癌治療の新たな扉を開く岡山大学病院のヘルスイノベーション

一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会のために岡山大学病院が拓く「がんゲノム医療」の最前線

中国四国地域で唯一の「がんゲノム医療中核拠点病院」である岡山大学病院では、多様なスペシャリストが協働しながら新しい癌治療である「がんゲノム医療」を実施している。一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の実現のためにも、絶えず人材育成と研究開発を推し進めている。スタートアップ・ベンチャーや非医療産業の企業などでもスムーズに病院にコンタクトできる体制を作り上げている岡山大学病院では、今後もより多様なパートナーシップのもとwell-beingの実現するためのヘルスイノベーションの創出を力強く推進していく。
◆中国四国地域で唯一の「がんゲノム医療中核拠点病院」
岡山大学では、患者のゲノム情報に基づいた癌医療である「がんゲノム医療」を推進している。岡山大学病院(岡山市北区)は、中国四国地域で唯一の「がんゲノム医療中核拠点病院」として、34の医療施設とがんゲノム医療ネットワークを構築し、治療や研究開発、人材育成などを精力的に実施している。
 

中国四国地域で唯一のがんゲノム医療中核拠点病院として機能を担う岡山大学病院(岡山市北区)中国四国地域で唯一のがんゲノム医療中核拠点病院として機能を担う岡山大学病院(岡山市北区)

 

 

 

中国四国地域を中心に幅広い岡山大学ネットワークでゲノム医療を推進する中国四国地域を中心に幅広い岡山大学ネットワークでゲノム医療を推進する


がんゲノム医療は、個別化された新しい癌治療の方法として、世界中で日夜研究が盛んに進められている。がんは遺伝的、またウイルス感染などの後天的な細胞のゲノム変異を原因として、そこで発生した細胞が無秩序に増殖し、他の細胞や臓器に転移する性質を獲得することで発症する。その発生パターンは患者一人一人で異なり、また細胞ごとに多様だ。つまり、同じ癌を患っている患者を比較しても、原因となっている遺伝子は異なり、癌に対応する治療もまた異なるのである。

ゲノム医療は、がん患者一人一人のがん発生の原因となる「遺伝子を特定=ゲノム情報の取得」によって、効果的な治療法や薬剤などを選ぶことを可能とし、一人一人に適した個別化医療を提供するものだ。癌患者のゲノム情報を得ることで、個人に適切な治療を提供することが可能となり、治療経過が格段に改善することが明らかとなっている。

◆多様な専門人材で担われる新しいがんゲノム医療:がん遺伝子パネル検査
がんゲノム医療では、「がん遺伝子パネル検査」を使った遺伝子タイプの特定により癌治療方針が決定される。具体的な流れとしては、はじめにがん患者の検体を手術や検査によって採取。そして、専門となるがんゲノム外来を受診する患者から、ゲノム情報取得の同意を得る。その後、がん遺伝子パネル検査として、がん患者の検体は、腫瘍細胞率判定を受け、DNA抽出、遺伝子解析などのがん遺伝子の解析を経て、ゲノム情報が取得される。ゲノム情報の取得後、癌患者は再びがんゲノム外来を受診し、ゲノム分析結果の説明を受ける。その結果に基づき、最適な治療方法を医師から紹介され、治療が開始される。岡山大学病院では、専門外来のゲノム医療外来において以上の手続きを踏み、がんゲノム医療が行われている。
 

がん遺伝子パネル検査の流れ。多種多様な専門人材でがんゲノム医療は支えられているため、そのための人材育成も重要な活動のひとつであるがん遺伝子パネル検査の流れ。多種多様な専門人材でがんゲノム医療は支えられているため、そのための人材育成も重要な活動のひとつである


