ボルドーワイン SDGs レポート 2021

多角的にサステイナビリティを追求するボルドーの現在

ボルドーのワイン産業は、SDGsへの取り組みにおいて、新たな高みに到達しています。
現在、ボルドー地方のぶどう畑の65%以上が、なんらかの環境認証を取得しているのです。

 

ただし、その領域は環境に負担をかけないぶどう栽培法の採用に留まりません。ボルドー ワインでは今日、幅広い領域において、サステイナビリティへの取り組みが進められています。

ぶどう栽培における気候変動対策、希少な水資源の保全、クリーン・エネルギーの活用、パッケージの工夫、女性や障がい者の積極的活用、働く人々の安全性向上、仕事の満足度アップなどなど、ボルドーにおける生産者たちの努力は実に多角的なものです。

もちろん、技術革新や経済成長といった側面でのサステイナビリティもおろそかにされることはありません。世界最高品質のワインの数々を、最新の技術で造りだすことは、ボルドー地方が太古の昔から続けてきた、自家薬籠中のものですから……。
 



<数字で見る1: ボルドーにおけるSDGsの達成状況>
過去20年間、ボルドーのワイン業界は、気候変動、水問題、社会的要求、減農薬などについて、総合的に予測をしつつ適応してきました。

これらの対策や取り組みは、資源や生態系の保護、生物多様性の発展を目的としており、ぶどう畑の長期的なサステイナビリティに不可欠なものです。

● ぶどう畑総面積の65%以上がなんらかの環境認証を得ています。
● 1年間で有機栽培(オーガニック)の畑が30%増加しました(認証獲得または転換中)。
 現在、その面積は13,900haです。
● 1,500以上の自社所有地が、HVE(環境価値重視認証)を獲得しています。
● ボルドーは、気候変動への適応を目的とした「注目すべき6品種」を導入した先駆的産地のひとつです。
(赤ワイン用4品種: アリナルノア Arinarnoa、カステ Castets、
マルセラン Marselan、トウリガ・ナショナル Touriga Nacional
/白ワイン用2品種: アルヴァリーニョ Alvarinho 、リリオリラ Liliorila)
● ぶどう畑の85%以上にカヴァー・クロップ(被覆作物)が生えていて、生物多様性を増加させています。
● 毎年、120万ユーロがこの領域の研究に充てられていて、うち40万ユーロは防カビ剤・殺虫剤の使用を減らすために活用されています。
● ぶどう樹を冒す病気の治療に使用される植物衛生製品の55%が、2019年には有機栽培で許可されています(2009年は30%)。
● ぶどう畑の100%に、地域の病害対策グループであるGDON(Groupement de Défense contre les Organismes Nuisibles)が関与しています。
● 2008年から2013年のあいだに、温室効果ガス排出量が9%削減されました。
● 50,000人が直接、間接的にワインに関する仕事に就いています。


<数字で見る2: ボルドーにおける栽培関連環境認証の現状>
2014年には、ブドウ畑の35%がなんらかの環境認証を取得していました。
2016年には55%。2019年には65%以上に達しています。

ボルドーという産地には、多様な所有地があり、その生産方法や環境保護のアプローチもさまざまです。そのため、環境認証においても有名なものが併存しており、所有地の中には複数の認証を獲得しているところがあります。 


事例紹介1: パーマカルチャー*の実践
シャトー・ギロー Château Guiraud (AOCソーテルヌ AOC Sauternes)


1855年に行われたボルドーワインの格付けで選ばれた特級シャトーのうち、最も早くに有機栽培認証を獲得したのがシャトー・ ギローです(2011年)。

その長い歴史において、このシャトーは常にソーテルヌ地区における独立心の象徴であり続けてきました。生物多様性へとその 関心が公式に向いたのは、1983年と非常に早い時期です。支配人で農業技術者でもあるリュック・プランティは、こうした初期の取り組みについて「文化革命」だったと振り返っています。

