政府による日本学術会議第25期新規会員任命見送りによる学術の独立性毀損に関する声明

一般社団法人 日本医学会連合 会長 門田 守人/一般社団法人 日本歯科医学会連合 理事長 住友 雅人/公益社団法人 日本薬学会 会頭 髙倉 喜信/一般社団法人 日本看護系学会協議会 会長 小松 浩子

一般社団法人 日本医学会連合・一般社団法人 日本歯科医学会連合・公益社団法人 日本薬学会・一般社団法人 日本看護系学会協議会は、日本学術会議第25期新規会員任命見送りによる学術の独立性毀損に関する声明を発表しましたので、2020年12月1日(火)より、YouTube(https://youtu.be/veW30fkJ5JI)にて公開いたします。

 

 

 

日本学術会議法(昭和23年7月10日公布)前文には、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」との崇高な理念が掲げられている。


さらに、その「職務及び権限」について、日本学術会議法第三条は「日本学術会議は、独立して左の職務を行う。一 科学に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。二科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。」と明確に日本学術会議の独立性を定めている。これに則り、日本学術会議には幅広い学術分野の第一線の科学者が集結し、自由に多様な意見交換を行うことで、学術の進歩に寄与し、総合的、俯瞰的な視点から行政や社会に声明、提言等を発出して社会的課題の解決に貢献することを重要な使命としてきた。しかしながら、今般の日本学術会議第25期新規会員任命における政府の介入は、同会議の独立性を毀損するものである。さらに、このような介入が、開かれた議論もなく、従来の方針を覆して行われたことは、先人達が過去の反省に立って築いた日本学術会議の理念を国民に見えない形で損なうことのように思えてならない。これは我々、医療に関係する諸学会・団体にとっても看過することができない重大な事案であると考え、日本学術会議の人事を正常化し、独立した活動を可能とするよう、ここに本声明を発出する。
 
  • 声明内容


■門田 守人(一般社団法人 日本医学会連合 会長)

一般社団法人日本医学会連合会長、門田守人でございます。

「医学会連合」という言葉ですが、少し耳慣れない方もいらっしゃると思われますので、簡単にご紹介させていただきます。1902年(明治35年)に創設され、当時は「日本聯合医学会」という名前でございました。その後「日本医学会」という名称となり活動を続けて参りましたが、独立した法人ではなかったことから2014年4月、最終的に一般社団法人として登記し、その段階から「日本医学会」という名称ではなく「日本医学会連合」という名称で、法人として独立した学術団体の連合となりました。今でも「日本医学会」がございますが、これは医師会とともに医療を主とする活動を指して使い分けているということであり、歴史的には120年近い歴史があるものでございます。

さて、日本学術会議の問題につきましては、私たちは10月6日に「これは問題である」という認識のもと、すぐに声明を発出いたしました。その時点ではとにかく日本学術会議の2つの要求に対して、「これを支持する」という形でスタートいたしました。

その後、我々なりに勉強をさせていただく中で、基本的には第二次世界大戦敗戦後、学術の組織としてどこに問題があったかということが論じられ、また当時学術団体のあるべき方向性について大きな反省が必要であったということが、今日の学術会議法の制定に繋がったと理解でき、また社会全体もそのように考えていたという事実に帰結しました。

 今回の声明でも申し上げましたが、独立した学術団体として、政府の決定方針、その他に協力する形が基本でありますので、組織そのものは独立した組織でなくてはならないということ、また当時、国をあげて法律を制定する段階で皆が認識し、その形で動き始めたということ、それがその後ずっと続けられてきたということなのです。

いろいろなご報告がございましたが、長くその形で続いていたものが、今回初めて否定されたということなのです。この問題は単に学術会議の問題ではなく、学術そのものに対する政府側の態度であるということを考えますと、我々学術の団体としては、これは看過できないということであり、そのため今回この4団体で意見交換をさせていただいた上で、このような声明の発出に至った次第です。


■住友 雅人(一般社団法人 日本歯科医学会連合 理事長)

一般社団法人日本歯科医学会連合理事長の住友雅人です。

歯科医学会連合は2016年に設立された若い学術団体で、本年9月30日現在の正会員は25学会で96,640名、準会員は13学会で32,152名、賛助会員は10社です。年間予算はおよそ3300万円で正会員、一人300円、準会員一人100円の年会費で運営されています。

日本歯科医師会の内部組織である日本歯科医学会とはお互いの立ち位置を決めて協力体制をとっています。

法人格を有する歯科医学会連合のモットーは歯科医学・医療による具体的な社会貢献です。今回の新型コロナウイルスの対応については、歯科は85%が診療所ですので厚生労働省の歯科保健課や日本歯科医師会と連携して、診療体制などについてさまざまな情報をHPで発信しています。多くの方々がこの情報を活用しており、現在のところ歯科診療所を起点としたコロナウイルスの感染症例はゼロであります。引き続き、正確な情報を発信してまいります。

学術会議について少しふれておきます。日本歯科医学会は日本学術会議の協力学術研究団体となっていますが、歯科医学会連合は現在のところ直接的な交流は在りません。学術会議の会員として歯科領域から3名が入っています。今回の事態に関し、そのうち1名のご意見を紹介します。『歯学という1領域にとって、すべての学術領域をカバーした、国が認めたアカデミーの中で、一緒に活動するのは非常に意義深い。まさしく学術的なダイバーシティーの組織であり、長年アカデミアが築いてきたこの組織が、このような形で取りざたされるのは,先人にも将来にとっても、非常に残念だ。「政治が実現可能性のアートだとすれば、学問研究は解決可能性のアートである」という言葉にこの時点で重みを感じる』というこの意見は貴重です。 以上、日本歯科医学会連合からでございます。 


