「遼寧の味」で日中交流促進へ 都内でグルメイベント
「遼寧の美食」を日中友好の架け橋に――。中国・遼寧省の料理の紹介を通じて文化交流の促進を目指すグルメイベント「日本における遼寧の味」が18日、東京都内で始まった。主催者は遼寧省人民政府新聞弁公室。瀋陽でも昨年に引き続き遼寧の味を紹介するイベントが行われる。海外との同時開催は今回が初の試みだ。
開幕式には、日中関係や食文化に携わる団体の代表者に加えて、数多くの賞を獲得した中華料理人や中国風「キャラ弁(キャラクター弁当)」作家がゲストとして参加。大型スクリーンに遼寧産の新鮮な食材や昨年のグルメイベントの様子が映し出され、会場を盛り上げた。
在日中国大使館の李万鵬領事はビデオメッセージで、「食文化は言語を超えたコミュニケーションの手段」だとして、地域文化の魅力を表現する重要な役割を果たすと強調した。
領事は、日中国交正常化50年を今年9月に迎えたことにも触れ、半世紀にわたって、双方の努力により食文化を含む各分野における交流と協力が発展してきたと語った。
李氏によると、遼寧省には名物の「小吃(料理店や屋台で提供される軽食)」が数多くあり、長い歴史を誇る。1796年創業の馬家焼麦と1829年創業の老辺餃子は瀋陽にある老舗で、いずれも中国の無形文化遺産に登録されている。小吃は地域を代表する食文化として根付いているという。
李氏は、遼寧省と日本は長年にわたり経済や貿易など多岐にわたる交流を続けてきたとし、「本日このように中日の美食を通じてコミュニケーションを図り、また文化を広めることができてうれしく思っている」と話した。
■国と国をつなぐ架け橋
著名料理家である劉敬賢氏もビデオメッセージを寄せ、「食文化に国境なし。国と国をつなぐ架け橋になる」と語った。劉氏は中国飯店協会栄誉主席、世界中餐料理連合会名誉主席を務めている。
イベントについて劉氏は「美食のみならず、これからは経済や旅行、学術などの交流においても必ず架け橋になって開花するのでは」と、期待を示した。
会場では、遼寧出身のキャラ弁作家兼講師の叶霖氏と、世界中餐業連合会名厨委員会日本分会会長で日本を拠点とする名シェフの王建華氏が料理を実演した。
叶氏は、チャイナドレスと和服を着た女の子、パンダと来年の干支のウサギをモチーフにした二つの弁当を披露。米をベースに野菜がふんだんに使われ、彩り豊かで繊細な盛り付けが施された。二つとも日中友好を表現した。
自身の子どもの弁当作りでキャラ弁を始めたという叶氏は、イベントを通じて多くの人に遼寧のことを知ってもらいたいと話す。
「私は日本で長い間生活していて、子どもたちは日本生まれ、日本育ち。ふるさとの味を覚えさせたい。日本の文化も大好きだけど、それと合わせたもの(遼寧料理)を子どもたちにも伝えたいし、広くお母さんたちに知ってほしいと思う」
■交流で技を磨く
日本在住の遼寧料理の名シェフである王氏は、野菜の彫刻(飾り切り)を巧みな技で丁寧に仕上げた。
王氏は日中でそれぞれ20年、料理人としてのキャリアを磨いてきた。会場では、ハトと花をモチーフにした作品をダイコン、ニンジンなどの身近な素材を用いて作った。世界平和を祈りながら手掛けたと言う。
「彫刻は芸術であり、技術である」と王氏。今回のイベントについて、「日本の方と交流できるのはとても意義のあることだと思う。交流を通して料理や技術を発展させることができる」と話した。
日中友好協会の永田哲二常務理事によると、遼寧の食は宮廷料理の神髄に源を発し、色が鮮やかで味は濃厚。「食材の選択を重んじており、国内外の美食家から好評を得ている」と語る。
世界中餐業連合会副会長、NPO全日本中華料理・ホテル支援協会理事長の程顕斉氏は、遼寧料理が本格的に日本に入って来たのは30年ほど前にさかのぼると説明。今回のイベントを機に、より多くの日本人に遼寧の味を知ってもらいたいと期待を寄せた。
「(日本には)遼寧省出身の料理人も多いし、遼寧省関係の中華料理屋さんも多い。まず日本で。次は東南アジアや欧州に展開できれば」と、先を見据える。
今回のイベントでは、中華料理店の「玉蘭(新宿区)」「兆奎餃子(新宿区)」「龍祥軒(港区)」を会場に、日中の料理人が腕前を披露する。「海鮮料理」や「餃子と寿司の出会い」などをテーマに、料理の実演と試食が行われる。
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