素材業界向け研究開発データ管理プラットフォームを開発するランデフトがインキュベイトファンドから約7000万円の資金調達を実施

合成と測定の高度化によりニーズが高まる研究開発データ管理基盤を構築、研究者をデータの取り扱いに関する厄介ごとから解放し研究現場のDXを加速する。

株式会社ランデフト

株式会社ランデフト(所在地:東京都文京区、代表取締役:斉藤耕太郎、以下当社)は、インキュベイトファンドを引受先とする第三者割当増資を実施し、シードラウンドにて約7000万円を調達いたしました。この資金により2022年のリリースを目指し素材業界向けの研究開発データ管理プラットフォーム(以下、本PF)の開発を進めます。

ランデフト代表 斉藤耕太郎ランデフト代表 斉藤耕太郎


研究開発データ管理プラットフォームについて
本PFは、材料科学分野の研究開発におけるワークフロー(合成、測定、解析、報告)で生じる情報を管理の対象とします。各段階で生じる情報を全ての源である試料に紐付けて本来保たれるべき情報間の繋がりを保持し、材料科学分野特有の多様なメタ情報も適切に管理することで、データ駆動科学と呼ばれる新しい研究パラダイムに組織として対応できる体制を提供します(図1及び表1)。また、代表的な測定手法に対応するデータ解析機能やグラフ・報告書の作成及び各種テンプレート機能も盛り込むことで、研究開発サイクルにおけるデータに関わる日常業務をワンストップで効率的に遂行できる環境を提供します(図2)。本PFを利用することにより、研究者は
  • 日常の煩雑なデータハンドリングタスクにかかる作業時間の短縮
  • 見落とし・手戻りの減少​
を通じて、より多くの時間を価値創造的な仕事に使えるようになります。即効性のあるコスト削減を目的とするこれらの顧客価値に加え、価値創造を目的とする大量データの一括解析機能や機械学習を用いた解析手法の導入も計画しています。
本PFは現在開発中であり、本年中に2022年4月開始予定のクローズドテストの希望者を募り、2022年秋から冬ごろに正式提供開始を目指しています。クローズドテストにご興味のある方は会社HPのお問い合わせ窓口からご連絡ください(個人ではなくチームへのテスト導入が可能な場合に限ります)。

 

図1:データの取り扱いの観点から見たこれまでの研究開発サイクルと本PF(水色部分)が目指す研究開発サイクルの違い。図1:データの取り扱いの観点から見たこれまでの研究開発サイクルと本PF(水色部分)が目指す研究開発サイクルの違い。

表1:これまでの研究開発サイクルと本PFが目指す研究開発サイクルの比較。表1:これまでの研究開発サイクルと本PFが目指す研究開発サイクルの比較。

図2:プラットフォーム概要図2:プラットフォーム概要

調達の背景
< 研究開発分野での需要が高まるDX—スプレッドシートへの過剰な依存からの脱却 >
世界中の大学や研究所、企業において大小様々な規模で行われている研究開発は、人類の知を拡張し人々の生活を豊かにするための重要な営みです。一方で、研究の現場には往々にして研究開発の本質的な困難さとは関係のない様々な非効率さや理想的とは言えないやり方が存在しています。
スプレッドシートに頼り切った研究開発データの取り扱いはその一つです。研究開発の過程では複数のグループ・部門において様々な種類の情報が多様なフォーマットで大量に生じます。ところが、将来の富の源泉や重要な問題を解決する糸口を含むかもしれないこれらの情報は、スプレッドシートに閉じ込められてしまうことで本来保たれるべき関係性が断たれ、その存在を知っている人が組織に残っているかさえわからないまま放置されている場合が大半です。
実験科学・理論科学・計算科学に続く第四の科学パラダイムと呼ばれるデータ駆動科学の重要性(*1)が増していく中で、日々スピードを増して生成されていく情報(図3)を適切に蓄積・活用するために、研究開発部門の業務フローもDXの進む他職種部門同様にスプレッドシートの一歩先へ進む必要があると当社は考えます。
 

図3:測定の効率化及び高度化が進む放射光施設の測定データストレージに保存されるデータ量の変化の例(フランスSOLEILの発表資料より)。2016年からデータ増加の勢いが増している。日常的に使用する測定機器でも効率化・高度化は進んでいる。図3:測定の効率化及び高度化が進む放射光施設の測定データストレージに保存されるデータ量の変化の例(フランスSOLEILの発表資料より)。2016年からデータ増加の勢いが増している。日常的に使用する測定機器でも効率化・高度化は進んでいる。

*1)  JST研究開発戦略センター調査報告書「デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容(—The Beyond Disciplines Collection—)」 https://www.jst.go.jp/crds/report/CRDS-FY2020-RR-01.html p.24

< なぜ素材業界? >
素材業界と呼ばれる企業群が関わる材料科学分野では、情報の形態が本質的に多様であり(図4)それらをまとめて管理することの困難さゆえに、活用を見越した研究開発データの適切な管理がほとんどなされていません。日本の素材産業のグローバルな競争力の源泉である研究開発力を保つためには、マテリアルズインフォマティクスを含めたデータ駆動科学への適応が避けられない状況にあり(*2)、その根幹となる研究開発データの適切な蓄積・活用基盤の構築は素材業界全体の喫緊の課題です。当社は、情報技術の面でのサポート体制に恵まれてこなかった素材業界の研究開発を縁の下で支えるべく、この課題に正面から取り組んでいきます。