この革命は、最終的にはビオディナミとパーマカルチャーへの先駆的な取り組みへと 繋がっていきます。化学肥料や化学合成 農薬の利用を完全に廃したのが1996年のことで、これは有機栽培に基づくワイン造りへの長旅における、決定的に重要な一歩でした。

「有機栽培こそが未来の道だと、最初から確信していました」と、プランティは述べます。109haという広大な所有地を管理するのは大変なことでしたが、テロワールを重視するシャトーにとって自然な農業形態であるパーマカルチャーへの道を切り開いていったのです。

「パーマカルチャーとは、気候、土壌、地形、水の利用、降雨、人間の活動などを総合的に考慮した栽培方法のことです」と、プランティは説明しています。パーマカルチャーでは、これらの要素を通じて、生物多様性を 維持することを目指すのです。

パーマカルチャーは、最初から期待以上の成果をあげました。「1996年、私たちは ギローの土壌に微生物を植え付け、天然の堆肥を入れました。数年後、植物層の爆発的な増加を目の当たりにしたのです。種の数が3倍にもなったのですから! 土壌の中に、どのような生命の『発電所』があるのかを掴むのは難しいことですが、それぞれの植物、それぞれの昆虫が独自の役割を果たしています」

シャトー・ギローの絶好の立地を考えると、パーマカルチャーへの道が開けたのは自然なことでした。その所有地が位置するのはシロン川のそばで、この川こそがソーテルヌらしさを語る上で欠かせない、生物多様性の宝庫なのです。
「偉大なワインを造るためには、自然と一体にならなければなりません。このことを実感するのは、とてもエキサイティングなことです」と、リュック・プランティは述べています。

*パーマカルチャーとは、パーマネント(永続性)と農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語。永続可能な農業をもとに、人と自然が共に豊かになるような関係・文化を築いていく手法を言う。


事例紹介2: パッケージの工夫で炭酸ガス排出量を低減
シャトー・ブラウン Château Brown
(AOCペサック・レオニャン AOC Pessac-Léognan )


シャトー・ブラウンは、中世の時代までその歴史を遡ることのできる、グラーヴ地区AOCペサック・レオニャンの由緒あるシャトーです。伝統にあぐらをかくことなく、進取の気風でSDGsへの取り組みに邁進しているのが特徴で、その試みはパッケージングの工夫にまで及んでいます。

まず、パッケージを構成する栓、ラベル、キャップシール、ボトル、ケースなどの供給業者について、環境保全に熱心な近隣の 業者を選ぶようにしています。資材の輸送距離を少なくすることで、炭酸ガス排出量を抑制しているのです。

それぞれの資材の選定にあたっても、リサイクルが可能かどうかが重要な観点です。
● キャップシール: 繰り返しリサイクル 可能なアルミニウム素材です。
● 栓: 繰り返しリサイクル可能な天然コルクを使用しています。天然コルクの利用自体が、コルク・オークの森を守ることにつながり、炭酸ガスの吸収につながります。
● ボトル: 85%リサイクルされたガラスを含む、ボトルを利用しています。
● ラベル: サステイナブルな手法で管理された森からのパルプ原料を用いています。ラベルに使われているグラシン紙は、委託する印刷所によって無料でリサイクルされています。
● ケース: ボルドーで伝統的な木箱の ほかに、環境に優しいインクで印刷された、100%リサイクル可能なダンボールケースを用いています。取引先である ネゴシアンには、できるだけダンボールケースを選択するように働きかけています。

上述のダンボールケースは、視覚的にも 刺激的なもので、あらゆる消費者にリサイクルや廃棄物削減を呼びかけるコミュニケーション手段としてデザインされました。 シャトー・ブラウンは、地球に優しい活動を促進するために、透明性の高い教育的アプローチを信条としており、新しい 取り組みについて、定期的にウェブサイトを通じて発信しています。

 


事例紹介3: 女性や障がい者を積極的に活用
ヴィニョーブル・ルソー Vignobles Rousseau
(AOCボルドー・シュペリウール AOC Bordeaux Supérieur)


