「寒冷地における稲作省力化技術の無コーティング代かき同時浅層土中播種技術」が日本作物学会技術賞を受賞

東日本を中心とした中山間地、水田地帯への実用的な省力化技術として普及が推進

株式会社 石井製作所

作物生産に係わる技術開発普及啓発に顕著な業績を上げたとして,農研機構東北農業研究センター,山形県農業総合研究センター水田農業研究所,山形大学,株式会社石井製作所(所在地:山形県酒田市 代表取締役:石井智久 33歳)らが,日本作物学会において「寒冷地における耐倒伏性品種を用いた水稲無コーティング種子の代かき同時浅層土中播種技術の開発」という業績で第12回(2022年)日本作物学会技術賞を受賞しました.
1.技術概要
 本技術は国内の主要稲作地帯である東北などの寒冷地において従来必要としていた種子コーティングが不要となる直播技術です.代かきと同時に播種可能なことから資材コスト,人件費,作業時間を大幅に削減することができ,慣行の移植以上の売上と利益を上げることが可能な技術です。
 本技術を体系化し製品化したものが無コーティング代かき同時播種機として石井製作所より2018年より販売されています.本機は代かき後の田面の極浅い土中に播種することを目的に代かき用ハローに装着する播種ユニットと鎮圧ローラーからなる直播機です.

 本機を用いることにより,約0.5cm 深の極浅い土中播種が可能で,コーティングしなくても鉄コーティングと同程度の苗立率が得られると同時に,浮き苗や出芽前の鳥害の軽減が可能となりました.これまで,1cm程度の土中播種では,出芽を促進するために過酸化石灰資材(以下,カルパー)やべんがらモリブデンのコーティングが必要でした.表面播種では浮き苗や鳥害を防ぐために鉄コーティングが必要でした.本機により極浅い土中に播種することでこれら資材とコーティングの手間を省略することが可能となりました.播種深が浅いことにより転び型倒伏しやすい点は,短稈の耐倒伏性品種「萌えみのり」等の使用により解決しました.

             図1.無コーティング代掻き同時播種機による作業風景
2.技術におけるメリット
 本機のメリットとして,
①仕上げ代かきと同時に播種するため省力的である.
②1ha近い圃場でも播種途中の種子補給がほぼ不要であり、連続作業が可能.
③トラクターを用いるため,田植機が沈車する水田でも播種できる(圃場整備が未途中の中山間地域などにも強い).
④独自の栽培管理技術を体系化し水管理と除草体系があり有効性が確認されている.
⑤本播種法は播種と雑草発生が同時になるため,雑草制御にも有利.
⑥鉄コーティングと同等の苗立率の確保や,移植栽培中心の市町村収量,鉄コーティングと同等の収量の確保が可能であることを実証した(秋田県で行った現地実証試験では,耐倒伏性多収品種「萌えみのり」の無コーティング直播は「あきたこまち」の移植栽培より収量が多く,10a当たり費用合計を低減できた。販売単価が「あきたこまち」より低くても,10a当たりの売上や利益は「あきたこまち」の移植栽培より多くなることを示した).

 

 

         図2.秋田県における無コーティング代かき同時播種水稲の生育推移
          (左:播種直後 中央:播種1か月後 右:夏~秋(収穫前))

                 直播に用いる従来種子と無コーティング種子
     (左:無コーティング種子 中央:鉄コーティング種子 右:モリブデンコーティング種子)

3.技術開発の背景
 国内では担い手の高齢化や水田作経営体の大規模化に伴い,湛水直播は東北・北陸地域で重要な位置づけとなっております.この湛水直播は苗立ちを安定化するための処理として半世紀以上種子コーティングが必要でした.一方で種子コーティングは資材コスト,手間,コーティング技術が必要なことが課題であり、苗立ちに失敗する原因にもなっていました.
 アメリカやイタリアなどでは種子コーティングを用いない湛水直播技術の実例があり、そこでは播種量を増やすことで苗立ちを安定させていましたが,日本国内で導入するにはコスト面で難しい体系でした.
 本研究グループは今後の国内農業の維持し発展させるには湛水直播の普及面積をさらに拡大し,省力化・省人化を進めコーティング資材を用いない低コストで安定的な苗立ちが得られる技術開発が重要だと考えました.苗立ちを安定化するために浅い土中に代かきと同時に播種する播種機と出根した種子(根出し種子)を用いて,無コーティングでも苗立数を安定して確保できる栽培技術を開発して普及を進めました.

4.今後の展開
 今後は寒冷地を中心として本技術・機械普及を本格化し,多くの農家様の省力化や省人化の手助けとなるように努めてまいります。

5.付属資料

               動画1.無コーティング代搔き同時播種概要

無コーティング代搔き同時播種マニュアル
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/061611.html


【会社概要】
 国内の稲作農業を中心に,農業の現状を農業経営や地域課題という目線で見つめつつ,国内の農家様が「持続し豊かで力強い経営ができる機械化体系」の実現を目指す企業です.現在は,農業の人手不足と規模拡大に伴い,農業全般の省力化,省人化に取り組み,「密苗・密播」「小型農業ロボRTL」などの開発を手がけております.開発,製造,営業を一貫して持ち,開発から販売後のサポート,研修までこなし新技術普及に努めております。

社名:株式会社石井製作所

事業内容:農業用機械の開発・製造・販売

設立年月日:1926年1月3日
代表取締役:石井智久

WEBサイト:https://isi-mfg.com
Facebook:https://www.facebook.com/%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE-%E7%9F%B3%E4%BA%95%E8%A3%BD%E4%BD%9C%E6%89%80-452915935482937
Instagram:https://www.instagram.com/isi_seisakusho/

 

 

 

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農林・水産自然・天気
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会社概要

株式会社 石井製作所

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URL
https://isi-mfg.com/
業種
製造業
本社所在地
山形県酒田市京田1-13
電話番号
0234-28-8239
代表者名
石井 智久
上場
未上場
資本金
4500万円
設立
1926年01月