最先端の精神・神経疾患研究者と市民の意見交換で脳科学の進化を推進する「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」本格始動 6/9(金)藤田医科大学脳神経内科 渡辺先生による市民対話イベント参加者受付中
最新研究でアルツハイマー病の最初期兆候が現れることが判明した“嗅内野”へのアプローチや開発段階の診断方法や予防方法の具体的な内容について市民とのリアルタイムな対話機会を創出
URL:https://neuro-elsi.jp/
「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」開発チーム コメント
現在、脳科学研究が急速に進展しており、その成果を医療に応用するのみならず、広く社会に実装していく段階を迎えています。その過程では、さまざまな倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal, and Social Issues: ELSI)が生じており、今後も新たな問題が生じると予想されています。脳科学研究の進展とその実用化がもたらすメリットや危険性がどのようなものなのかについては、倫理学、法学、社会学、経済学などの専門家に聞くと具体的に上手く説明してくれるかもしれません。しかし、だからといって、科学技術についての問題は専門家に任せききりでよいというわけではありません。科学技術がもたらすリスクを負担するのはひとりひとりの市民であるということ、それゆえ、科学技術を社会として受け入れるかどうか(どういったメリットなら・どういったリスクなら受け入れられるのか)といった問題は社会構成員のさまざまな価値観を踏まえて判断されねばならない、ということは忘れてはいけません。
私たちは、社会が直面するそうした萌芽的課題について、倫理学の専門家にとどまらず、さまざまな分野の研究者や市民の方々とともに考えていくためのソーシャルプラットフォームを開発しました。このソーシャルプラットフォームが、研究者や関係者の情報交換、研究活動や成果の告知・発表・保管に役立つのみならず、市民の方々との双方向型対話の場となり、人と社会と脳科学の未来を考える知的ネットワークが形成されていくことを願っています。
ソーシャルプラットフォーム「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」の特徴
ソーシャルプラットフォーム「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」は以下の2つの特徴を持ちます。今後は、AMEDの支援の下で自閉スペクトラム症やアルツハイマー病をはじめとする精神・神経疾患のメカニズム解明にむけた最先端の研究に従事する研究者に本プラットフォームの利用を広く呼びかけ、広く市民に研究を公開していくこと、そして活発に市民と意見交換していくことを促進していていきたいと考えております。
1. 研究者と市民が時間や場所に拘束されずに対話できる場
科学について広く意見交換する機会はありますが、対面、オンライン問わず、リアルタイムで行うことが主流でした。本プラットフォームでは、従来通りのリアルタイム対話イベントも可能ですが、時間・場所に囚われないコミュニケーションが可能です。時間や場所の制限から開放され、意見や考えの咀嚼と醸成を深めることでより良質な交流が図れることと考えます。
なお、意見の交換には独自のチャートを使用し、多様な意見を俯瞰的に把握し整理できるよう工夫しました。
2. 研究者が手軽に市民に意見を求めることができる場
昨今「責任ある研究とイノベーション(RRI※1)」といった理念のもと、科学技術と社会の関係は、科学技術の萌芽的段階から、双方向的な対話により議論の上発展されていくべきであるという考えが広がりつつあります。本プラットフォームでは、当該研究についてまだ成果を得ていない計画段階から、研究者と市民とが、継続的かつ手軽に対話できる場を提供しています。研究者だけではなく、会員の方であればどなたでも話し合いたいトピックを立て、意見交換の場を設けることができます。
※1 Responsible Research and Innovation
ソーシャルプラットフォーム「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」概要
「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」は、脳科学研究の成果を社会実装していく際に生じる倫理的・法的・社会的課題を、さまざまな分野の研究者や市民の方々とともに考えていくためのプラットフォームです。どなたでも会員登録により、フォーラム(掲示板)への書き込み・会員同士でのグループ作成といった基本的なSNS機能のほか、本プラットフォームのメインコンテンツでもある「脳科学ひろば」をご利用いただけます。
