「自然が隣人である暮らし」をコンセプトにしたプライベートヴィラ「TAPKOP(タップコップ)」を開業します
2022年秋開業予定
TAPKOP
施設に隣接する「丸山」は、標高229m、比高100mほどの小さな山です。
アイヌ語の「tapkop」には「ぽこんと盛り上がったような丘」という意味があり、一説によると丸山もそのように呼ばれていたことから施設名を「TAPKOP」としました。
当施設は丸山をはじめ、オプタテシュケやヌプリオンドといった山々に囲まれるような位置にあり、「自然を見に行く」のではなく「自然の中に自分が存在している」ということを実感することができます。
*「tapkop」には「肘」「コブ」という意味もあり、「たんこぶ」の語源という説もあります。
ロゴデザインでは、Aが丸山を、Oが屈斜路湖を表し、Oに切れ目があるのは、釧路川へ続いていることを表現しています。英字の隣に自然を表すシンボルがあることで、《 自然の隣人 》を具象化したデザインになっています。
ロゴデザイン
株式会社クナウパブリッシング
waku waku design
青坂さつき
https://instagram.com/wakuwaku_design?igshid=YmMyMTA2M2Y=
- 人と自然との関わり
北海道の東(道東)に位置する弟子屈(てしかが)町は人口6700人ほどの町です。
町の65%が阿寒摩周国立公園に属し、国内最大のカルデラ湖である屈斜路湖や、世界有数の透明度を誇る摩周湖、アトサヌプリをはじめとした溶岩ドーム群といった火山活動によって生み出された特異な自然景観をもつ土地です。また、川湯温泉街をはじめ、夏には和琴半島・砂湯などのキャンプ地があり、道内外から多くの観光客が訪れる場所でもあります。
屈斜路湖畔では古くからアイヌ民族が自然とともに営みを紡いできました。
アイヌ民族の、自然からの恵みを取り過ぎない考えや、動植物、生活の道具や家、山や湖などの自然と自然現象のそれぞれに「神(カムイ)」が宿るとして敬い、人間も自然の一部であるというような思想は、これからの”人と自然との関わり”、”人と自然の共生”を考える上で多くのことを学ぶことができます。
釧路川源流部への入り口となる場所。
約3万年前、火山活動によって形成された屈斜路湖から、154km先の太平洋へと「水の旅」が始まります。
ここから釧路川は蛇行しながらゆったりと流れていきます。
- 「自然が隣人である暮らし」
阿寒摩周国立公園に属すこの地域での暮らしは、毎日刻々と変化していく自然の物語を五感で感じることができ、私たちがここで生きる多くの動物たちと同じように自然の一部であるということ、そしてこの美しくも厳しい自然環境の中に生かされていることを実感することができます。
私たち自身が日々の暮らしの中で吸収した自然と人の関わり方、考え方、豊かさを宿泊施設を通して表現し、それが宿泊されたお客様にとって人生が豊かになる発見や気付きになり、最終的には長い人生の中の記憶に残る滞在になることを目指していきます。
TAPKOPの麓では釧路川源流を眺めることができる。
シベリアからやってきたオオハクチョウと結氷した屈斜路湖。白銀の世界で心を研ぎ澄ませる。
左からカツラ、ヤマナラシ、イタヤカエデなど、次々に紅葉していく樹々が美しい。
ガンコウランの実。周辺では高山性の植物も多い。
- 「自然が隣人である暮らし」を表現した建築
■建築・設計:PAN PROJECTS
計画を始めるにあたり弟子屈を訪れ、出会ったのは個性豊かな自然の風景であった。
硫黄山から立ち上がる煙、凍りついた屈斜路湖の湖氷、枯れた大木とその脇に佇む牡鹿、湧水と苔、短い夏を謳歌する花々、それら全てが美しく鮮烈に、記憶に残った。
アイヌの人々のもつ、人も自然の一部であるという思想が至極当然のような気にさせられるのは、弟子屈の自然が意志を持った強い存在として目の前に立ち現れるからだろう。人は自然の一部で、人の生活は彼らと共に在る。
この至極真っ当な考えをこの土地での滞在は鮮烈に思い起こさせてくれる。
この宿での滞在は、そうしたこの土地の体験の延長線上にあるものであるべきだと考え、空間の設計にあたった。それは、自然を隣人としてとらえる暮らしである。
Written by PAN PROJECTS
釧路川源流の春。源流部はとても透明度が高い。
屈斜路湖は全面結氷する湖で日本で最も大きく、美幌峠からの景色は圧巻だ。
1500以上の噴気孔があるアトサヌプリ(硫黄山)。近づいて針状結晶を観察できる。