ヴィニョーブル・ルソーは、AOCラランド・ド・ポムロールとリュサック・サンテミリオンに隣接するアブザックの村にある、家族経営のワイナリー・グループです。畑が位置する砂利質の高台は、実に優れたテロワールの条件を備えており、長期熟成可能なワインが生まれます。

ルソー家は、いくつもシャトーを所有しており、そのいずれもが環境に優しいぶどう栽培に注力しています。そのうえ、働く人にもフェアで優しいことが、このワイナリー・グループを特徴づけているのです。

その試みは多岐にわたるものですが、ここでは女性の積極的雇用と障がい者の支援をとりあげてご紹介しましょう。

ぶどう畑でのトラクターの操縦は、昔から男性の役割とされてきました。しかし、ヴィニョーブル・ルソーではこの10年間、トラクターにまつわるほとんどの業務を、数名の女性の従業員がこなしています。当主ローラン・ルソーが、「男だけができる仕事」だという考え方を、フェアではないとしたからです。

もちろん、トラクター関連の作業には、物理的に強い腕力を必要とするものもあります。

トラクターと機器の連結がそのひとつで、ヴィニョーブル・ルソーでは、この作業をふたり一組になって行い、場合によっては昇降機を用いることで、腕力不足を補いつつ、疲労とリスクを軽減しているのです。

女性従業員たちは、男性従業員と同様に、機器の運転や安全性、制約などに関する知識と経験を付与されています。

「女性ドライバーのほうが、資材の破損事故が少ないことに、あるとき私は気付きました。シンプルな理由がそこにはあります。

トラクターは大きく、女性従業員たちは男性よりも運転に自信がないから、何かをひっかけたり、壊したりしないように、慎重になるのです。また、女性たちは壊した資材の修理方法を知らないので、プライドが傷つくことを
恐れてやはり慎重になります。要するに、運転が下手だと思われたくないのですよ」と、ローラン・ルソーは語りました。

障がい者の活用についても、フェアでありたいというローランの高い意識が働いています。2012年より、ヴィニョーブル・ルソーは障がいをもつ若者の支援を開始し、毎年15名をぶどう畑で訓練しています。

このワイナリー・グループは、誰もが気持ちよく働ける環境であれば、企業が発展すると考えています。ワインに対して、どんなに多くのメダルや認証を得たところで、この分野での不足を補うことはできないでしょう。人間の尊厳を重視し、各自が責任を果たせる労働環境を整えるのが、ローラン・ルソーが亡き父から引き継いだ使命で
あり、誇りをもって次世代に伝えていくものなのです。


事例紹介4: エネルギーの有効利用
シャトー・プピーユ Château Poupille
(AOCカスティヨン・コート・ド・ボルドー AOC Castillon Côtes de Bordeaux)


シャトー・プピーユは、AOCカスティヨン・コート・ド・ボルドーの雄として知られる高名なワイナリーです。2008年に有機栽培の認証を得ているほか、亜硫酸無添加のキュヴェへの挑戦など、常に野心的な試みで世界のワイン愛好家たちに話題を提供し続けてきました。

2008年に当主となったフィリップ・カリーユは、エネルギーの有効利用にも熱心で、ふたつの試みが世間の注目を集めています。

ひとつは、ぶどうの剪定枝を活用した暖房のシステムです。剪定枝は、どの産地でも畑で償却されるのが一般的ですが、フィリップ・カリーユは、「どうせ燃やすなら、その熱を暖房に使ったほうがサステイナブルだ」と考えました。剪定枝を焼いて、その熱を用いてワイナリーや住宅の暖房に用いるシステムは、建設に3万ユーロほどの 投資を必要としましたが、おかげで暖房用の燃料費がほぼゼロになっています。

もうひとつは、ソーラーパネルを利用した太陽光発電です。シャトー・プピーユでは、倉庫の屋根に500平方メートルものソーラーパネルを設置することで、停電リスクのない、クリーンで安定したエネルギー源を確保しました。この電力は、ワイナリーや住宅で用いられるすべてをまかなうのに十分なもので、炭酸ガス排出量が大きく 削減されています。
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