メインコンテンツ「脳科学ひろば」ついて
「脳科学ひろば」は、研究者と市民、専門家・非専門家の垣根をこえた対話・協働のためのページです。
<対話の流れ>
・研究者が自らの研究内容を説明
・参加者は疑問や驚き・期待・不安などを提示
・研究者はその参加者の声にリプライ
会員の方は、公開されている研究内容に意見を述べて議論に参加したり、研究者として自身の研究を公開し参加者からの意見を募り対話したりすることができます。
なお、本プラットフォームには、運営元であるAMED 脳とこころの研究推進プログラム瀧本班「脳科学研究の社会実装および倫理的課題の探索のための知的ネットワークの構築」の拠点という側面から、瀧本班の関連する研究成果物をアーカイブしてあります。こちらは、会員登録なしで自由に閲覧、コメント記入ができます。
使い方について
「脳科学ひろば」や「アーカイブ」へのコメントは、掲示板の感覚で書き込むことができます。なお、コメントの表示には承認が必要な場合がございます。ご了承ください。会員用のコミュニケーション機能詳細については、以下説明がございますので、ご覧ください。
・サイトURL:https://neuro-elsi.jp/how-to/
アルツハイマー病研究の最前線 脳研究と出会う市民対話ワークショップ
6月9日(金)には、アルツハイマー病初期兆候を見つける手法の開発を行う藤田医科大学脳神経内科 渡辺宏久先生によるオンライン対話イベントを開催します。
アルツハイマー病は、脳の海馬部分が縮小し、記憶力が衰える病気ですが、最新研究ではそれより前の段階で“嗅内野”に最初期兆候が現れることが判明しました。“嗅内野”は、海馬の隣に位置し、周囲の景色の情報無しで自分の移動した道のりを把握する能力を担っていることがわかっています。そこで藤田医科大学は、3Dバーチャルリアリティ (VR) ゴーグルを活用し“嗅内野”の「自分をナビゲーションする能力」を評価するシステムを開発。“嗅内野”の異常をいち早く発見することで、病気の発症を大幅に遅らせることが可能になると考えています。
今回は、早期発見に基づく予防方法の開発という考え方や、現在開発している診断方法や予防方法の具体的な内容について皆様の意見を聞きたいと思い、この対話イベントを企画しました。
実施概要
・日時:6月9日(金)19時~(所要時間:およそ2時半30分程度)
・場所:オンライン開催
・登壇者:藤田医科大学脳神経内科主任教授 渡辺宏久先生
・申込みフォーム:http://ptix.at/EbNDHm
・参加人数:先着30名程度
・主催:国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (AMED)脳とこころの研究推進プログラム(精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト)「脳科学研究の社会実装および倫理的課題の探索のための知的ネットワークの構築 (研究代表者:瀧本 禎之・東京大学医学系研究科准教授)」課題
藤田医科大学脳神経内科主任教授 渡辺宏久 プロフィール
藤田医科大学 脳神経内科学教授、博士(医学)。
三重大学卒業、名古屋大学医学部附属病院神経内科講師、名古屋大学脳とこころの研究センター特任教授を経て、2019年より現職。
専門分野:脳神経内科全般、神経変性疾患(パーキンソン病、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭葉変性症をはじめとする認知症など)
精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト 瀧本班について
AMED脳とこころの研究推進プログラム(精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト)に採択され支援を受ける研究グループです。脳科学研究の成果を社会実装および倫理的課題の探索をおこなう際に生じる諸問題について考え、脳科学者をはじめとする各分野の研究者と市民の方々がともに考えていくためのネットワーク構築・運営を目標にしています。2023年度には、オンラインでの市民対話イベントの企画・運営を実施、6月には研究者と市民が対話・協働していく「人と社会と脳科学のための知的ネットワーク」を立ち上げました。
▶人と社会と脳科学のための知的ネットワーク:https://neuro-elsi.jp/
▶使い方:https://neuro-elsi.jp/how-to/
▶AMEDサイト:https://www.amed.go.jp/
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