- 自然物をそのままに受け入れる考え方
この場所で設計を進めるにあたって問題となったのは、人の手の入った素材があまりにも似つかわないということだった。樹脂や製材された木材、工業製品の鉄など一般的に使用される建材が、どうしても合わない。
それよりも道に落ちている枝を集めたほうが良いのではないかと考えていた時に、道産カラマツの耳付き材が目に止まった。それは一般に流通させるには細すぎて使い途のない木材で、通常は廃棄されてしまうような材料であり、丸太をそのままスライスしただけの野蛮なものであるが、とてもこの場所に宿をつくる材料にふさわしいように思えた。
この事が教えてくれたのは、自然に手を加えて綺麗に仕上げることが行き過ぎると、人工的になりすぎて人と自然のバランスが崩れてしまうということ。
それはきっぱりと自然と人間という境界線を引くような行為で、完璧になりきれない自然物を排除していくことでしか成り立たない、正に僕たち現代人の暮らしの有り様そのままであるように思えた。
この宿ではそうではなく、完璧じゃない自然物をそのままに受け入れて付き合っていく、そんな空間とすることを目指している。
この宿の外装を形作るカラマツの耳付き材は、間伐材で一般的には廃棄されるような使い途のない自然物であるが、私達の考え方を少し変えるだけで立派な外装材となる。こうした考え方の転換で救える自然が多く在る。
自然環境を考えること、自然と付き合うということはきっと、そうした私達の考え方を少し変えることなのだという気づきをこの宿の佇まいに込めて設計を行った。
Written by PAN PROJECTS
■建築・設計:PAN PROJECTS
PAN-PROJECTSはロンドンを拠点とする建築デザインスタジオ。社会の多様性をテーマとし、様々なコラボレーションを通し、主に欧州と日本において作品を制作してきた。主な受賞歴にDezeen Award, Emerging Architecture Studio Longlist (UK, 2021)ヴェニスビエンナーレ国際建築展Young EuropeanArchitects exhibition, Honourable Mention(IT, 2021)CHART Architecture,最優秀賞(DK, 2017)等がある。
近年の日本における代表作としては新国立美術館における大型インスタレーションThe Matter of Facts (JP, 2021)、またポストコロナをテーマとした東京青山の商業施設The Playhouse (JP 2020)等がある。
- ロケーション
女満別空港から車で約1時間、釧路空港から車で約1時間半に位置し、知床・網走・北見・釧路・阿寒などの主要道東観光地へのアクセスも1時間〜2時間でアクセス可能です。
釧路川でのカヌーや、屈斜路湖でのSUP、湖畔沿いの乗馬体験、摩周岳/藻琴山などのトレッキングなど様々なアクティビティもできます。
宿泊施設のすぐそばには「丸山」があり、その背後には屈斜路湖が広がっています。また、屈斜路湖から流れ出す釧路川は敷地内に面しています。
丸山の麓には砦、見張り場など多目的な用途で使われていたとされる史跡”チャシ”跡があることからも、古くからこの地がアイヌの方々にとって重要な場所のひとつであったことが窺い知れます。
*丸山第一・第二チャシ跡 (クッシャロシペチャシ)
敷地面積約9000坪の広大な敷地には、草原が広がり、目の前のオプタテシュケ(コタン山)は四季折々でその景観が変化します。施設からはフィールドを一望することができます。
■施設概要
施設名:TAPKOP (タップコップ)
基本定員:2名
施設面積:266㎡ (ヴィラ+レストラン)
敷地面積:30,055㎡
所在地:北海道川上郡弟子屈町字屈斜路181
■TAPKOP Instagram
https://www.instagram.com/tapkop_hokkaido/
■会社概要
会社名 : 株式会社イーストサイド
代表者 : 木村 高志
本社所在地 : 北海道川上郡弟子屈町字屈斜路181
■本件に関するお問い合わせ
info@kussharo.co.jp
■株式会社イーストサイドのプレスリリース一覧
https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/96648
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