50歳、色街を女ひとり彷徨う。団鬼六賞作家が性と死と生を描くハードボイルド・エッセイ『女の旅』が3月17日に発売!
日本全国ディープ案内
『ルポ池袋 アンダーワールド』(共著・中村淳彦/大洋図書)、『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男 』(幻冬舎文庫) などがヒット中の小説家・花房観音の最新エッセイ集『女の旅』を2023年3月17日(金)、大洋図書より刊行いたします。
- タブー視される「女の性」の現実
広島や岐阜、北九州小倉や福井芦原のストリップ劇場。
五條楽園、飛田新地をはじめとした旧赤線街。
アダルトビデオやSM緊縛の巨匠たちとの出会い。
本書は小説家・花房観音が日本全国を旅して性産業の現場を歩き、そこに生きる女性たちの姿と自身の過去を通して、女性の視点から「女の性のあり方」を見つめるハードボイルドなエッセイ集です。
現代社会において「女の性」はタブー視されている。
性産業で働く女性は哀れみを受け、ときに侮蔑されもする。
2010年に第1回団鬼六賞・大賞を受賞しデビュー、官能小説を描き続ける花房観音自身も、女性だからと周囲から偏見の目を向けられてきた。
女が性を語るのは、悪なのか?
男女問わず、誰にだって性欲はあるのに。
性の世界に生きる女は、不幸で可哀想でなければいけないのか?
求められることにより、救われた女もいるはずだ。
男なしでは生きてはいけない。「女」として生きていたいから。
閉経が近づく年齢になっても、性への執着は消えない。
- 50歳、突如著者を襲った病魔
医師に告げられたのは「5年生存率50%」だった。
「いつ死んでも悔いはないなんて、言えない。そんな覚悟など、できてはいない。でもいつ死んでもいいように、この本を遺書としたい。」(あとがきより)
性と死と生をめぐる旅の途上で、著者が見出した「女の幸せ」とは。
- 著者プロフィール
1971年兵庫県生まれ、京都府在住。2010年『花祀り』で第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。官能小説やホラー小説、エッセイほか執筆活動の傍ら京都観光のバスガイドを務めている。
- 目次より
岐阜………彼女は誰のものにもならないまま、あるとき、永遠に皆の前から消えてしまう。
十三………当たり前に「若い女」を享受している人たちとは、違う世界に生きているから。
彦根………社会からこぼれ落ちた、まっすぐ生きられない人間ーーそれは、私自身だった。
六本木……痛めつけられたい、虐められたい、支配されたい。好きな男になら、何をされてもいいと思っていた。
山形………死の匂いが漂う場所で、自分が生きていることを確かめているのだろうか。
生駒………人前に出ることは、傷つけてくれと言っているようなものだと、たまに考える。
小倉………善と正義を掲げ、それに外れた人々を糾弾する声がネットや実社会にも溢れていて、しんどい。
梅田………いっそ、そうして誰かに殺されるほうが、自死を選ぶより楽な死に方だと思っていた。
道後………私の「幸せ」は、世間が言う「女の幸せ」ではないかもしれないけれど。
別海………どうしてあんな醜い女が男たちからの金で働かずに生きられるの。
渋谷………四十歳なんて、水の中で息を止めるように、一瞬だけ我慢して、乗り越えたらよかったんだよ。
比叡山……愛や恋などではなく、ただ、男が必要だ。
鳥辺野……「女」として生きていたいから、男という存在への執着が強くなる。
宮津………私は、底辺なのだ。人としても、女としても、劣等生だというのを、思い知らされた。
長崎………この世に、「女」であることで金銭を得たことがない者が、どれだけいるのだろうか。
高知………背徳的な欲望を持った人間は、逃げ場を失って、どこに行けばいいのだろう。どうやって生きればいいのか。
恐山………若い頃は、死にたいと思わない日はなかった。けれど私は図太く生きながらえてしまい、五十歳を迎えようとしている。
甲子園……人は弱い生き物だ。様々な鎧を纏って心身を守り、生きている。
飛田新地…多くの人が、必死に取り繕っているだけで、正しく生きてはいないのだ。
熊野那智…ああ、死後の世界はこんなふうに闇しかないのだと思った。地獄も極楽もない、ただの闇。
浅草………めんどくさい「女」という性を捨てきれず、あがきながら、私は年を取る。
- 書籍データ
【著者名】花房観音
【発売日】2023年3月17日
【造本】四六判並製(306ページ)
【定価】2,200円(税込)
【ISBN】978-4-8130-2291-6
【URL】http://taiyohgroup.jp/book/book-whole/essay/id004773/
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