PMI、今後10 年間のプロジェクトマネジメント指向人材の雇用傾向とその世界的影響予測レポート「PMI人材ギャップ・レポート（PMI Talent Gap Report）」を発表

2030年までに新たに2,500万人のPM人材が必要と予測　- プロジェクトマネジメント能力の世界的な需要の高まりと、人材確保の間の格差が浮き彫りに -

プロジェクトの専門家やチェンジメーカーのための世界有数の協会であるProject Management Institute（PMI） はこの度、今後10 年間のプロジェクトマネジメント指向人材の雇用の傾向とその世界的影響を予測したレポート「PMI人材ギャップ・レポート（PMI Talent Gap Report）」を発表しました。本レポートでは、プロジェクトマネジメントスキルの需要の高まりと実際の人材確保との間に世界規模でギャップが絶えず存在していることが示され、また、格差が存在する理由や経済成長への影響のほか、組織や個人が戦略的にギャップを解消する機会についても論じています。

2030年までに新たに2,500万人のPM人材が必要―プロジェクトマネジメントスキルの高い需要が続く
 

レポートによると、プロジェクトマネジメント指向のスキルを必要とする仕事の数の増加、経済成長に伴う需要の増加、退職率の影響により、2030年までに2,500万人の新たなプロジェクト専門家が世界規模で必要になると予測されています。このような需要の高まりに対応するためには、毎年230万人のプロジェクト・マネジャーとチェンジメーカーが、プロジェクトマネジメント指向の任務を果たし続けていく必要が生じます。こうしたプロジェクト・マネジャーやチェンジメーカーの人材不足は、限られた時間と予算内で戦略的に業務を推進するプロジェクトチームに頼る組織にとって、大きなリスクをもたらす可能性があります。

このギャップは世界各地に影響をもたらし、2030 年までに世界の GDP において最大 3,455 億米ドルの損失を生む可能性があります。このことは、組織にとって深刻な危機となり得ますが、一方で変化を促すことに秀でたプロジェクト・マネジャーやチェンジメーカーにとっては、自身がどのような役割を担っていようと、またとない好機となります。 

PMI の最高顧客責任者であるジョー・ケイヒルは次のように述べています。
「プロジェクト、そしてそれらを支えるチェンジメーカーは、世界経済と社会全体において重要な役割を果たしています。プロジェクト・マネジャーはチェンジメーカーとしての典型的な一例ですが、プロジェクトマネジメント能力を備えた人物であれば誰でも変化を導くことができます。従業員のスキルアップとプロジェクトマネジメント能力を備えた新世代の人材の育成は、人材ギャップを縮小し、ポジティブな影響を生み出す上で極めて重要です。組織は、学びの機会を提供し従業員を育成することもできますが、プロジェクトマネジメントに関連する資格を持つ人物を探し出すことで、適性のある候補者を探し出すことも可能です。」

PMI が提供する資格PMP®(Project Management Professional ) は、プロジェクトマネジメントにおける「ゴールドスタンダード」として世界的に認知されています。PMP ®を取得すると、あらゆる働き方でのプロジェクトリーダーシップの経験と専門知識が証明されるため、業界関係なく専門家のキャリアにおいて強みとなります。また、組織における候補者が、より効率的に働き、より良い成果を発揮できるよう育成する手助けにもなります。

プロジェクトマネジメント指向職種の給与は約1.8倍にも。プロジェクト型業界の総GDPは約1.4倍に

プロジェクトマネジメント指向の任務に求められる経験豊富な人材の不足は、経済的な側面においても、その役割の重要性を示しています。人材ギャップ・レポートによると、2019 年にアメリカでプロジェクトマネジメントに関連した任務に対する給与は、プロジェクトマネジメントに関連のない任務に対する給与よりもはるかに高く、その差は平均で 78 % となっています。プロジェクトマネジメント指向の職種の平均給与に至っては、重要なプロジェクトマネジメント要件を有する業界の他職種よりも大幅に高く、62,572 米ドルに対して 111,399 米ドルとなっています。
 