図4:材料科学の研究データの枠組みは三つの要素の複数の組み合わせから構成され、本質的に多様である。図4:材料科学の研究データの枠組みは三つの要素の複数の組み合わせから構成され、本質的に多様である。

*2) JST研究開発戦略センター戦略プロポーザル「材料創製技術を革新するプロセス科学基盤 ~プロセス・インフォマティクス~」 https://www.jst.go.jp/crds/report/CRDS-FY2021-SP-01.html p.8

資金用途について
調達した資金の主な用途は人材採用です。以下のポジションに興味のある方は弊社ウェブサイトの問い合わせページよりご一報ください。

< ウェブ開発エンジニア >
まだ日本にはないタイプのB2Bプロダクトの開発に興味があり自律的に業務を進められるウェブ開発エンジニアを探しています。日本が世界に誇る素材産業の研究開発を縁の下で支えるプロダクトを担うスマートな開発者組織を一緒に作っていきましょう。

< 材料科学を縁の下で支えていきたい研究現場経験者 >
研究の現場で作業効率やデータの活用方法に課題を感じており、外に飛び出して現場を変えることに興味をお持ちの研究者・テクニシャン・オペレーターの方を探しています。フルタイムに限らず、パートタイム、副業からの参加も可能です。社会へのインパクトが大きい材料科学という分野への貢献ができるのは研究の最前線だけではありません。現場で感じている課題を一緒に解決し、困っている同業者を助ける事業を作っていきましょう。

< BizDev >
現在はまだフルタイムで貢献いただけるフェーズではないですが、研究開発部門向けという珍しいB2B SaaSプロダクトを発展させていくことに興味をお持ちのかたは是非ご連絡ください。素材産業の研究開発を通じて社会に大きなインパクトを与えるポテンシャルを持つ事業に育てていきましょう。

引受先コメント インキュベイトファンド代表パートナー 本間真彦
日本の産業の国際競争力の観点から、素材産業は日本の輸出総額の2割強を占めており、自動車と並んで輸出の要となる重要な産業分野です。また、日本には世界的に競争力を持つ研究施設や研究者、そして研究成果が過去から蓄積されています。材料科学は今後の先端技術のイノベーションの土台であり、様々な産業に大きな影響を及ぼします。ランデフト社は、材料研究開発にデジタル化、データ駆動科学の手法を持ち込み、材料研究開発に必要なデータを整備・統合するためのインフラを構築することを目指します。この事業に研究の現場を知り尽くした研究者である斉藤氏が挑戦することに大きな意義と可能性を感じ、支援をさせて頂くことにしました。

代表コメント
素材業界や材料科学分野は、「素材」や「材料科学」という単語で一括りにするのをためらうほど多様であるものの、互いの製品や研究内容を理解するための素養や測定の基礎知識といった、科学に基づく強力な共通言語を有しています。この共通言語にウェブやデータベースに関する技術と泥臭い努力を合わせれば、データの多様さの壁を乗り越え、私自身を含め多くの材料研究者が感じているはずのデータの扱いに関わる「やりたいのにできない」「やりたくないのにやらないといけない」といったフラストレーションを解決できると私は確信しています。これは単なる現場の不満の解決ではなく、データ駆動科学という新たなパラダイムに組織として適応するために不可欠な最初の大きな一歩です。素材産業は日本が世界での存在感をまだ維持している貴重な産業の一つであり、たゆまぬ研究開発によってその立場を維持することは大きな意義を持ちます。データの量とその重要性が増す中で、データの取り扱いの厄介さが研究開発サイクルの足を引っ張っり新たなパラダイムへの対応が遅れて素材産業の競争力が削がれる未来は避けなければなりません。本PFが素材業界の競争力の維持だけではなく強化につながるにはどうしたらよいか考え抜き、いち早くユーザーに価値を届けられるよう開発を進めていきます。

会社概要
会社名:株式会社ランデフト
所在地:東京都文京区本駒込4-16-13-302
代表:斉藤耕太郎
設立:2020年12月
​資本金:74,571,600円(資本準備金含む)
URL:https://www.randeft.jp/

代表プロフィール
2012年に東北大学大学院にて博士号を取得後、日本学術振興会特別研究員としてフランスのレオン・ブリリュアン研究所に滞在。帰国後、高エネルギー加速器研究機構にて元素戦略プロジェクト磁性材料研究拠点の一員として中性子や放射光を用いた永久磁石材料の研究に従事。この間に産業に不可欠な材料を研究することの魅力と難しさに触れる。2017年8月から2年間、スイスのポール・シェラー研究所にてフェローシップ研究員として大手自動車会社との共同研究に従事。このころから測定や解析の効率化に対する興味が高まる。帰国後、株式会社メドレーの新規事業開発のリサーチやプロトタイプ開発に従事したのち、ランデフトを創業。現在高エネルギー加速器研究機構の研究員も兼任。
< 関連URL >

- Qiita https://qiita.com/skotaro (Pythonを使った測定データの解析や可視化など)
- ​研究業績等 https://sites.google.com/view/kotarosaito/
- Twitter: https://twitter.com/kotaro31dix

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会社概要

株式会社ランデフト

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URL
https://www.randeft.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区大手町2-7-1 TOKIWAブリッジ13階
電話番号
-
代表者名
斉藤耕太郎
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年12月