■髙倉 喜信(公益社団法人 日本薬学会 会頭)

本薬学会の会頭をつとめております、髙倉と申します。

日本薬学会は、1880年(明治13年)に創立された140年の歴史を有する学術団体ですが、2011年(平成23年)には公益社団法人となり、明治、大正、昭和、平成、そして令和の時代を通して薬学に関する学術活動を行ってまいりました。現在、約17,000名の個人会員、約200の団体・企業の賛助会員を有しており、薬学に関連する各専門領域別の10の部会および全国を地域別に分けた8つの支部を設置して、広く学術活動を展開しております。

日本薬学会は、これまで日本学術会議と年に数回のシンポジウムを共同開催し、継続的に学術活動に関して連携してまいりました。また、日本薬学会の会員の中には、日本学術会議の会員および連携会員が多数おり、薬学を専門とする科学者として日本学術会議の活動に積極的に参画しております。したがいまして、今般の日本学術会議 第25期の新規会員任命における政府の介入は、日本薬学会にとりましても学術の独立性を著しく傷つけるものとして看過できない重大なことと受け止めております。今回、医療に関係する4団体の一つといたしまして、日本薬学会は新規会員任命に関する政府の介入は極めて遺憾であると考え、ここに共同声明を発出させていただきます。


■小松 浩子(一般社団法人 日本看護系学会協議会 会長)

一般社団法人 日本看護系学会協議会 会長の小松浩子です。

本協議会は、47の看護系学会を会員として、看護学学術団体の連携・協働のもとに、人々の健康と生活の質向上をめざした社会への貢献を行うことを目的として活動を行っています。本協議会は、日本学術会議の協力学術研究団体であり、日頃より、日本学術会議及び国内外の学術組織との交流・相互協力を推進して参りました。現在、看護学の学会より、2名の会員ならびに20名の連携会員が日本学術会議において活発に活動を行っております。

日本学術会議が推薦した105名の会員候補者のうち6名が、内閣総理大臣により任命されなかったこと、また、未だ、その理由は明らかにされていない憂慮すべき事態が起こっております。日本看護系学会協議会は、看護学の学術的発展により人々の健康と生活の質の向上を目指す立場から、学問の自由への侵害につながらないことを願い、6名の会員候補者の任命拒否理由の開示、そして会員への任命を求めることを、47学会総意のもとに、10月8日に声明として発出しました。さらに、この度、日本医学会連合、日本歯科医学会連合、日本薬学会および本協議会が連携し、医療に関係する諸学会・団体が一致して、日本学術会議の人事の正常化、学術の独立性について共同声明を出すことにより、今後の我が国の学術の更なる発展に寄与したいと考えています。
 
  • 医療系学会協議会(仮称)の設立について 

■門田 守人(一般社団法人 日本医学会連合 会長)

4団体の連携について

今回このような形で私たち医療系の4つの学会、連合会が一緒に行動を起こすということは過去にはありませんでした。そのような状況の中で今回の問題を機に、私たちは日常、チーム医療など、現場では共に働く仲間同士の集合体であると考えますと、今までにこのような横断的な連合、協議会のような組織が存在しなかったことが不思議に思えます。

このようなことから、他の3学会の皆様と協議をし、まだ正式な名称などは決定しておりませんが、これを機に医療系学会の協議会、あるいは連絡協議会といったものを立ち上げ、日常的な医療に関するいろいろな課題について意見交換をし、場合によっては今回のような声明も発し、また提言なども行うべきではないかとのことで少なくとも他3団体の会長、理事長、会頭の皆さんとは方向性の一致をみております。それぞれが、それぞれの組織の長として手続きを進める必要があることから、正式な決定までは今しばらく時間がかかることではございますが、これを機にそのような方向性で進めていくということを、この4者で合意をしたということをここにお話しさせていただきます。
 
  • 各団体紹介文

一般社団法人日本医学会連合

日本医学会連合は、1902年4月日本聯合医学会としてスタートしたわが国の医学界を代表する学術的な全国的組織です。2014年4月に一般社団法人となった組織で、臨床部門103学会、社会部門19学会、基礎部門14学会の計136学会が加盟しており、各学会に所属する会員の総数は約100万人となっています。医学・医療の科学ならびに技術の革新を推進し、研究者が高い倫理観のもとに医学・医療に携わることを定め、医学・医療水準の向上を目指しています。


一般社団法人日本歯科医学会連合

日本歯科医学会連合は2016年4月に設立された学術団体です。本会の目的は、歯科医学を振興することによって歯科医療の向上、ならびに国民及び人類の福祉に貢献することです。歯科医学・歯科医療の一層の推進と情報発信が求められており、そのための学術的根拠の確立や歯科医療技術の革新、国際連携を推進しています。現在、正会員25学会、準会員18学会から構成されています。


公益社団法人日本薬学会

日本薬学会は1880年4月に創立された、長い歴史を持つ学術団体です。薬学というキーワードのもと、大学、企業、医療機関等に所属する幅広い領域の研究者や技術者の情報交換と、学術の発展を目的とする学術団体です。現在約17,000名の個人会員、約200の賛助会員を有しています。新しい薬を使って病気を克服すること、生命現象の解明と医薬品の適正使用を目指しています。

一般社団法人日本看護系学会協議会

日本看護系学会協議会は2001年9月に設立された学術団体です。現在47学会が連携し、学術活動を推進しています。本会では、看護系学会の相互交流と連携をはかり、看護学研究の成果の社会への還元を支援しています。また学術団体の立場から、人々の健康と生活の質の向上のための提言を行い、国内外の学術組織との相互協力を推進しています。

 
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