本レポートでは、人材ギャップによって最も影響を受けるビジネス分野も示されています。アメリカ合衆国労働省労働統計局の分析データによると、最大かつ最も急速に成長しているプロジェクトマネジメント指向の役割はソフトウェア開発であり、2019 年から 2030 年の間に 14 % 増加すると予測されています。この成長の要因としては、モバイルアプリケーションの開発、IT セキュリティ、およびヘルスケアテクノロジーの台頭が挙げられます。
 

本レポートは、プロジェクト型の任務とそれらを成功に導くマネジメントが、業界と経済成長に必要不可欠であることを強調しています。重要なプロジェクトマネジメント要件を有する業界、いわば「プロジェクト型業界」と表される業界の総 GDP は、2019 年の 24.7 兆米ドルから、2030 年には 34.5 兆米ドルに増加すると推定されています。プロジェクト型業界において、生産性向上による GDP 増加のシェアは、中国、ヨーロッパ、北米で最も高いと予測されています。また、GDP の低い地域にとっては、プロジェクトマネジメント指向の役割によって高いレベルの生産性が維持されることが、持続的な成長のために極めて重要となります。
 

ケイヒルは本レポートを受け、「組織は従業員をスキルアップさせ、継続的な学習を促す文化を構築することで、プロジェクト・マネジャーやチェンジメーカーを積極的に支援することができます。雇用主にとって、新たな学習イニシアチブを推進し、従業員が必要なプロジェクトマネジメント能力を習得するためのパートナーシップを模索することは、これまで以上に重要になっています。これらの能力には、協調的なリーダーシップ、多才な従業員を育成するビジネス感覚、高度なIT技術に支えられた問題解決ツールなどを用いた新たな働き方の習得などのパワースキルが含まれます」と結んでいます。
 

人材ギャップ・レポートの詳細、および、これらの調査結果をサポートする統計の詳細については、以下のURLよりご覧ください。（英語のみ）
https://www.pmi.org/learning/careers/talent-gap-2021

 

人材ギャップ・レポートについて
10 年間の雇用の傾向、コスト、世界的影響（2021 年）は、PMI のためにアンダーソン・エコノミック・グループ（AEG）が行った、プロジェクトマネジメントに関連する雇用と業界活動における 4 度目のアセスメントです。本レポートにおける地域データは抜粋された国をモデルとし、各地域の他の国のデータを考慮しています。対象地域は下記の通りです： アジア太平洋（インドネシア、日本）、中国（中国本土）、ヨーロッパ（ドイツ、イギリス）、ラテンアメリカ（ブラジル、コロンビア）、MENA（エジプト、サウジアラビア）、北米（カナダ、アメリカ）、サブサハラアフリカ (ナイジェリア、南アフリカ)、南アジア (インド)。

 
Project Management Institute（PMI）について
PMI は、世界における何百万人ものプロジェクト専門家とチェンジメーカーのコミュニティの成長を支える世界有数の専門職組織です。プロジェクトマネジメントの世界的権威として、人々のアイデアの実現に向けた支援を行います。PMI では、グローバルアドボカシー、ネットワーキング、コラボレーション、研究、教育を通じて、組織や個人の働き方をより効率的にし、変化の激しい世界で成功を促進させます。

1969 年創設の誇り高いレガシーに基づき、PMIは世界中のほぼすべての国で活動する「目的のための」組織であり、キャリアの向上や、組織の成功を強化、新たなスキルと働き方を実現するチェンジメーカーたちが最大の力を発揮できるようサポートしています。PMI が提供するものには、国際的に認められた規格、資格、オンラインコース、ソートリーダーシップ、ツール、電子出版物、およびコミュニティが含まれます。

詳細については、https://www.pmi.org/, https://www.linkedin.com/company/pminstitute, https://www.facebook.com/PMInstitute, および Twitter(@PMInstitute) をご覧ください。