キューベック、心不全治療を提案する「AIプログラム医療機器」開発を加速
ゼロイチキャピタルから4,000万円の資金調達。心不全患者が激増する「心不全パンデミック」に備え、国立循環器病研究センター他と共同研究
このたび、本サービスの開発を加速させるため、ゼロイチキャピタルから4,000万円の資金調達を第三者割当増資により実施いたしました。今後は、プログラム医療機器としての承認取得を目指し、2027年のサービス提供開始を目標としています。昨今、日本で心不全患者が激増している「心不全パンデミック」を背景に、「かかりつけ医」を本サービスで支援することで、最適な心不全診療を日本の全ての地域で享受できる社会の実現を目指します。
心不全患者が激増する「心不全パンデミック」
心不全は、心臓が全身に血液や酸素を送る「ポンプの機能」が働かなくなる状態のことを指します。さまざまな薬と治療の開発は進んでいますが、完治が難しいのが現状です。日本における心不全の患者数は推計120万人(*1)と言われており、日本における死因でがんに次いで二位となっています(*2)。近年、日本は生活習慣の欧米化による虚血性心疾患や高齢化による高血圧、弁膜症の増加などにより、心不全患者が激増しています。この状況を医師たちは「心不全パンデミック(*3)」と呼び、警鐘をならしています。
これに対して、心不全の治療をする循環器専門施設は約3,000か所、循環器専門医は約1.5万人しかいません。2024年には「時間外労働の上限規制」を中心とした医師の働き方改革の法案が適用され、医師の勤務環境改善に向けた取り組みがますます進められる中、限られた医療体制で急増する心不全患者を診るのは極めて難しい状況です。
かかりつけ医を支援する「心不全診療支援AI」
心不全の対策には大きく予防、早期発見、治療のステップがありますが、本サービスは「治療」のステップでの対策になります。心不全は発症後、悪化と回復を繰り返しながら少しずつ進行するため、長期に渡る治療が必要になる特徴があります。そのため、かかりつけ医と循環器専門医がシームレスに連携することが理想であるとされます。かかりつけ医に求められることは、患者の状態に応じた治療調整や、必要に応じた専門医への紹介です。しかし、心不全は多様な病型と多数の要把握項目があり、心不全を専門としないかかりつけ医にとっては、治療調整・紹介判断自体が非常に複雑で負担がかかります。アンケート(*4)によると「自信を持って心不全を診療している医師は10.4%」というデータもあります。このように、心不全パンデミックと医療リソース不足により、心不全患者の多くは最適な治療を受けられていない状況です。
専門医不足の課題に対しては、これまで専門医と医師をチャットで繋ぐソリューションや、心電図などのデータから診断を支援するソリューションなどが出てきており、医療におけるテクノロジー活用の機運は高まりつつあります。こうした流れを受け、当社が新たに提案するのは心不全の治療に特化し、一人ひとりの患者に対して「リスク判定」と「治療案」までを提示するAIプログラムとなります。これにより、かかりつけ医の治療最適化・専門医への紹介判断に関する意思決定を支援します。
診断だけでなく治療提案までAIを活用しているプログラム医療機器であること、電子カルテと連携しシームレスな診察フローを実現することが本サービスの大きな特徴です。
「心不全診療支援AI」とは
本サービスは、診療情報を元に治療選択肢を提示し医師の診療判断を支援するAIソフトウェアで、プログラム医療機器(*5)としての承認取得を目指します。
1)利用イメージ
電子カルテ情報を入力すると、一人ひとりの患者に応じたリスク判定・治療案を提案します。さらに認められたエビデンスから関連箇所を検索・要約して表示します。電子カルテと本サービスを連携させることで、かかりつけ医は複数のデバイスやアプリケーションを使い分ける必要がなく、普段の診察フローで本サービスを利用できるようにします。これによりかかりつけ医の患者個別の状態に応じた治療調整や、専門医への紹介判断に関する意思決定を支援します。
2)AIの活用範囲
以下の3つの点でAIを活用します。
1 個別のリスク判定
心不全の多様な病型と多数の要把握項目を統合し、状態を評価します。
2 個別の治療提案
評価した状態を踏まえ、多数ある治療選択肢から最適な組み合わせを提案します。
3 エビデンスの検索
かかりつけ医が意思決定するための関連情報を認められたエビデンスから提供します。
本研究の体制
本研究は、国立循環器病研究センターをリーダーとし、琉球大学、帝京大学、名古屋大学医学部附属病院、九州大学病院、株式会社Cubecの共同研究として進めてまいります。Cubecは本事業の中で、開発・実用化・普及を担当します。また、本研究は日本医療研究開発機構(AMED)における、医工連携・人工知能実装研究事業「日本全地域で心不全診療連携を最適化するAI実装DtoDシステムの開発と実用化」(*6)で採択され、同団体の支援を受けて遂行されます。
今後の展開
現在はテスト版の開発を進めており、2027年の上市を目指します。開発スピードの加速を目的に、ゼロイチキャピタルを引受先とした第三者割当増資(シードラウンド)により、4,000万円の資金調達を実施済みです。
Cubec共同創業者
代表取締役CEO 奥井 伸輔(おくい しんすけ)
名古屋大学理学部卒業後、外資系製薬企業にて営業・マーケティング・組織文化開発に従事。京都芸術大学でのデザイン思考の学びを活かし、医療ITスタートアップにて、国立循環器病研究センターを中心とした研究プロジェクトに企業代表として参加。心不全パンデミックに対応するAI医療機器の社会実装を目指し、株式会社Cubecを創業。
芸術修士、学際デザイン研究領域、京都芸術大学大学院
取締役CAIO 新井田 信彦(にいだ のぶひこ)
東京大学大学院在学中より、国立研究開発法人 科学技術振興機構の心臓シミュレーター開発のプロジェクトに参画し、大動脈解離に関するテンソル解析を行う。卒業後、AIスタートアップである株式会社ブレインパッドの立ち上げに参画。上場後、自身のミッションである医療でのAI活用のためアッヴィ合同会社でAI業務を立ち上げる。専門は機械学習、自然言語処理で、医療では循環器・リウマチ・消化器・皮膚科・感染症の領域で経験がある。
環境学修士、新領域創成科学研究科、東京大学大学院
【会社概要】
株式会社Cubec(キューベック)
URL:https://cubec.jp
代表取締役CEO:奥井 伸輔
所在地:兵庫県神戸市東灘区
設立日:2023年2月
事業内容:「最善の医療を、すべての人の手の中に。」を実現するAIプログラム医療機器の研究開発
*1 心不全の疫学:心不全パンデミック「日本内科学会雑誌第109巻第2号」
*2 令和2年(2020年)主な死因の構成要因「心不全と虚血性心疾患の疫学」
国立循環器研究センター、2021/12/09
*3 Heart failure as a general pandemic in Asia、Heart Failure、2015/7/29
*4「日経メディカル(2020.05.01)心不全診療、54%の医師があまり自信なし」
*5 厚生労働省プログラム医療機器について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html
*6 AMED令和4年度 「医工連携・人工知能実装研究事業」の採択課題について
https://www.amed.go.jp/koubo/14/02/1402C_00012.html
【事業についてののお問合せ先】
株式会社Cubec 奥井 info@cubec.jp
【報道関係者からのお問合せ先】
広報担当:鶴岡 yukotsuruoka@gmail.com
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