいますか?」と、県内外を問わず何人もの方々妙法寺にお越しになりました。その際は「誠にすみません。収蔵庫にしまってますのでお見せできません」と丁重にお断りしていました。複製を作成することで、多くの方に蕪村の世界を拝観・鑑賞していただく機会とすることができるでしょう。
【当プロジェクトについてのYouTube動画<住職の説明付き、4分50秒バージョン】
【クラウドファンディング募集要項】
○All-in方式で実施。目標金額に満たない場合もリターン(御礼)を送付。
○搬出費:20万円…美術専門運送業者による収蔵庫から撮影場所への搬出・搬入作業費用。
○撮影費:100万円…超高解像度のデジタル撮影費用。
○このクラウドファンディングでは、複製襖の制作費のうち、上記合計の120万円を目標額とする。
○複製襖制作費:数百万円は総代会を経て適宜進める。
○クラウドファンディングURL
https://camp-fire.jp/projects/view/208171
【当プロジェクト責任者&お問い合わせ】
天台宗 妙法寺(別名・蕪村寺) 住職 大岡 真祥
〒763-0021 香川県丸亀市富屋町9番地
TEL:0877-22-7881
HP:http://www.busondera.com/
Facebook:https://www.facebook.com/266469876753398/
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