中外製薬とBiofourmis、デジタル技術による子宮内膜症に伴う痛みの評価法の確立を目指す
- 両社は、BiofourmisのBiovitals®プラットフォームを活用し、子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価するデジタルソリューションの共同開発を行う
- 子宮内膜症患者さんを対象とした非介入試験を実施し、今回の新規手法が患者さんの実生活における症状の把握に有用かを検証する予定
中外製薬株式会社(https://www.chugai-pharm.co.jp/)(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)とボストンに拠点を置くデジタルセラピューティクス企業であるBiofourmis(https://www.biofourmis.com/)は、子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価することを目指し、デジタルソリューションの共同開発を行うことをお知らせいたします。
痛みは、子宮内膜症の主症状の一つであり、治療上も重要です。痛みの程度は日によって変動し、患者さんが社会生活を送る上での大きな妨げになることがあります。しかし、痛みは主観的な症状であるため、自分が感じる痛みの程度を家族や医療関係者に正確に伝えることは難しい面があります。本パートナーシップを通じ、両社はBiofourmisのBiovitals®プラットフォームを活用し、バイオセンサーおよびAIベースのアルゴリズムを利用した患者さんの痛みを客観的に評価する新たな評価法を共同開発します。これを目的とし、120名以上の子宮内膜症患者さんを対象に、治療への介入を伴わないグローバル多施設共同観察試験を実施し、技術の検証を行います。
Biofourmisは複数の疾患領域において、多変量デジタルバイオマーカーの探索、開発および臨床的検証を行ってきました。子宮内膜症の患者さんの外来診療に用いられるこのデジタルソリューションには、複数の生理学的バイオマーカーを記録するウェアラブルな臨床品質のバイオセンサーをはじめ、症状のモニタリング、生理学的バイオマーカーを用いた継続的な痛みの定量化、デバイス利用のモチベーション向上のためのゲーミフィケーションエンジンの機能を備えた患者さん向けのアプリが含まれています。また本プラットフォームは、ウェブ上のダッシュボードを通じ、臨床医が遠隔からの確認および介入を可能とする機能も有しています。
中外製薬 執行役員 デジタル・IT統轄部門長の志済 聡子は、「デジタルセラピューティクスの研究開発および販売を世界的にリードするBiofourmis社とのパートナーシップを通じ、子宮内膜症に伴う痛みを客観的に評価し、病態をより深く理解することに取り組みます」と述べるとともに、「本パートナーシップは、最先端のデジタル技術の追求により、患者さんの生活上の真のニーズを理解し、社会に対する革新的なソリューションの提供を目指すものであり、まさに中外製薬が『CHUGAI DIGITAL VISION 2030(https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200331150001_964.html)』に掲げたコミットメントの表れと言えるものです」と語っています。
Biofourmis創設者でありCEOのKuldeep Singh Rajputは、「デジタル技術の活用により、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなることを目指す中外製薬とパートナーシップを組むことに胸を躍らせています」と述べるとともに、「ヘルスケア産業においては、創薬から患者さんのケアに至るまでの医薬品開発とデジタルソリューションを組み合わせることが、大きな効率の上昇につながるというコンセンサスが高まっており、今回の中外製薬とのユニークなコラボレーションもこの一例です。デジタルソリューションは、事象への本質的な理解をより迅速かつ信頼性の高い形で医師に提供し、その治療的介入を助けます。また、患者さんに対しては、エンゲージメントを高め、より良い結果を提供するとともに、医療費の削減に繋がり得るため、経済的な面からもステークホルダーへの貢献が可能と考えています」と語っています。
子宮内膜症について(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24435778/)1)
子宮内膜症は、20~40歳代の女性の10人に1人が罹患し、子宮内膜組織が子宮外で増殖、剥離を繰り返し、強い月経痛や慢性的な下腹部痛を伴い、不妊症の原因となります。症状が強いときは横になったまま動けず、仕事や学校を休むなど、生活に支障をきたすこともあります。既存薬はホルモン剤のみで、薬剤で痛みがコントロールしきれない場合には外科手術で取り除く治療法しかなく、手術を受けても数年で再発する方も多いなど、アンメット・メディカルニーズの高い疾患です。
中外製薬について
中外製薬は、医療用医薬品に特化し東京に本社を置く、バイオ医薬品をリードする研究開発型の東京証券市場一部上場の製薬企業です。ロシュ・グループの重要メンバーとして、国内外で積極的な医療用医薬品の研究開発活動を展開し、アンメット・メディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。中外製薬に関するさらに詳しい情報はhttps://www.chugai-pharm.co.jp/をご覧下さい。
Biofourmisについて
Biofourmisは、個別化予防医療の原動力となるデジタルセラピューティクス分野において急速に成長する世界的リーダーです。患者さんへのより良い結果、個別化医療を実施するための臨床医への高度なツール、薬物療法の価値を実証し補完する技術、そして保険者へ費用対効果の優れたソリューションを提供する臨床的有用性の証明されたソフトウェアを用いた治療法の研究開発を行っています。Biofourmisは、洗練された個別化AIを用いた健康状態の解析プラットフォームであるBiovitals®を確立しました。Biovitalsは心不全、オンコロジー、COVID-19を含む感染症、慢性疼痛、急性冠症候群および慢性閉塞性肺疾患(COPD)など複数の疾患領域にまたがるデジタルセラピューティクスのパイプラインの基幹となっており、致命的イベントに繋がり得る臨床症状の増悪を事前に予測します。Biofourmisに関する更に詳しい情報は、www.biofourmis.comをご覧ください。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
[出典]
1: ESHRE guideline: management of women with endometriosis. Dunselman GA, et al. Hum Reprod. 2014.
以上
本件に関するお問い合わせ先
Redhill Communications
Mariko AOKI
E-mail: biofourmis@redhill.asia