ゲノム医療は多職種チームによって行われているため、医療従事者向けの高度な教育などの人材育成が絶えず必要である。岡山大学では国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する「ゲノム創薬基盤推進研究事業」の「A-3班ゲノム医療従事者の育成プログラム開発」を主導し、人材育成を行っている。ゲノム医療チームには、担当医、病理医、臨床腫瘍医(腫瘍部位別)、看護師、臨床検査技師、薬剤師、バイオインフォマティシャン、認定遺伝カウンセラー、リサーチコーディネータなど、通常の臨床医療に関わる医療従事者に加え、遺伝子分析・解析を専門とする専門家などが参加する。このプログラムでは、職種によって経験や知識が異なることから、職種ごとのテキストや講習を開催し、ゲノム医療を支える高度な専門人材を育成している。

さらに岡山大学では、これら人材育成に加えて積極的に研究開発活動を行っている。2020年12月からは岡山大学病院ゲノム医療総合推進センター臨床応用部の遠西大輔部長が研究代表を務める先進医療B「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」を開始。イルミナ社やユーロフィンクリニカルジェネティクス社とともに、新たながん遺伝子パネル検査の開発を進めている。また各種研究プロジェクトを運用し、ハイスループット・マルチオミクス解析ラボの整備を進めており、1000症例規模の解析を実施している。またこれらのプロジェクトと関連した企業との共同研究も実施している。今後も企業などとの連携を進めるため、スタートアップ・ベンチャー企業や非医療産業界を含め、多種多様な企業などとの連携を岡山大学病院では強く求めている。
 

岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの遠西大輔臨床応用部長岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの遠西大輔臨床応用部長


◆一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会のために
国連が世界各国・地域とともに進める「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」は、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)の実現を目指す取組のひとつだ。岡山大学は歴史的な背景などもあり、このSDGsにいち早く賛同し、全学を挙げて「岡山から世界に、新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」を掲げ、SDGs大学経営を推進している。ゲノム医療はwell-beingを支える次世代の大きな医療のひとつだ。これまでに紹介したように官庁やファンディングエージェンシー(研究費配分機関)、企業などとの連携による研究解析の発展により、ゲノム医療は今後、3つの発展が見込まれている。第1に、がん遺伝子パネル検査の拡大により、より網羅的に遺伝子変異の検索が可能になると予想されている。第2に細胞などの検体ではなく、より簡単で負担の少ない患者の血液サンプルによる解析技術が進むことにより、変化する遺伝子変異の発見が期待される。さらに、現在はがん遺伝子のみの検査であるが、今後全遺伝子検査が可能となることで、全ての遺伝子を解析することが可能となる。これら一連の取組は、岡山大学と岡山大学病院だけのノウハウや人材、設備だけで担うものではなく、医療サービスを開発する企業などの知見も大きな役割を担っており、スタートアップ・ベンチャー企業を含めた共創活動の強化促進が強く求められている。

岡山大学病院ゲノム医療総合推進センター研究開発部の冨田秀太部長は「多様な人材育成によりゲノム医療が広く確実に社会実装されることで、わが国のみならず世界の人々のwell-beingの向上に寄与したい。そのためには岡山大学、岡山大学病院だけではなく、さまざまな専門家や企業などのパートナーとの連携や共同研究開発などを積極的に実施していきたい。特にスタートアップ・ベンチャー企業や医療産業でない企業などは“大学病院はコンタクトがしにくい”と思われるかもしれないが、岡山大学病院はそのようなことはまったくない。スタートアップ・ベンチャー企業や非医療産業の企業でもスムーズに相談、共同・受託研究を進められる組織体制をしっかりと備えている。興味関心からのでもよいので是非お声掛けいただきたい」と力強く話す。
 

岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの冨田秀太研究開発部長岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの冨田秀太研究開発部長


岡山大学病院とそのパートナーは、癌治療の新たな扉を開くとともに、今までにない革新的な医療サービスを社会に提供する使命を持ち、一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会を目指す。そしてこのビジョンに共感する新たな産学官・個人のパートナーをいつも歓迎している。

◆参考
・ひと目で分かるがんゲノム医療の流れ(YouTube)
 https://www.genomicx.net/
・岡山大学病院
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/

◆お問い合わせ先
 岡山大学病院ゲノム医療総合推進センター(窓口担当:藤平)
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 E-mail:cgm-center@okayama-u.ac.jp
 TEL:086-235-7414
 https://ccgm-ouh.jp/
 

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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